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ワンマン社長なら、問答無用で「ブラック企業」でしょ?

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20代男性のSさんは、中堅メーカーの営業マン。自分の会社を「ブラック企業」と信じて疑いません。会社は社長のワンマン経営で知られており、会社の方針を決めるのも社長ひとり。会議もすべて「鶴の一声」で決まります。

社長はオーナーではないのですが、大株主に気に入られており、それを背景にして社員をまるで自分の手足のように使います。しかしSさんは、それが納得いきません。

「会社というのは、ひとつの社会ですから、いろんな人が働いているのが当然。多様な個性を生かしてこそ、組織の力は発揮されるはずです。なのにウチの会社は、社長が絶対権力。社長がダメということは、誰も逆らえません。みんな渋々従っているのです。これでは軍隊と同じ、非人間的な労働環境です」

しかし、みんな会社をクビになったら困るので、社長に愛想を振りまきペコペコしなければなりません。Sさんは「これって『ブラック企業』確定だと思うんですよね。どうやったら取り締まれるのでしょうか」と言っています。
大きなリスクを負う「代表取締役」というポジション

果たして、ヒラ社員が社長に一矢報いることができるのか。職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみました。

――ワンマン社長って、よくいらっしゃいますよね。社員からすると、何の権利があってこんなに横暴なのかと思うこともあるかもしれません。

しかし代表取締役は、会社法上、対外的な代表権と対内的な業務執行権限をもっているので、会社経営に関して絶大な力を持っています。それと同時に、ミスを犯せば、会社、株主、取引先から損害賠償責任を追及されるリスクもあります。

このようなリスクを負いながら難しい経営判断を迫られるので、代表取締役って結構大変なポジションなのです。

ワンマン社長を取り締まる方法を考えるにあたっては、まずは誰がそのワンマン社長を代表取締役に選んだのかを考えることが重要です。取締役設置会社の場合、代表取締役は、取締役会の決議によって選定され、取締役会を構成する取締役は株主総会の決議によって選定されます。

つまり、究極的には株主の意向に沿った人物が代表取締役となるわけです。よって、代表取締役を取り締まるためには、株主を味方につけるなどして、代表取締役を選ぶ段階から関与することが抜本的な解決方法となります。
経営責任を負わない従業員の「口出し」には限界

とはいえ、これはなかなか困難な方法ですよね。そもそも、従業員は、会社との間の労働契約により業務に従事する立場であって、経営参画は予定されておりません。

また、従業員は、代表取締役ほど各方面から責任を追及されるリスクもありません。そうすると、会社経営の責任を負わない従業員が、会社の経営について口出しするのには限界があるのです。

もっとも、従業員が働きにくいと感じるようなワンマン経営が、最終的に株主のためになるとも思えません。社長もワンマン経営ではなくて、従業員のモチベーションを上げる経営方法を検討するべきでしょうね。

万が一、社長の日ごろの態度のせいで、従業員のモチベーションが下がり会社の業績が悪化した場合は、その責任を取るのは社長自身です。そんな社長は、取締役や株主によってすぐに退任に追い込まれると思いますので、ご安心くださいね。

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【取材協力弁護士 プロフィール】

岩沙 好幸(いわさ よしゆき)
弁護士(第二東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。頼れる労働トラブル解決なら≪http://www.adire-roudou.jp/

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