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ウエアラブルカメラの未来とは? Glazedカンファレンス現地レポート3

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着ている服に付けられる小さなウエアラブルカメラ「Lightbox」を開発したスタートアップのCa7Ch(キャッチ)と、米軍が戦場任務にも使用する高画質のアクションカメラを送り出しているContour(コンツアー)。それぞれ違う用途にフォーカスしながら、ウエアラブルカメラ市場で注目を集める2社。その経営陣がGlazedカンファレンスで、ウエアラブルカメラの今、そして未来を語った。

Glazedカンファレンスで登壇したCa7Chのアイゼンバーグ(右)とContourの ハリソン

「一晩に10億枚以上の写真や動画がソーシャルメディアにアップされている時代だから、みんな常に何かを撮影していて、それを仲間とシェアした途端に、すぐに次の撮影へと移っている。リアルタイムで起きている目の前の現実を記録し続け、それを人々とシェアし続けていくという、我々の誰もが予想しなかったような革命がとっくに始まっている」
そう話すのは、スタートアップ企業Ca7ChのCEOで、小型ウエアラブルカメラ「Lightbox」を開発したロム・アイゼンバーグだ。

TOP写真は一辺1.5インチと小型のウエアラブルカメラ「Lightbox」


「Lightbox」のスマートフォンでの操作画面

正方形のこのカメラは、服や帽子などにクリップとマグネットで付けられる小型カメラだ。ハンズブリーで目の前の対象が撮影でき、ファインダーにはスマートフォンの画面を利用する。Wi-Fiとbluethoothでスマートフォンに撮影データが送られ、写真や動画をリアルタイムでソーシャルメディアを通して家族や友人とシェアできるのが売りだ。Kickstarterで資金を募ったプロジェクトが成功し、現在、159ドルの価格で先行オーダーを受け付けている。

「既存のウエアラブルカメラで使い勝手が満足できるものがなかったから、自分たちで欲しいものを作った」と言うアイゼンバーグ。かつてはミュージシャンだった彼が、友人らと話していて「簡単に使えて、日常生活のあらゆる場面を即座にキャプチャーできるカメラがあれば」という会話になったのが起業の発端だった。

縦横とも1.5インチ(約3.8cm)と、洋服の上に装着すると、ちょっと見ただけではカメラだとは気づかれないぐらいの小ささだけに、撮影の際のプライバシー面が気になるところだが、コンパクトで手軽という面では、人気のアクションカメラ「GoPro」よりも小回りが利きそうだ。

これに対して「このカメラは、北極探検のドキュメンタリー映画を撮影するプロの映画監督にも愛用されている高画質が売りだ」と対抗するのは、アウトドア冒険用のアクションカメラメーカーContourのマーケティングチーフのジェームズ・ハリソンだ。

ヘビーデューティーなアクションカメラContourのウェブページ

大自然に囲まれたグランドキャニオンのお膝元、ユタ州に本社があるContourは、10年前から市場を拡大してきたアウトドア用カメラメーカーの老舗だ。警察や米軍も任務の現場でContourのカメラを使っているほどのヘビーデューティーさと高画質を誇り、登山家や冒険家、アクションスポーツのプロにも愛用者は多い。7月には、世界でも有数の女性クライマーでありウィングスーツフライヤーでもあるステフィ・デイヴィスさんと専属契約を結んでいる。

Contour のカメラは丸いレンズの存在がはっきり分かり、従来のビデオカメラに近い形だ。小型のフラッシュライトに似た形で、ヘルメットや自転車等に装着できる。一般的なビデオカメラよりはずっと小さくウエアラブルではあるが、Lightboxと比べると大きく重い。値段は約200〜300ドル。Contourの直接のライバル製品はGoProカメラだが、どんな過酷な環境でも瞬時に作動できるというのがうたい文句だ。

エクストリームな環境下でも耐え得る機能と高画質を強調するContour。一方、Lightboxは生活の中に溶け込んでしまえそうな、存在感のなさが売りだ。

「食事をするとき、フォークをみんな使うけど、フォークのあのデザインの中にどんな技術が込められてるかなんて誰も考えないで使っている。Lightboxはフォークみたいな存在を目指している。それがウエアラブルの未来のひとつの形だと思う」と、Ca7Chのアイゼンバーグは言う。

2年以内に、ウエアラブルカメラは洋服のボタンほどの大きさになるだろう、という予測をするウエアラブル業界のエンジニアが多い中、Lightboxは、そのサイズに一番近いわけだが、どんなにカメラ自体を小さくできても、スマートフォン画面をビューファインダーとして使う限り、スマートフォンのバッテリーが切れたら終わりだという限界がある。

そこを指摘されると、アイゼンバーグは「それはその通り」と認め、その解決策を探しているところだと言った。Lightboxの売りのひとつが「常にみんなとつながっていること」であるだけに、撮影した画像や映像をその場でソーシャルメディアを通して誰かと共有できなければ、利用価値が半減してしまう。その意味で、バッテリーの限界の問題は大きい。

この点については、Contourは単体のカメラとしても使えるため、充電できない屋外でスマートフォンのバッテリーの残量を気にする必要はない。カメラ本体にGPSが内蔵されているので、撮影したデータにはGPSデータも付いている。これは、GPSデータを利用したマネタイズの可能性には大きなプラスだといえるだろう。

Lightboxは完全ハンズフリーで胸に着けて使用できるだけに、誕生日パーティーなどの多くの人々が集まる場面を、自分が見ている目線と同じライブ感覚で、かつ相手を警戒させずに自然な表情を捉えられるという利点がある。日常生活の何気ない場面を誰かとシェアする個人の「スモールデータ」を収集するには、ぴったりのメディアだとアイゼンバーグ。「ビッグデータより、スモールデータの時代が、そろそろ来ているんじゃないか」と彼は言う。

対して、Contour のハリソンは、「自分は正直、スナップチャット世代ではないので、日常生活のあらゆる場面を映像で誰かとシェアしたいという欲望はないけど、冒険したり、単純に人より高くバイクでジャンプした場合など、自分はこんなすごい体験をしたんだと誰かに自慢したい気持ちはよく分かる。その虚栄心こそが、人がウエアラブルカメラを使う原動力になっていると思う」と言う。ただ、Coutourのカメラのサイズを指摘されると「確かにウエアラブルとしてはゴツい。もっとサイズを小さくする努力をしていきたい」と付け加えた。

簡単に撮影できて、画像がものすごく鮮明で、撮ったビジュアルをすぐ誰かとシェアして楽しみたい。消費者のウエアラブルカメラへの要求は多い。スマートフォン内蔵のカメラでほとんどの用が足りてしまう今、さらに一歩進んだ機能や使い勝手の良さがなければ、わざわざウエアラブルカメラを買う必要はない。アイゼンバーグもハリソンも、作り手側はそれを十分分かっていて、独自の「売り」を常に提供していかなければならないと強調した。

著者:長野 美穂(ながの・みほ)
ジャーナリスト。早稲田大学卒業。出版社勤務を経て渡米、ノースウェスタン大学大学院でジャーナリズムを専攻。ロサンゼルスの新聞社で記者を務めた後、フリーのジャーナリストとして活動。

参考情報(外部サイト)

Ca7Ch
Contour

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