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大阪府警の過少報告で露呈「認知件数」のからくり

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刑法犯の認知件数を5年間で8万人以上も過少に報告

先日、大阪府警が、警察庁に対し、刑法犯の認知件数を2012年までの5年間で8万人以上も過少に報告していたことが明らかになりました。大阪は、都道府県別の街頭犯罪の認知件数で、10年から12年まで全国最悪を免れていましたが、単に大阪府警が組織的に統計を操作した結果に過ぎなかったようです。

刑法犯の認知件数とは、簡単に言えば、窃盗、強盗など刑法上の犯罪に関して警察が把握した発生数です。この犯罪認知件数は、われわれ市民の立場でも、治安の良さ(悪さ)や、治安の悪化(改善)の状況などを知る上での貴重な統計です。

しかし、この「認知件数」というのはなかなか曲者で、逮捕件数や起訴件数などの客観的なデータとは異なり、その定義が必ずしも明確ではありません。そのため、以前から問題となっていました。

犯罪の認知件数は、警察の対応如何で操作できてしまう

具体的には、犯罪認知件数は、市民や被害者から届出られた犯罪(事件)の受理件数でカウントされていくことになるのですが、現実には、市民から犯罪被害の相談を受けても、その全てを警察は被害届の受理という形で処理するわけではありません。警察がなかなか被害届を受理してくれない、あるいは犯罪の捜査をしてくれないと弁護士に相談に来られるケースも少なくないのです。また、被害届が出ていても、「警察が犯罪(事件)と考えない場合には、認知件数にカウントしなくても良い」という解釈まで生じ得るところも問題です。

この認知件数のカウント方法の不明確さに関しては、2000年に大阪府警が警察改革要綱の発表を受けて、「犯罪として問えるものは全て受理し統計に上げるように」との通達を出したところ、刑法犯認知件数が当月から激増したという事例もあり、いかに犯罪の認知件数が、警察の対応如何で操作できてしまうものであるかを物語っています。

翻って、今回のケースを見てみると、本来、認知件数として計上すべき事件のうち、すぐに自転車が見つかった自転車盗を省いたり、連続発生した車上狙いを1件に数えるなど大阪府警独自のルールを用いて過少申告につなげていたということですから、過失ではなく、故意に認知件数を減少させる目的の虚偽報告であり、悪質と言わざるを得ません。

犯罪の申告に対して全件事件として受理し、適正な捜査を行うべき

今回の虚偽申告の発覚で、今後、犯罪白書などで「犯罪認知件数の減少」や「検挙率アップ」を声高に謳っても国民はその数字を鵜呑みにはせず、冷ややかな目で見ることになるでしょうから、警察の不祥事が招いた代償は小さくありません。対策としては、認知件数の定義を可能な限り客観的なものとすることや、上位機関により定期的に抜き打ちの監査を行うことなどが考えられますが、統計のための統計になってしまっては、意味がありません。

本来の目的は、あくまで治安の維持、改善の指針であるはずです。そうであれば、市民や被害者からの犯罪の申告に対して全件事件として受理し、適正な捜査を行うことこそが、警察に求められる基本的対応だと思います。

また、今回の事件では、その処分の軽さにも驚きます。事件の詳細は不明ですが、組織的行為の上、場合によっては虚偽公文書作成罪が成立してもおかしくないケースだと思われます。これを注意や指導の処分だけで済ましてしまう大阪府警の感覚を見ていると、時間が経てば再び同じような問題が出てくるのでは、と心配せずにはいられません。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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