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サルが自分で撮った写真をめぐる法律問題について

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 サルが自分で撮った(いわゆる「自撮り」)写真を巡り、カメラの所有者であるイギリスの写真家と写真を自由に使える形でインターネット上に掲載しているWikimedia財団の間で、誰に写真の著作権が帰属するのかについて論争が起こっており、各メディアが大きく取り上げ注目を集めています。

 今回は、もしこの論争が日本で起こった場合はどうなるかについて、考えてみたいと思います。

 「著作権」は、著作権法上、文化の発展に寄与することを目的(著作権法1条)に、人々が著作物を公正に利用できるように配慮しつつ、著作者の権利を保護するために認められた権利です。わが国においては、著作権は創作すると同時に自動的に発生することになっていますので、登録などの手続きは必要ありません。作品を創作すれば、プロでもアマチュアでも関係なく著作権が発生します。そして、著作者の死後50年が経過するまで保護されます(同法51条)。

 現行著作権法の定義(同法2条)によれば、著作物として保護されるためには、
(1)「思想又は感情」を含むこと

(2)「表現」されたものであること

(3)表現に「創造性」があること

(4)「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であること

という4つの要件を充たす必要があります。

 動物が撮った写真については特に(1)の要件が問題となります。思想、感情を含むとは、人間の創作的な関与があることをいいますので、対象物が人間の創作活動の成果といえないような場合には、(1)の要件が認められないとされています。この点について、まず、動物が描いた絵についての議論を紹介します。動物が描いた絵は、人間の思想、感情が含まれていないので、著作物として保護されないというのが、多数の見解です。

 たしかに、動物が描いた絵も外見上は人間が作った著作物と同じように、鑑賞の対象となりえます。しかし、著作権法は、人々の創作活動を奨励するために著作物を保護するものであるので、人間の創作行為が介在しないものに対して、著作物としての保護を与えることができない、とされています。

 動物が撮影した写真についても、上記の見解が同様に妥当するならば、わが国においては(1)の要件を欠くため、「自撮りしたサルの写真」は著作物にはあたらないという結論となりそうです。したがって、写真が著作物にあたらない以上、著作権は誰にも帰属しないということになるでしょう。

 今回の件について、写真家は「遠方まで出かけて行って写真を撮影するには多額の費用がかかる。」、「売れるのはたった1枚かもしれないが、そうした写真によってわれわれは次の仕事を続けることができるのだ」と述べているそうです。

 著作権として保護することは難しいとしても、写真家の創作活動を支えるために、無料配布は差し控えたほうがよいのかもしれません。皆さんはこの問題についてどう考えますか?

元記事

サルが自分で撮った写真をめぐる法律問題について

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