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初出勤日の朝に衝撃の電話 「正社員目指して精一杯頑張ります!」と言ってたのに…

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ホテルでは正社員だけではなく、パートさん・アルバイトさんも沢山働いています。正社員の採用活動は本社が行うのですが、パート・アルバイトは各事業所の社員が面接・採用を行います。私も、アルバイトさんの採用に関わっていました。

一度「タウ○ワーク」さんで、夜勤アルバイトの募集をかけたときのことです。採用予定数2人に対して、なんと20人もの応募がありました。履歴書だけで合否を決めるのは難しく、とりあえず会ってみないと分からないということで、支配人と私が応募者全員と面接を行うことになりました。
面接疲れを吹き飛ばす「好青年」に期待膨らむ
(イラスト:ユズモト)

最初のうちは初体面の人と話をするだけでも楽しかったのですが、何人も会っていくうちに疲れていき、失礼ながら「もう誰でも良いじゃん…」という気持ちになっていきました。

10人くらい面接し終わったころでしょうか。支配人と「2人になんか絞り切れないよねえ…」と話していた直後に、その人はやってきました。

「K崎と申します、本日はよろしくお願いいたします」

見た目は、サッカーの阿部勇樹選手。年齢は20歳。話し方や服装も好印象。K崎さんの志望動機は、それまでの誰のものよりも心に響くものでした。

K崎さんは、高校を卒業して以来、大学や専門学校に行くわけでもなく、かといって就職をするわけでもなく、フラフラしていたのだとか。

ある時、これではダメだと思い就職活動を始めたが、なかなか雇ってくれる会社はない。そんな中、「正社員登用あり」と書いてあるうちのホテルの求人を見て、「応募しよう」と思ってくれたのだとか。どこかドラマチックなストーリーではありませんか。

「最初はアルバイトでも、正社員目指して精一杯頑張ります!」

確かに、ビジネスホテル業界はアルバイトから正社員になる人も多いので、無理な話ではありません。彼の志望動機に心を打たれた支配人と私は、面接が終わったあと「1人はK崎さんに決定だね!」と、顔を見合わせました。

就職活動がうまくいかず苦労をしてきた人だから、採用したらきっと頑張ってくれるだろう――。私はそんな期待の気持ちでいっぱいでした。そして、全員の面接が終わり次第すぐに、K崎さんに採用の電話をしたのです。
出勤30分前に「やっぱり大変そうなんで」

それから私は、K崎さん用の制服を発注したり、ロッカーを用意したり、本社に新規アルバイトの申請をしたりして、彼を迎える日を待ちわびていました。

そして、ついに初出勤日がやってきました。もう少ししたら来るかな…。そう思った、出勤予定時間30分前。1本の電話がかかってきました。出てみると、K崎さんでした。

「あの、色々考えたんですけど、やっぱり夜勤とか接客とか、大変そうなんで、やめときます」

彼は早口でそう言って、電話を切りました。え…? え…? こっちは色々準備してたのに…。指導員には、私がなる予定だったのに…。急に面倒くさくなったのか、ヨソで仕事が決まったのか、元々冷やかしだったのか。

K崎さんが何を思ってこんな行動を取ったのかは分からずじまいですが、何だか悲しい気持ちになったことを覚えています。やるせない気持ちを胸に抱きながら、入社式直前に内定辞退をされた企業の人事ってこんな気分なのかな、と私はふと思ったのでした。

アルバイトは社員じゃないから、責任は負わなくていい、気が向いた範囲で関わればいい、と考えている人もいるようですけど、「面倒だな」と思ったら、あなたの迎え入れの準備をしている社員のことを想像してみて欲しいなと思います。

ちなみに、この一件があって以来、私は周りのホテルスタッフから「男を見る目がないユズモト」という謎のレッテルを貼られるようになりました…。

あわせてよみたい:夜勤のときに必ず掛かる「不審電話」の怪

【プロフィール】ユズモト
20代半ばの現役OL。就活中に内定をもらったブラック企業に入るのがどうしてもイヤで、何の予備知識もない「ビジネスホテル業界」に新卒で飛び込む。社会人1年目から日本各地を転々とし、接客から営業、経理、調理まで、さまざまな業務を経験する。その後、一般企業に転職し、初めて描いたマンガを2ちゃんねる「ホテルの裏側(?)のマンガかいてみたwww」にアップして一躍時の人に。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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