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代ゼミ独り負け 「SAPIXの買収効果で挽回も可能」と専門家

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「駿台」、「河合」と並んで大学受験予備校の老舗といわれ、頭文字をとった“SKY戦争”の一角を占めていた「代々木ゼミナール」が脱落しつつある。全国27拠点のうち20もの閉鎖、主要な模擬試験の廃止、教職員のリストラなど、次々と縮小路線を余儀なくされている。

 代ゼミ不振の要因は大方報じられている通り。少子化や大学全入時代により、「20年前に比べて浪人生が3分の1に減ったことと、国公立・理系大学の現役志向が強まり、私大文系受験に強みを持っていた代ゼミで浪人してまで勉強しようという受験生が減った」(東京の私立高校教諭)ことに尽きよう。

 だが、年々減っていく受験生のパイの奪い合いは他の予備校でも熾烈を極めており、代ゼミの「独り負け」と結論づけるには、まだ早い。安田教育研究所代表の安田理氏がいう。

「いま、大手予備校は“未来の大学受験生”を囲い込むため、中学・高校の受験塾と提携、買収戦略を繰り返しています。

 河合塾は日能研と提携していますし、駿台は灘中学合格で高い実績を誇る関西の浜学園と手を組んでいます。

 また、林修先生をはじめ名物講師の知名度やインターネットを使った映像授業で生徒数を増やす東進ハイスクールは、四谷大塚を買収したり、早稲田アカデミーに出資したりと、ターゲット層の拡大に余念がありません。こうした戦略でいえば、代ゼミも決して負けてはいません」

 代ゼミを運営する学校法人の高宮学園は2009年にSAPIX中学部・高校部を、翌年にはSAPIX小学部を相次いで傘下に収めているからだ。安田氏が続ける。

「SAPIXは難関中学の合格実績が断トツで、男女御三家の合格者数では2位の四谷大塚の倍以上。小学5年生まで日能研に通い、6年生だけSAPIXに移る子もいるくらい、成績上位生がSAPIXに集中する状況が続いています。

 でも、そんな優秀な子供たちが大学受験になると代ゼミではなく他の予備校に行ってしまうため、なかなか買収効果を上げられないでいるのです。今後、代ゼミが国公立や理系対策、東進のようなネット配信の強化を進めていければ、SAPIXブランドは活きてくると思います」

 予備校が大学受験から中高受験ビジネスに手を広げる一方で、学習塾が“下から上”への戦略を強化していることも、業界全体の競争を混沌とさせている要因だ。

「早稲田アカデミーや臨海セミナーといった受験塾が自前で大学受験科をつくり出していることで、そこで学んだ生徒が馴染み深いところで大学受験に向けての勉強をする傾向も強まっています。早稲アカは医学部専門の予備校である野田クルゼも買収しましたしね。老舗の予備校にはますます人が集まりにくい状況といえます。

 そういう意味では、四谷大塚を買収したり早稲アカに出資したりと全方位戦略を進める東進のネットワークは強い。地方資本の予備校や異業種も巻き込んでフランチャイズ契約を結び、有名講師の映像授業をパッケージ化して広げる戦略は今後も伸び続けていくでしょう」(安田氏)

 個別指導塾の台頭や、中高に予備校講師を招聘しての“学内予備校”など、より細かい受験生のニーズも高まる中、果たして規模を追い求める学習塾・予備校の合従連衡の行方はどうなっていくのか。

「はじめから成績上位層をどれだけ確保できるかの勝負」(大手予備校関係者)との声も聞かれるが、受験生の成績を伸ばす“本分”を無視して実績欲しさの消耗戦を繰り返せば、塾・予備校離れに歯止めはかけられないだろう。


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