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NISA上限拡大で投資家の裾野は広がる?

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政府がNISAの非課税枠の拡大を検討

NISA上限拡大で投資家の裾野は広がる?

政府は、少額投資非課税制度NISAの非課税枠の拡大を検討しています。現在、年間100万円の非課税枠を2倍以上に引き上げる方針です。政府の新たな成長戦略で、NISAについて「普及促進に向け、制度の趣旨や利用者のニーズを踏まえた施策の推進や、投資家の裾野拡大を図る」とされており、これに沿った展開です。

拡大後の枠の案として、200万円や240万円が候補として挙がっています。240万円は、一見、中途半端な感じがしますが、月々20万円投資して年間合計240万円という意味で、実は切りの良い数字なのです。NISAの本家本元である英国のISAでは、12で割り切れる上限額が設定されており、これに倣うと240万円という数字が出てきます。

NISAは、その使い勝手の悪さから、すでに導入前から制度改正の強い要望が出ていました。その一つは、「一旦口座を開設すると、その金融機関を変更できない」というものでしたが、業界からの猛烈な反発にあい、2015年1月からは年単位で変更できるように改善されました。

今回の非課税枠の拡大は、「英国ISA(株式型ISAで200万円弱)と比べても、年間100万円では金額が小さい」という声に応えたものです。拡大による投資者の最大のメリットは、言うまでもなく、非課税の範囲が広がり節税になることです。金額面で運用商品選択の幅が広がることもメリットと言えるでしょう。改革への第一歩としては一応評価できます。最短で2015年度の税制改正に織り込まれ、実施は2016年からとなる可能性が高いと思われます。

英国ISAと比べNISAは使い勝手が悪い

ただ、これだけで投資家の裾野を拡大するという目的を達成できるのでしょうか?

金融庁が6月にまとめた「NISA口座の利用状況等について」によると、口座総数は650万口座(3月末時点)で、年代別には、50歳以上で76.4%を占めています。20歳代はわずかに3.2%、30歳代でも7.7%にとどまります。要は、非課税投資枠の大小にかかわらず、利用していない若い世代、中堅世代が多いのです。

その他にも、英国ISAと比べた使い勝手の悪さとしては、次のような項目があげられます。( )内は英国ISAの状況です。

・対象となる金融商品が株式と株式投信に限られる(預金、公社債、保険も可)

・対象者が20歳以上に限られる(株式型18歳以上、預金型16歳以上)

・売却して空いた枠の再利用が不可(枠の再利用可)

・投資期限が10年までに限定されている(期限無し)

・投資可能残高が500万円まで(無制限)

・手続きが煩雑で時間がかかる(国民保険番号使用で簡便)

また、英国ISAでは、様々な所得層からISAへの拠出が行われているようです。ISA利用者の7割以上が年収約2万ポンド(約340万円)以下の人たちであるというデータもあります。

英国ISAを参考に、一挙に改革を行うことで効果を高めるべき

英国ISAという良い先行事例を参考に、小出しではなく、一挙に改革を行うことで効果を高めるべきです。特に、日本の場合はNISA導入目的の一つに、「経済成長に必要な成長資金の供給拡大」が挙げられているのですから。子ども版NISA創設の観測記事が報道されていましたが、これも対応できる多くの項目のうちの一つにすぎません。

なお、こうしたNISA制度上の改革も重要ですが、より本質的には、NISA制度を使いたくても使えない若年層の正社員化の促進など年収向上策や、初等・中等教育からのファイナンス(お金)教育の充実などは、腰を据えて対応すべき重要施策と思われます。NISAは、内閣の人気維持のための株価維持策であってはならないのです。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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