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飲酒で寮生全員に退去通知はやりすぎ?

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東北大学の寮で、飲酒を理由に全寮生に対して退去を求める処分

先日、東北大学のある寮で、禁止されている飲酒がなくならないことなどを理由に、全寮生に対して退去を求める処分が下されたとの報道がなされました。報道によれば、大学側から何度注意しても規則を守らない寮生がいたことから、このような処分を取らざるを得なかったとのことです。

しかし、寮生の中には、きちんと規則を順守していた寮生もいるようです。にもかかわらず、全寮生に対して退去を求める処分を下すことは、許されるのでしょうか?

貸主側からの契約解除には、正当な理由が求められる

学生寮への入寮は、賃貸借契約に類似した入寮契約に基づくものということができます。賃貸借契約であれば、貸主側からの契約解除には、正当な理由が求められます。例えば、賃料を一定金額以上滞納したままである場合や、遵守すべき契約上のルールに繰り返し違反して、他の居住者にも迷惑をかけていることが明らかな場合などです。

もっとも、入寮契約の場合、寮費が一般の民間賃貸の賃料より低額であることが多いため、その分、借主の保護がやや手薄となり、貸主側に正当な理由が認められやすくなる傾向もあると考えられます。一般の契約と対比すれば、賃料を要求しない「使用貸借」に近いともいえます。 しかし、たとえ使用貸借だとしても、貸主はどんな場合でもいつでも退去を求められるわけではありません。今回は、わずかでも寮費の支払いをしていることから、なおのこと貸主側の自由に退寮が認められるということはないと思われます。

規則を順守していた寮生にまで退寮を迫ることには疑問が残る

今回の問題も、同じように考えれば、違反行為を繰り返した寮生に対しては、入寮契約の解除を理由とする退寮処分も認められる可能性があると思われます。 しかし、規則を順守していた寮生にまで退寮を迫るような今回の処分には、正当な理由があるようには思えません。

貸主側の事情を最大限に考慮するとすれば、例えば、全寮生による寮の通常の管理状況が無法地帯状態となっていて、外部からの関与がほぼ不可能になってしまっているというような場合や、寮の建物の老朽化が激しく近いうちに崩落するような差し迫った危険があるような場合には、全寮生への退寮を求める処分が許される可能性もあるでしょう。また、純粋な民間賃貸ではない学生寮という性格から、大学と学生という特殊事情が考慮される可能性もないわけではありません。さらには、入寮の際の条件として、特約のようなものが定められていることも考えられます。

報道されている情報からだけでは、こうした事情まではよくわかりませんが、少なくとも規則を順守していた寮生にまで退寮を迫るような今回の処分には正当な理由があるようには思えず、今回の処分にはやや疑問が残るところです。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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