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経営危機のスカイマーク 考えられる存続方法を大前氏が分析

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 日本初のLCC(格安航空会社)として1998年に運航を開始した航空会社、スカイマークが経営危機に直面している。スカイマークが生き残るためにどんな方法が考えられるのか、大前研一氏が解説する。

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 国内第3位の航空会社スカイマークの経営危機が取りざたされている。発端は、スカイマークが国際線参入を狙って発注していた世界最大の総2階建て旅客機エアバス「A380」6機の代金支払いが滞り、エアバスから契約解除の通告を受けたことだ。700億円超の違約金が発生する恐れがあるため、スカイマークが事業の継続に「重要な疑義」が生じていると開示し、同社の資金繰りに対する不安が高まっている。

 実は私は、スカイマークがエアバスから契約解除を通告されたというニュースが出た直後、雑誌の取材に答えて「エアアジアが救済すべき」と発言していた。なぜ、そう考えたのか。

 かつて航空会社が生き残るコツは、機体や路線の数だと言われた時代を経て、空港のターミナルとボーディングゲートのモノポリー(独占権)だと考えられていた。つまり、大空港のターミナルを占有してボーディングゲートを支配し、そこを拠点としてハブ&スポークス(*自転車の車輪のようにハブ空港に路線を集め、そこから各地の空港に分散する)の路線網を構築すれば、乗り継ぎが便利になって競争に勝てたのである。

 しかし、ターミナルを占有してハブ&スポークスの便利な路線網を構築できるのは結局、資金が潤沢で機体や乗務員を数多く保有している大手航空会社に限られてしまう。このため、たとえばレーガン革命の規制緩和で新しい航空会社が雨後のタケノコのごとく登場したアメリカの場合は、ハブ&スポークスではなく、A空港とB空港をダイレクトに結ぶ「シティペア」という方式を徹底的に考えたサウスウエスト航空などが生き残った。

 そうした視点でスカイマークを見ると、そもそも会社の規模からしてA380を使える力はない。スカイマークの西久保愼一社長は自分の会社の実力と後発航空会社の生き残り戦略を完全に読み間違えたと思う。航空会社の経営に関する基本的なノウハウと大型機より運用に柔軟性がある中小型機が主流となっている現在の航空業界のトレンドを熟知していたら、500席以上の巨大なA380を6機も発注するはずがない。

 ANAかJALにスカイマークを買い取ってもらうという選択肢も考えられるが、それは難しいだろう。日本はスカイマークなどの参入によってようやく航空業界に競争原理を導入できたという経緯がある上、ANAは経営不振が続いたAIRDO(エアドゥ)と当初はエアアジアとの共同出資で設立したバニラ・エア(旧エアアジア・ジャパン)を抱えており、経営再建を果たして間もないJALにも余力がないからだ。

 一方、エアバス側にはスカイマークが発注したA380を是が非でも売りたいという経営的な事情がある。その能力を有する世界でも数少ない航空会社の一つが、エアアジアなのだ。

 エアアジアは2011年にANAと合弁会社エアアジア・ジャパンを設立して日本の国内線に参入したが、サービス品質などで対立し、2013年に提携を解消した。その後、楽天などの出資を受けて新たに日本法人を設け、来年夏に再び国内線に参入することを決定している。

 そのエアアジアがスカイマークを買収すれば、日本以外でもA380を使える路線はたくさんあるし、スカイマークが豊富に持っている「ドル箱」の羽田発着枠(現在は36枠)を手に入れることもできる。成田空港内のスカイマーク事務所もそのまま使える。メリットはすこぶる多い。

 エアアジア本社のトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)が全面否定したのは株価が急上昇するのを牽制する意味があったのかもしれないが、航空業界に参入すると決めた楽天の三木谷浩史会長兼社長の頭の中には当然、この「棚ぼた」ディールが埋め込まれているはずだ。

 一方、このまま700億円超という総資産に匹敵する違約金を払わされることになったら、スカイマークは倒産するしかない。そういう状況になれば、すでにエアバスに支払ってある約260億円の前払い金が生きてくるので、うまみのある買収になるだろう。エアアジア側にとって失うものはほとんどないので、まだまだ“新たな展開”もあり得る、と私は見ている。

※週刊ポスト2014年9月19・26日号


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