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【ITスーパースター列伝】ジャック・ドーシー ~”第2のジョブズ”の地元愛~

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【ITスーパースター列伝】ジャック・ドーシー ~”第2のジョブズ”の地元愛~
スマートフォンに小型のカード読み取り機を取り付けるだけで、クレジットカード決済を可能にした「Square」。その創業者のジャック・ドーシーは、Twitterの共同創業者としても知られている。”第2のジョブズ”とも評される彼のアイデア発想の源は、いったいどこにあるのか?

ジャック・ドーシーは、TwitterもSquareもゼロから作り上げた、文字通りの生みの親である。しかし、彼はテクノロジー・オタクではなく、あくまで「人と企業とのつながり」を新しいビジネスによって実現していくことを目的として、両サービスを手掛けた。

もともとドーシーは、ミズリー工科大学を卒業したばかりの24歳のとき、ウェブからタクシーや救急サービスを派遣する会社を経営していた。そこでは、各地に散らばる業者の状況を把握するために、リアルタイムで”いま何をしているか?”というステータスを共有することが非常に重要だった。

そこで彼が思いついたのが、現在のTwitterの原型である「Live Journal」というサービス。結局、このアイデアが実現することはなかったものの、それから6年後、ドーシーが30歳のときの、彼自身による世界最初の”つぶやき”(「just setting up my twttr」と投稿した)以降、たちまちTwitterは世界を席巻する。

現在こそTwitterは、「人と人との密接なつながりを実現した」という側面で評価されることが多いが、そもそもは企業向けサービスとして考えられたのである。

しかし、ドーシーは、決して金儲けのためにビジネスを考える人物ではない。それはSquareの現在の活動を見ればよく分かる。彼が「人と企業とのつながり」を発想の根底に置いているのは、自身の出自と大きく関係しているのだ。

ミズリー州セントルイスで生まれたドーシーは、長年、故郷の荒廃を嘆いていた。以前はアメリカでも有数の商工業都市だったものの、地元産業の凋落とともに市街地が空洞化。現在はむしろ、犯罪発生率が高い都市として「全米の危険な都市ランキング」の常連になってしまっている。

そんな状況では、大企業の誘致は望めない。となると、地元経済の再生は、街角の小さな店の活性化にかかっている――。そこで登場するのがSquareだ。

個人店のような小規模な商売では、クレジットカード決済の設置は大きなコスト増となる。しかし、Squareなら、高い利用料を払えないような個人店でも簡単に導入できる。どんな規模の店舗でも、あるいは開業資金が少なくても、ほとんどの人がクレジットカードで購入するような高価格の商品を取り扱うことができるようになるのだ。

ドーシーの地元愛を物語るエピソードはほかにもある。

Squareでは、「Let’s Talk」と呼ばれるイベントが各地で定期的に開催されている。これは地域のビジネスオーナーたちとSquareがつながり、彼らの事業の課題や、そこでSquareが果たすことができる可能性などをディスカッションするためのもの。

このイベントも、セントルイスから始まった。つまり、故郷から地域や人々の「つながり」が失われたことを嘆くドーシーは、Squareというビジネスを通じて、自分が好きだった街を復活させようと試みているのだ。

TwitterもSquareも、莫大な規模の利益を生み出すネットサービスである。しかし、ドーシーの視点は野心家とは違い、「人と企業とのミクロなつながり」を常に意識している。だから、彼は自身をこう評する。

「僕の役割は、この世界で起こっているすべてのことをリアルタイムで把握し、そのデータをすぐに入手できるようにすることだ。そうすれば、僕らは自身の生活をより良い知識によって素早く変えることができる。(中略)僕はエンジニアになりたいと思ったことはない。プログラマーにも、そして起業家にも。あくまで自分が実現したいことに必要だから、その役割を引き受けているだけなんだ」(Forbesの記事より)

参考情報(外部サイト)

Twitter’s Jack Dorsey: Economist Reader, Accidental Engineer, Would-Be Masseur(Forbes)

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