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新たな技術で海外の「第一次産業」を創出 日本のベンチャーが仕掛ける絶品食材づくり

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狭い国土で作物を育てなければならない日本は、農業や漁業の研究開発が重ねられてきた。そんな日本の技術が、これまで野菜や魚がとれなかった国で活躍し始めている。

2014年8月19日放送の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、UAE(アラブ首長国連邦)の砂漠でトマトを栽培、モンゴルの大草原にエビの養殖場を作る取り組みを紹介。仕掛け人はいずれも、エンジニアが率いるベンチャー企業だった。
大手ゼネコンから転身「海がなくてもエビをつくる」

新潟県妙高市のIMTエンジニアリングは、社員7人のベンチャー企業だ。田んぼに囲まれたこの会社は、海のない場所で「バナメイエビ」の養殖を行っている。

このエビは孵化して2週間ほど海水で生き、その後は淡水でも生きられるため、稚エビを海外から輸入して陸上養殖ができる。

温度調整と濾過装置で水を再利用するため、コストが少なくて済む。人工的に波まで起こし、身がプリプリしたエビに育てている。輸入モノより割高だが、抜群に鮮度が良く酸化防止剤無添加・国内産という安心感から、いまでは都内の高級レストランなどで人気となっている。

この養殖場を設計したのは野原節雄さん(66)だ。大手建設会社ハザマで設計を担当していた折、海外出張で見た「陸上養殖」を広めたいと13年前に転職した。野原さんはその理由をこう語る。

「日本は水産王国。世界に冠たる水産技術を持っている。でも稚魚から成魚に陸上で育てる技術は海洋国だから必要がなかった。日本でも陸上養殖を本格的にやれば、新しい産業になるんじゃないかと思った」

中国とロシアに挟まれ内陸にあるモンゴルは、国土の大部分が草原だ。首都のウランバートルでは、10年前から富裕層を中心に輸入物の海産物を食べる習慣が根付いてきていた。

モンゴルの実業家ムンフェルデネさんとアランザルさんは、IMTエンジニアリングと組んで、草原の真ん中に養殖場の建設を行っている。来春にはモンゴルでバナメイエビの陸上養殖を始める予定だ。
元東レの技術者。砂漠で糖度抜群のトマト栽培

もともとモンゴル人の主食は肉で海産物を食べる習慣がなく、牧草地帯に住む家族は「エビなんて知らない。テレビでは見たことあるけど」という。

モンゴルの飲食店関係者を招いての試食会でも、「海のない私たちの国で海産物ができるのはうれしい。ぜひ応援したいわ」と好評だった。野原さんは建設予定地を眺めながら「建設工事が始まると『実際に我々が貢献できるんだな』という感覚が非常に強くなる」と嬉しそうに話した。

3年前に脱サラして農業を始めた辻さん(33)は、「ハイドロメンブラン」という特殊なフィルムを利用しトマトを育てている。土や水がほとんどなくても育てられ、必要な水の量が通常のハウス栽培の3分の1程度。低コストで「甘くて果物のような」トマトを作り出せる。

このフィルムを開発したのが、神奈川県平塚市のベンチャー企業メビオールだ。社長の森有一さん(72)は元東レの技術者で、人工透析膜を研究。早稲田大学の理工学部で客員教授もつとめた経歴の持ち主だ。水不足などで農業がやりにくい場所でこの技術を根付かせ、人々を救いたいという。

「一年で収穫できて、若い人たちが農業の世界にたくさん入れる。それが日本の農業の再生につながる」

世界で「安全で高品質なものを作っていく」

今年の春、森さんは中東のUAE(アラブ首長国連邦)でのトマト栽培に貢献した。UAEは国土の大半が砂漠で占められていて、野菜の生産が難しい。「輸入ものはまずい」と人々は言うが、高額で鮮度が落ちた野菜や果物が市場にならんでいた。

森さんの技術で作ったトマトを買い込んだ家族を訪ねると、「自分たちの国でこんなに新鮮な野菜ができるなんて信じられない」とご主人が驚き、子供たちが大喜びで食べていた。森さんは手ごたえをこう語る。

「農業が従来できないような所で、安全で高品質なものを作っていく。こういうことを世界へ広めていくのは、私の使命だと考えるようになりました」

誰も考えなかったような場所で生鮮食品をつくり出したのは、いずれも自らの技術を人々の役に立てたいと願うベンチャー企業の挑戦者たちだった。それはその国の食文化を変えていくほどの力を持っている。今後もこのような挑戦がどんな未来を作っていくのか楽しみだ。(ライター:okei)

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