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高齢者が仕事についているか否かは健康問題に直結すると医師

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 人口減少と高齢化は、日本のもっとも大きな問題だと言われている。労働力確保のために、女性、高齢者、外国人にも働く機会を増やすよう政府は求めている。ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、高齢者が働く新しい形の例として「株式会社高齢社」を紹介する。

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「株式会社高齢社」という会社の最高顧問である上田研二さんに会った。テレビ東京の『カンブリア宮殿』などにも出演した、いま注目の経営者である。1938年生まれで重いパーキンソン病を患っているが、とにかく明るかった。

 上田さんは65歳以上の高齢者を対象にした人材派遣の会社「高齢社」を14年前に立ち上げている。高齢者の多くは、まだまだ元気で働きたいという意欲がある。しかし働く場がないという実情を知り設立を思い立った。

 高齢者の活用は産業界にとっても有効だ。着眼点がすばらしいし、それを実践できる行動力が、これまたすばらしい。

 上田さんは〈きょういく〉が大事だという。僕が「確かに教育は大事ですよね」と賛同すると、その教育ではない、と否定した。〈きょういく〉は「今日、行く」の意味で「今日、行く」ところがあることが高齢者にとって大事なのだと教えてくれた。

 また〈きょうよう〉も大事だと上田さん。これは「今日、用」があること。これがないと定年退職後は生きづらくなるという。

「退職後の半年は奥さんも、ご苦労様でしたね、と労ってくれるけれど、それを過ぎると邪魔者扱いされますよ。犬からも嫌われるんです」と笑う。僕は「犬からも?」と聞き返すと、こんな答えが返ってきた。

「用がないから日に何回も犬の散歩に出かけ、犬はそれに付き合わされて嫌になってしまうんです」

 これには僕も大笑い。

 20世紀の精神医学の巨人、フロイトは「働く場所があること」と「愛する人がいること」の2つがあれば、大概の人は生き抜けるといっている。

 その通りだ。

 僕が40年にわたって続けてきた健康づくり運動でもそれは実証されている。健康で長寿を保つのに最も影響を与えているのは、就業だった。高齢者が仕事についているか、いないかということは健康問題にも直結しているのだ。だから上田さんのいう「今日、行く」場所があることはとても大事だと僕も思う。

 さらに上田さんは新しい働き方をも提案してきた。会社で定年退職者が2人出たら、まず若い人を1人雇う。もう1人分は、高齢者2人でワークシェアリングしてもらう。1人、週3日ずつの労働で、休みたいときには2人で調整し合い、仕事には穴を空けないようにする。この働き方で月収は8万~10万円程度になる。年金と合わせれば、そこそこ楽しみながら生活をしていける。

「目指すのは資本主義ではなく、人本主義なんです。一番は社員、次にお客さん、そして株主の順で大事にしています」上田さんはそう定義する。

「高齢社」では、午後4時以降になると、お客さんにビールをふるまっている。お客さんと一緒なら社員も飲んでいい決まりだ。その大らかな決まりのおかげか、お客さんも4時以降に来る人が増えたとか。週3日働いてビールを飲んで帰って行く社員はとても幸せだと思う。

※週刊ポスト2014年9月12日号


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