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空き家を宿泊施設として活用 高齢者は年金の補填に利用可能

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 所有や占有ではなく共有、つまり「必要な時だけ借りる」「必要な分だけ借りる」という概念の「シェアビジネス」の注目企業、世界中の空き部屋宿泊をインターネットで仲介する「Airbnb(エアービーアンドビー)」はすでに日本に“上陸”しているものの、日本では他国でのような事業展開ができずにいる。大前研一氏が、日本で「エバービーアンドビー」が活用されることによる新たなビジネスの可能性について報告する。

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 日本の場合、エアービーアンドビーのような宿泊施設の斡旋(あっせん)は、旅館業法に抵触する。同法は「宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業」をホテル、旅館、簡易宿所、下宿の4種類に分けて「旅館業」と定義し、都道府県知事に、その許認可の権限を与えている。

 

 その上で、「営業者は、営業の施設について、換気、採光、照明、防湿及び清潔その他宿泊者の衛生に必要な措置を講じなければならない」(第4条)として、施設が構造設備や設置場所、衛生面の基準を満たしているか審査している。具体的には、スプリンクラーや防火壁の設置、いざという時の避難経路の確保など、非常に細かい規制がある。

 しかし、現在、日本でエアービーアンドビーにホスト(貸し出し主)が登録している物件は、こうした基準を満たしていない。今のところ監督官庁が「大目に見ている」のが実情だ。

 実際、旅館業の許可を受けずに東京都足立区の自宅で外国人観光客向けの宿泊施設を営業したとして、イギリス人の男が旅館業法違反の疑いで警視庁に逮捕され、これ見よがしに手錠をかけられて連行されるシーンがテレビで流されていた。同様に大阪市や札幌市でも旅館業法違反の疑いで逮捕者が出ている。

 まず、エアービーアンドビー的なサービスで別荘が甦(よみがえ)る。軽井沢や蓼科(たてしな)、伊豆などの別荘を、持ち主が使っていない時に安く借りることができたら、相当なニーズが見込めるはずだ。高齢化した持ち主がほとんど使っていない別荘も多いので、それを借り上げて整備し、第三者に貸し出す業者が登場すれば、利用する人は少なくないだろう。

 欧米ではこうしたサービスのおかげで、銀行借り入れでリゾート地に立派な別荘を建てても、元本の返済ができる。老後はそこに移り住む、別荘地が賑わう、という好循環を生んでいる。

 さらに、年々深刻さを増している空き家問題(空き家率が全国平均で13.5%に達している)も、空き家を宿泊施設として有効活用することが一つの解決策となり、それによって大きな経済効果も生まれる。子供が巣立って自宅の部屋が余っている高齢者は、それを貸し出せば年金の補填ができる。

 日本政府は訪日外国人客数を、東京五輪が開催される2020年に現在の2倍の年間2000万人、2030年に同3000万人超に増やすという目標を掲げているが、日本の宿泊費は相対的に高いし、1泊2食付きの旅館は外食や自炊を好む長期滞在者のニーズに合わない。

 エアービーアンドビーで安く素泊まりし、食事は世界一多彩でレベルも高い日本の飲食店とコンビニやファストフードなどを利用するというスタイルのほうが好まれるのは間違いない。というか、訪日外国人が年間3000万人になったら、エアービーアンドビーのようなサービスがないと宿泊施設が足りなくなるだろう。

 要するに、日本は中央官庁による規制がなくなりさえすれば、インターネットと組み合わせることにより、アイデア一つで様々な新しいビジネスを生み出すことができるのだ。

※週刊ポスト2014年8月29日号


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