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一流の戦略より「一流の実行力」 社員を信じて任せるダイキンの経営術

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大阪市に本社を置く空調総合メーカー・ダイキンの入社式は、新入社員が会社役員たちと円卓を囲み対話することが恒例になっている。何を話しているか聞いてみると、「離婚はなるべくせん方がいい」など、ざっくばらんな居酒屋トークだった。

輪の中心にいたのが、バブル崩壊後赤字に転落したダイキンを、20年かけて年商1兆7800億円、145の国と地域に進出するグローバル企業に押し上げた井上礼之会長だ。2014年8月28日放送の「カンブリア宮殿」は、井上氏の人材育成術と経営戦略に迫った。
「実行の現場の波打ち際」にトップも入り込む

ダイキンは、日本初の冷暖房一体型エアコンや、ビル向けエアコンなどで高いシェアを誇ってきた。しかしバブル崩壊後、17年ぶりに赤字に転落。井上氏は多角化していた経営を整理し、空調事業へ集中することを決断した。

撤退を迫られていた家庭用ルームエアコンも、加湿と除湿機能を備えた「うるるとさらら」を大ヒットさせ、一気にシェアトップへ。さらに猛暑が続いた欧州で、機を逃さず販売を拡大し、冷房文化がほとんどなかった国々にクーラーを根づかせた。

素早い開発や販売の根底にある理念は、「六分四分の理」だという。その意味を村上龍が質問すると、井上氏はこう力説した。

「経済や社会が急速に変化するときに『戦略』に時間をかけていたら、必要なときにはもう遅れてしまっている。だいたいの方向性が出たらすぐに『実行』に入る。実行の現場の波打ち際にトップも入り込んで、波打ち際で戦略を柔軟に変更しないと間に合わない」

ダイキンが重要視しているのは「一流の戦略と二流の実行力」より、「一流の実行力と二流の戦略」だ。

そんな実行力のある社員たちは「厳しい困難を、信頼して任せる」ことで育てられている。大規模な祭りの運営を任せ、新入社員や先輩どうしが熱くディスカッションする合宿を行うなど、社員の力を引き出すことに力を注いできた。
5泊6日の「鳥取合宿」で議論漬け

毎年8月、大阪・摂津市で行われる「ダイキン盆踊り大会」は、地元の一般客へも解放し2万5千人が訪れる大きなイベントで、入社2~3年目の若手社員に企画・運営が任される。

この祭の実行委員会は、本業の仕事は大幅に免除され、祭の準備にかかりきりになる。実際の仕事では人を動かす立場にない社員も、チーフになって陣頭指揮をとらなくてはならないが、この経験が困難に立ち向かう力を養う。

さらに、社員のほとんどが障害者というダイキンの子会社「サンライズ摂津」では、決して彼らを特別扱いせず「自分で稼ぐ会社にしろ」と任せている。障害者が働きやすいよう知恵や工夫を出し合う環境で、19期連続の黒字を出しているという。

入社直後に行われる5泊6日の「鳥取合宿」では、ダイキンの研修施設でチームに分かれ集団生活を行う。実に40年以上前から井上氏が始めたものだが、その時間の多くはディスカッションで占められる。

「自分はどんな社会人になりたいか」

「自分には何が足りないのか」

先輩や仲間たちと対話を繰り返し、自分自身と深く向き合っていくのだ。先輩社員たちは新入社員の気持ちの変化を読み取り、一人ひとりの気持ちを汲み取っていく。

最終日のキャンプファイヤーでは、毎朝練習してきたジンギスカンで大盛り上がり。火の番は社長はじめ役員たちが行っており、新人研修というより会社をあげて新入社員をもてなす場になっているようだ。
「管理では人は育たない」という信念

井上氏が「社員を信じることで会社が伸びる」と気づく原点となった出来事がある。50年前に業務改善の部署にいたとき行った「タイムカード廃止」だ。タイムカードがあった頃には始業が8時でも稼動するのは8時20分頃。しかしカードを廃止してみると皆8時きっかりに業務を始めるようになった。

驚いた井上氏は「管理から自主性に持っていったら、これだけ出勤率・稼働率があがるのか」と気づいた。「管理で人は育たない」と断言し、個人と会社はフェアな選択の関係があると考えているという。

「(ダイキンで働くと)自分で選択した人は、帰属意識を持ってほしい。しかし強制はできないので、経営者はその環境をつくるのが仕事だ」

村上龍も、社員は信頼されれば「自分たちは大事にされていると思いますよね」と感想をもらしていた。

「信じて任せる」ということは、当たり前のようでなかなか出来ないし、ただ信じて任せるだけでは良い方向に行くとは限らない。井上氏は社員や幹部との対話や実行を通じ、信頼関係を重ねた上で人が動くと熟知している経営者なのだろう。(ライター:okei)最新記事は@kigyo_insiderをフォロー/
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