AEDの使用率低調、命の現場で積極的な行動を

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AED設置から10年。設置数は増えるも使用率は低調

AEDの使用率低調、命の現場で積極的な行動を

市民も使用できるよう、公共の場に自動体外式除細動器(AED)が設置されてから10年が経過しました。設置数は2012年に統計を取った時点で、全国で20万台を超えており、さらに現在は普及しています。

しかし、今でも命の現場にかかわることをためらってしまうケースは多く、心肺停止状態で救急搬送された人に対する市民のAED使用率は低調のようです。

総務省消防庁によると、AED設置が始まった翌年の2005年の心肺停止による救急搬送数は、全国で1万7882件。このうち、AEDを使用したケースは46件、使用率は0.2%でした。それが、2012年には、心肺停止による救急搬送数が2万3797件に。このうち、881件でAEDが使用され、使用率は3.7%と上昇しました。また、AEDで電気ショックを受けた患者の1か月後の生存率も26.1%(2005年)から41.4%(2012年)に向上。ちなみに2012年の搬送数のうち、AEDで電気ショックを受けなかった人たちの1か月後の生存率は10.3%だったそうです(読売新聞より)。

AEDの使用方法は簡単。積極的に行動するには

AEDは以前よりも進化し、使用方法はますます簡単になりました。ボタンを押せば音声で指示してくれますので、それに従って行動すれば良くなっています。しかし、「命の現場へのかかわりをためらってしまう」のは、失敗したときのことを考え、慎重になりすぎる傾向が強いことが背景にあるようです。問題は、「万が一、亡くなった場合にどうなってしまうのか?」。それに対する回答は、こうです。

「2004年7月1日の厚生労働省通知により、救命の現場に居合わせた市民が救命のためにやむを得ず行った場合には、医師法上、民事上、刑事上、責任は問われない」

つまり、救命のために行った行動については、正当性が認められるということです。この正当性をより高めるためには、とにかく今いる現場で大きな声を出し、「自分は救命のために行動している」ということを多くの人たちに見てもらっておくことが大切といえます。

また、「意識や呼吸が無い→119番に通報(異常が察知できたら早急に)→心肺蘇生法(CPR)を含めたAEDによる救命→救急車の到着」といった一連の流れを知っておくだけでも慌てることが少なくなるでしょう。このことは救命率の向上につながります。そして、より積極的に行動してもらうためにも、CPRを含めたAEDの講習の受講をお勧めします。

何かの行動を起こすことで、誰かの命が助かる確率が高くなることは間違いありません。

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