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老舗ヘビメタ雑誌「BURRN!」 買ってでも欲しくなる理由は

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 老舗音楽雑誌が創刊30周年を迎えた。長くファンを捉まえて離さないその魅力はとはなにか。作家で人材コンサルタントの常見陽平氏がコンテンツ作りの要を語る。

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 出版不況と言われる中、ある「人気雑誌」が30周年を迎えました。ヘビィメタル雑誌の雄『BURRN!』(シンコーミュージック・エンタテイメント)です。この30周年記念号が「豪華すぎる」とメタルファンの間で話題です。この雑誌が長続きした理由は何なのでしょうか。「ヘビメタは興味ない……」なんて人も、注目ですよ。ここには、「お金を払ってでも欲しいコンテンツ」を作るためのヒントがあります。

 『BURRN!』は1984年に日本初のヘヴィメタル専門誌として創刊されました。そう、ヘヴィメタル専門なのです。日本のアーチストも登場するものの、多くは洋楽アーチストです。

 この雑誌の魅力といえば、ズバリ「熱」そして主張の強さでしょう。それが強く現れているのが、アーチストへのインタビューです。ニューアルバムのリリース、来日などのタイミングでアーチストはインタビューを受けるわけですが、それは当然、プロモーションのためであり、売り込み色の強いものになりがちです。『BURRN!』のインタビューにおいては、もちろんアーチストはニューアルバムの魅力などを語ろうとするものの、メンバーチェンジの真相、音楽性が変わった理由などにも鋭く斬り込み、本音を引き出すことに成功しています。

 ミュージシャンからの信頼も厚いが故に、他誌には載らない独占インタビューが掲載されることもしょっちゅうです。最近掲載された大御所の例で言えば、ヴァン・ヘイレンのボーカル、デイブ・リー・ロスの独占インタビューでしょう。2013年5月号に掲載されました。彼は、ヴァン・ヘイレンの初代ボーカルであり、その後脱退していたのですが、復帰。彼が歌うオリジナル・アルバムとしては28年ぶりとなるアルバム『A DIFFERENT KIND OF TRUTH』を2012年にリリースしました。その頃も来日が予定されていたのですが、ギタリストのエディ・ヴァン・ヘイレンが大腸の手術をすることになり、来日が延期になったのです。活動休止中、実はデイブ・リー・ロスは数ヶ月にわたりお忍びで日本に滞在していたのですね。そんな情報もつかんだうえで、独占取材に成功したのです。

 ライブレポートも、単なる礼賛ではなく、ボーカルの喉の調子が悪かった、新メンバーの動きがぎこちなかった、機材の調子が悪かったなど、マイナスの話も書くことが特徴です。

 アルバム・レビューのコーナーも、賛否を呼びつつも、注目を集めています。評価する編集者により点数のつけ方の傾向が異なる上、時には辛口コメントを書くことも特徴です。ちなみに、聖飢魔Ⅱのメジャーデビューアルバム(彼らの世界観で言うと、地球デビュー大教典)『聖飢魔Ⅱ〜悪魔が来たりてヘヴィメタる』は、史上最低の0点でした。

 圧倒的な文字量であることも特徴です。しかも、フォントも小さめなんです。ただ、ヘビィメタルに絞って、これだけの情報量を提供しているのですから、ファンにとっては買ってでも欲しくなるわけです。

 このように、妥協なき編集方針、雑誌のバリュー、カラーがはっきりしていること、ネット上にあまり転がっていない情報を発信し続けているということが人気の秘密でしょう。雑誌の部数のピークは90年代半ばだったと言われています。その後、音楽シーンの変化や、出版不況などで部数は全盛期よりは落ちていると言われていますが、それでも雑誌は支持され、続いています。

 その創刊30周年記念超特大号は、やはり買ってでも欲しくなる豪華版でした。創刊から30年間、その年に何があったのか。その年の来日公演、話題のアルバム、事件などが、わかりやすくまとまっています。もちろん、過去記事の使い回しという批判もあることでしょう。ちょっと待ってください。この号までの440号の中から記事を探すだけでも大変です。DTPの時代ではなかったこともあり、それを再編集するのも手間暇かかります。ヘヴィメタルの歴史を振り返る上でも貴重な資料だと言えるでしょう。

 お金を払ってでも欲しいコンテンツをつくる、メディアに熱がある。出版不況と言われる時代に、長く売れ続けるコンテンツの秘密は意外にシンプルです。でも、これが難しい。それを続けた編集部の皆さんは凄い。30周年、おめでとうございます!


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