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改正前に知りたい「相続税」【前編】 ~そもそも相続税ってどういう人にかかるの?~

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改正前に知りたい「相続税」【前編】 ~そもそも相続税ってどういう人にかかるの?~(写真:iStock / thinkstock)

2015年1月1日から「相続税」のルールが変わります。最も大きな改正点は基礎控除の縮小。これまでは相続する財産の合計が6000万円以下であれば税金はかかりませんでしたが、来年からは3600万円超の相続財産がある場合は課税対象に。(※法定相続人がひとりの場合)

「都心部では2人に1人が課税対象になる」

有識者の間ではそんな予測もある今回の大改正。これまで一部の富裕層以外は無縁とみられていた相続税の課税対象が、今後は一般の会社員世帯にまで広がる見通しです。改正まで残り4カ月を切りましたが、未だ「うちには関係ないよね」と思っている人もいらっしゃるのではないでしょうか? でも、その油断が仇となり、無策のまま莫大な相続税を課税されてしまう可能性もないとはいえません。

そこで、改正後に課税対象になる可能性が高いケースと、今からできる節税対策について、親から相続を受ける子ども側の視点で取材してみました。相続税改正で課税対象者は5万人も増える?

「今回、課税対象の最低ラインが6000万円から3600万円と大幅に引き下げられることで、多くの人が相続税に無関心ではいられなくなります。最新の試算では、全体の対象者は現状の4%から8%と約2倍になり、5万人以上増えるとみられています」

そう語るのは、『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい』著者で公認会計士・税理士の五十嵐明彦氏。特に、地価の高い東京23区内やターミナル駅近辺などに土地付きマイホームを所有している場合は課税対象となる可能性大。都心部では2人に1人は相続税がかかる地域も出てくるとか。

では、具体的には“どんなケース”で“どれくらいの税金”がかかるのでしょうか?

「相続財産で最も多いのは『自宅(土地・建物)+1000万円~2000万円程度の預貯金』というケースでしょう。例えば評価額3000万円の土地・建物と2000万円の貯蓄がある場合、相続財産は5000万円。現行の制度なら基礎控除の枠内に収まり税金はかかりませんが、来年以降はそのうち1400万円分に対して課税されます。法定相続人が1名の場合だと約160万円の相続税が、配偶者と子ども2人の標準世帯の場合でも20万円の相続税がかかる計算になりますね」(五十嵐氏)

ちなみに、東京都心の一等地なら15坪くらいの狭小地でも3000万円はくだらないですし、千葉県などでも例えば浦安あたりには30坪程度で2500万円を超える地域も多数(国税庁「路線価図・評価倍率表 平成26年分」より算出)。

そこに老後資金としての蓄え、生命保険、株式、あるいはゴルフ会員権などなど、さまざまな財産が加われば課税最低ラインの3600万円なんて軽く上回ってしまいそうです。「うちには大した貯蓄がないはずだから関係ない」なんてたかをくくっていたら、じつは親が想定外の財産を持っていて、いざ相続を受ける際に「数百万円の課税を通知されてしまった」「相続税が払えず自宅を失った」などという笑えないケースが来年以降続出するかもしれません。

しかしながら、もし相続財産が基礎控除を超える場合でも親の生前からしっかり対策をしておけば相続税を大幅に減額、あるいはゼロにすることが可能です。五十嵐氏によれば、なかでも使い勝手がよく、節税効果テキメンなのが以下の3つ。

・「小規模宅地等の特例」を使う
・「教育資金として生前贈与」してもらう
・当面使わない貯蓄は「生命保険」に回す土地の評価額を8割カットできる「小規模宅地等の特例」

では、それぞれの節税対策のポイントを整理していきましょう。

まずは「小規模宅地等の特例」について。

「これは相続時に土地の評価額を一定割合カットできる制度で、2015年以降は面積330㎡(約100坪)までの土地について80%の減額を受けることができます。土地の評価額が8割下がれば相続財産がぐっと減り、課税対象額も大幅にカットできます」(五十嵐氏)

例えば、改正後に親から「評価額4000万円、60坪の実家」をひとりで相続する場合は40万円の相続税がかかりますが、この特例を使うと税金はゼロになります。
また、(そうそうないとは思いますが)仮に同じ規模で1億5000万円の土地を相続する場合でも非課税に。ちなみに特例を使わない場合は2860万円(!)もの相続税がかかるため8割カットの恩恵は絶大です。

ただし、この特例にはクリアすべき要件も。配偶者以外の親族がこの特例を受けるためには「亡くなった方と同居していた」または「過去3年間持ち家に住んだことがない」ことが必要になります。つまり、「実家を離れ独自に購入したマイホームに住んでいる」ケースなどは、たとえ親子であっても特例の対象にはなりませんのでご注意を。教育資金としての生前贈与は1500万円まで非課税に

一方、親が「現金」をたくさんお持ちであれば、「生前贈与」が有効。ようは、“存命中にたくさん現金を贈与してもらって、相続時の課税対象額をできるだけ減らしましょう”というシンプルな節税対策です。
ただ、贈与は1年あたり110万円を超えると贈与税の対象となり、ある程度まとまった額、例えば1000万円を贈与するとなると231万円(平成27年1月1日以降は177万円)もの税金がかかってしまいます。

「相続税を減らせるからって贈与税がかかるなら意味ないじゃん!」

と、そんな声が聞こえてきそうですが、じつは贈与税を免れつつ多額の現金を子どもや孫に贈る方法があります。それが「教育資金として贈与」するというもの。

じつは平成25年に贈与税の特例ができ、じつは平成25年に贈与税の特例ができ、親や祖父母などの「直系尊属」から、30歳未満の「直系卑属」、つまり子ども、孫、ひ孫といった“タテのライン”に贈る教育資金に限っては1500万円まで非課税とする制度が設けられました。平成27年12月31日までに贈与が完了していること、金融機関などに教育資金として信託する(預ける)ことなど、いくつかの要件はありますが、この特例を使えば、生前贈与で相続財産を大幅に減らすことができます。

「自分が亡くなった後でも孫や子どもに教育資金を残したいと考える方は数多くいらっしゃいます。仮にまだ幼児であってもこの制度を使って贈与しておけば、子どもや孫に喜ばれ、しかも相続税を安くできるわけです。贈与する数の制限もありませんので、例えば孫が3人いれば4500万円、4人いれば6000万円の贈与が可能。私の知るケースでは約1億円を1500万円ずつ7人に贈与した人もいます」(五十嵐氏)

なお、教育資金といっても学校や塾などに支払う学費・入学金だけでなく、500万円までなら「学び」「自己投資」にまつわる幅広い用途に使用可能。例えば成人してからの英会話レッスン、カルチャースクール、果てはゴルフレッスンなどに充てても問題ないとのこと。
さらに、今後は教育資金だけでなく、例えば結婚資金などにも充てられるよう用途を拡大する動きもあるようです。当面使わない貯蓄は「生命保険」に回すのが吉

また、当面使うアテのない貯蓄があるなら、その分を生命保険に回すのもひとつの手。遺族が受け取る生命保険の保険金は「500万円×法定相続人の数」までは税金がかからないため、被相続人が保険に入るだけで大幅な節税になるわけです。

「今は80歳を超えていても入れる保険や、意識さえしっかりしていれば健康診断なしで入れる保険もあります。支払う保険料と受け取る保険金が仮に同額だったとしても、生命保険の非課税枠を使えばそのまま現金で残しておくよりかなりトクだと言えます」(五十嵐氏)

以上、3つの節税対策を紹介してきたわけですが、これらはそもそも全て被相続人である親の協力があってこそ成し得るものばかり。そして、相続税対策においてはこの「親の協力を得る」というのが、最初にして最大の難関であるわけです。

五十嵐氏によれば、相続の話や遺言書の話を子どもが親に切り出したことで、親子関係がぎくしゃくしてしまうことも多いとか。確かに親からすれば「俺が死んだ後の財産の話をするなんて不謹慎だ!」と考えるのは当然ですし、子どもだって「相続税が心配だから生命保険に入ってくれ」とはなかなか言えませんもんね。

とはいえ、せっかく親が築いてくれた財産を少しでも多く残したいと思うのは当然ですし、何も対策をせずにその時を迎え、多額の相続税に苦しむのは避けたいところでしょう。

そこで、後編では親に相続の話を切り出すためのポイントについて紹介したいと思います。

【画像1】五十嵐氏の著書『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』

【画像1】『子どもに迷惑かけたくなければ相続の準備は自分でしなさい(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』●税理士法人タックス・アイズ
HP:http://www.tax-is.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/09/16/69428/

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