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阿川佐和子氏 「聞く力」の次に「叱られる力」に着目の理由

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 阿川佐和子氏の著書『聞く力 心をひらく35のヒント』(文春新書)は、雑誌の対談連載で約1000人の本音を引き出してきた“アガワ流”コミュニケーションを紹介し、150万部を超えるベストセラーになった。その本について取材を受けるなかで、「現代の若者が叱られるといかに弱いか」の事例を数々耳にし、驚いたという。父に、上司に、怒られ続けて60年の阿川氏がなぜ今、若者は叱られ下手なのか、そして大人は叱り下手になってしまったのかを考察する。

──「聞く力」の次に「叱られる力」に着目したきっかけは?

阿川:『聞く力』の出版後、コミュニケーション術についての取材を多く受け、若い世代に人見知りが増えていると知りました。初対面で「僕、人見知りだけどよろしくお願いします」と宣言する若者もいると聞き、“それって甘えなんじゃない”と思ったんです。人見知りを相手が受け入れる前提で人と付き合おうとするのは、何か違うんじゃないかって。

 それで様々な職種の働く女性たちにリサーチすると、今の若い世代は家庭でも社会でも叱られずに育っていることがわかった。東大卒の新入社員が女性上司に叱られた翌日に辞表を提出したなんて類いの話をたくさん聞いてびっくりしました。

 そんな若手を抱える上司は「後輩を叱れない」と悩んでいる。「部下に叱られる力を身につけてほしい。本当に呆れる」とため息交じりに訴えるベテラン社員もいました。それで今の社会では、「叱られる力」がテーマになるのかなと思い始めたんです。

〈阿川佐和子(あがわ・さわこ)。1953年、東京都生まれ。作家・阿川弘之の長女として生まれ、慶應義塾大学文学部卒業後、織物職人を目指しさまざまなアルバイトを経験。1983年からテレビのアシスタントやキャスターとして活躍、朗らかだが直截的な物言いで人気を博す。作家、エッセイストとしても活躍し、コミュニケーション能力について論じた2012年の『聞く力』(文春新書)は大ベストセラーになった。今年6月、新著『叱られる力 聞く力2』(文春新書)を刊行した。〉

──確かに現在は、叱る、叱られるといった関係性を避ける風潮がある。

阿川:みんなどことなく、怯えながら暮らしていますよね。若手は面と向かって上司と接することや初対面の人を避ける。上司は嫌われることを怖れ、部下を叱らない。

 根底には、「嫌なことをしたくない」という思いがあるのでしょう。今は嫌なことを避けられる便利な時代です。昔の家庭には固定電話があって誰から電話がかかってくるかわからなかったけれど、今は携帯電話で好きな人とだけ話せる。仕事でわからないことがあれば、怖い上司に尋ねなくてもネットで簡単に調べることができる。

 私はテレビ番組の新人アシスタント時代、何か問題があるたび上司に「おい、飲みながら話そう」と言われて叱られたり、悩みを聞いてもらったりしたけれど、そんな面倒くさいけどタメにもなる人間関係がどんどん失われていますよね。

※SAPIO2014年9月号

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