新日鉄住金の製鉄所事故 現場の「技能伝承」は十分だったのか

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新日鉄住金の製鉄所事故 現場の「技能伝承」は十分だったのか

新日鉄住金の名古屋製鉄所で9月3日、火災が発生し、同社社員11人と協力会社の社員4人が負傷した。同製鉄所は今年に入って停電で黒煙が噴出するトラブルが4度起きており、近隣住民から怒りの声もあがっているという。

同製鉄所は同社の基幹製鉄所のひとつで、トヨタ自動車などに薄板を供給している。各紙の報道によると、会社は事故の原因について、火元の貯蔵施設に長時間置かれていた石炭が熱を持ち、大量の酸素が混ざり合って爆発したと説明している。
ネットには「人材への投資を怠ったがため」という憶測も

そもそも貯蔵施設に石炭が長時間置かれていた理由は、炉に入れる前に加工する施設が点検中だったため。2ちゃんねるには、続出するトラブルのきっかけが停電だったことを踏まえ、今回の遠因も「電気系統の設備(設計)不良」と見る人がいる。

さらに設備不良の背景として、「いろんな現場ノウハウ抱えてた技術者が引き抜かれたか定年退職したとか?」とコメントする人も。同じようなトラブルは、国内の他の現場でも起こっている可能性があるという。

「当時の設計者の考え方だとか、現場で培われた経験的な運用技術とか、人材への投資を怠ったがために、分からなくなっているのではないか、と指摘されてるし、化学プラントとか製鉄所だとか大工場では、どこも似たような話がありますね」

これと同様の「技能伝承」に対する懸念は、事故の記者会見でも投げかけられたが、東洋経済オンラインの記事によると、名古屋製鉄所の酒本所長は明言を避けたようだ。進藤社長は「(製鉄所の)マネジメントの問題であろうと認識している」と答えている。

キャリコネの口コミには、同社のとある製鉄所で起きたトラブルに関する告発があった。生産管理・製造管理部門で働く40代前半の男性は、大きな被害を生じた設備トラブルを受けて、報告用の資料を作成した。深夜残業を繰り返し、のべ100時間も掛かったというが、その理由は何とも呆れるものだった。
事故原因は不明でも「資料の色やフォント」にこだわる

「資料作成に膨大な時間がかかった一因は、挿絵の色やフォントのサイズ・字体、文章表現などに、繰り返し上司からの修正指示があったため。(トラブルの)原因は、技術的には本当には分かっていない。資料上は、解明されたことになっているが…」

その資料を持って所長に報告したところ、20分かけて「馬鹿なミスだ」などとこき下ろされた。そして所長とともに本社に赴き、社長や重役など「偉い方々」に頭を下げた。

説明時間は1人あたり10分程度。「報告時間の実に100倍の資料作成時間がかかった」とグッタリしている。技術的原因をあいまいにしたまま設備の再稼動をしたとなれば、事故が再発しても不思議ではない。

また、この男性社員は、会社で出世しやすい人の条件のひとつとして「冷酷な方針、無茶な要求を平気で出せる人」という項目をあげている。2ちゃんねるにも事故を受けて、

「ありとあらゆる部分を織り込んで生産計画を立てるから、ちょっとしたことで狂うと全体があっけなく破綻する。コスト削減やカイゼンで無茶をしすぎた結果、コケた時のダメージが絶大」

と、無茶な要求で乗り切り続ける体制のモロさを指摘する人がいた。景気回復により自動車の生産が好調というが、日本の誇る製造現場に何かほころびが出ているのだろうか。

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