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中国が嘘を繰り返し相手を騙すのは孫子の兵法と櫻井よしこ氏

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 中国の覇権主義は対外的には東に南に海洋進出を進め、国内では少数民族や民主化運動を弾圧している。しかもそれは習近平体制で加速しているという。ジャーナリストの櫻井よしこ氏がこうした中国の行動原理を解き明かす。

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 習近平・国家主席は中華帝国の独裁者として、対外的にも覇権主義を急激に加速させています。特に東シナ海と南シナ海への攻勢が著しく強まっていることは見逃せません。

 2013年春には4つの海洋警備を担う組織を一本化させた中国海警局を創設し、艦船を尖閣諸島周辺の日本領海内を含めた東シナ海に進出させています。2013年11月に東シナ海で一方的に防空識別圏を設定したことはご存じの通りです。

 その狙いは資源だけではありません。日中合意に反して中国が開発を続けるガス田・白樺(中国名・春暁)周辺は、米空母が台湾海峡に入るのを抑えて台湾併合を実現するための戦略上の重要拠点です。親中的な馬英九政権のうちに台湾を本格的に取り込もうとしているのです。

 南シナ海への攻勢もとどまるところを知りません。近年では、ベトナムから奪い取った西沙諸島に軍事施設を建設したほか、フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にある中沙諸島のスカボロー礁に少なくとも68個のコンクリートブロックを設置して実効支配を強めています。

 さらに南に手を広げ、フィリピンが領有する南沙諸島のジョンソン南礁を埋め立てて、滑走路と思われる施設の建設工事を着々と進めています。

 5月には、西沙諸島の周辺海域で石油掘削を開始しました。ベトナムは中国を阻止すべく沿岸警備隊など29隻の船を出しましたが、対する中国は軍艦7隻を含む80隻を展開してベトナム船に衝突を繰り返しました。その後中国の船は123隻にまで増えました。中国外務省の「ベトナム側が中国の公船に180回あまり衝突した」という発表が嘘であることは、ベトナム政府が公開した映像を見れば明らかです。

 ブータンとの間では、山脈にある国境地帯のブータン側に人民解放軍が勝手に小屋を建てたり道路を建設したりして、少しずつ領土を侵食してきました。こっそり国境線を書き換えるという信じがたい行動で、ブータンの国土の18%がすでに奪われています。

 中国が平気で嘘をつき、その嘘を何度も繰り返すのは、相手を騙して戦いに勝つことを最上とする孫子の兵法に基づくものです。

『日本の存亡は「孫子」にあり』(致知出版社刊)の著者・太田文雄氏は、孫子の兵法を現在の中国共産党や人民解放軍が重要視し、国防大学でも教育の中核としているほか、2006年からは末端の兵士にも学ばせていると指摘しています。

 中国は、オバマ政権の弱腰外交をチャンスと見て領土・領海を広げていますが、その戦略に変化が起きていることも見逃せません。7月中旬、前述の西沙諸島周辺での石油掘削活動を中断し、ベトナムのEEZ内から一時撤退しました。

 その背景に国際社会の強い反発があります。5月、ミャンマーのネピドーで東南アジア諸国連合(ASEAN)が全会一致で中国の対ベトナム侵略に「深刻な懸念」を表明しました。中国への恐れからまともに批判することなど思いもよらなかったASEANが、大決断をしたのは画期的でした。

 アメリカ下院も5月に中国の人権弾圧を非難する決議を採択、上院は7月、海洋侵略を続ける中国を非難する決議を可決しました。ASEAN諸国をはじめ国際社会で巻き起こった中国非難に直面して風向きが悪いことを察してサッと引き揚げたのです。国際社会が連携して対中攻勢を強めれば彼らも引かざるを得ないということがよく分かる事例です。

※週刊ポスト2014年8月15・22日号


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