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佐藤良成「元気になるホラー小説」

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フォークやカントリーをルーツにしたアコースティックな音に日本語を乗せ、あたたかくも、どこか癖のある楽曲で聴く人を魅了するデュオ「ハンバート ハンバート」。作詞作曲を担当する佐藤良成が選んだ一冊は、「元気になれるホラー小説」だ。

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――ハンバート ハンバートには日常的な会話のような歌もあれば、昔話や童謡みたいな世界観の歌もあります。あの歌詞は、どうやってつくるんですか?

俺はいつも、まず曲をつくってから歌詞を考えています。最初にギターを弾きながら、意味のないデタラメな言葉で歌うんです。そうすると、メロディができた時点で発声が決まるので、その音から逸脱する言葉は使えない。無意味な発音から「空耳アワー」のように似ている日本語を探して、その単語から世界が広がっていくことが多いですね。

――言葉の意味よりも、音の方が大事なんですね。

基本的にはそうですね。ただ、なかには読んだ小説から連想したり、話を先につくる歌詞もあります。たとえば新しいアルバムに入っている「鬼が来た」という曲は、自分で書いた小説のイメージをもとにしてつくりました。以前、文芸誌の『群像』に「ばばぬき」という短編小説を書いて、その後もっと長いのを書きましょうという話になって。書き切れずに仕舞っていた小説があったので、それを歌詞にしたんです。

――「鬼が来た」にも「ばばぬき」にも、ホラー的な要素があります。

昔から、怖いものが好きなんです。今回選んだ『爪と目』はちょっと前に読んだんですけど、最後に入っている「ちびっこ広場」という短編がとくによくって。うちは子供が3人いるんですが、一緒にいると時々、自分が子供だったころの感覚や目線を思い出すことがあるんです。この小説はそういう子供目線の描写がリアルで、「4時44分に広場にいると呪われる」みたいな話を本気で怖がっていた昔の感覚が蘇りました。

――内面が伝わる描写なんですね。

それに、もうひとつの母親の視点がいいんですよ。旧友の結婚式へ行きたいのに、子供に泣かれて遅刻して、二次会にも行けない。まわりには「お母さんって大変ね」という目で見られるけれど、彼女自身はそれをマイナスに捉えていないんです。大事なものが変わったけれど、私はこれでよかったなっていう前向きな姿勢がたくましくて、感動的で。ちょっとしたホラーなんだけど、読み終わると元気になれる小説ですね。

【佐藤良成の読み方】

▼普段あまり出歩かないから、刺激を受けるために本を読む

「本や音楽は、人を違う世界に連れていってくれますよね。音楽はパーティを楽しむものでもあったりするけど、本は1人じゃないと読めないから、孤独を埋めて自分だけの時間を楽しむっていう意味では一番強いと思います」

▼原体験は、小学校で読んだ“ホラー・SF・サスペンス”

「小学校の本棚にあった推理小説傑作選を読んで、アガサ・クリスティにハマりました。それからSF傑作選、怪奇傑作選と読み進んで…昔から、暗くて奇妙だったり、不条理だったりするものに惹かれてしまうんです」

▼気になった本は図書館で予約。届くまでのタイムラグを楽しむ

「気になった本をメモしておいて、図書館で20冊くらいまとめて予約します。新刊は人気があるからなかなか読めないんですけど、忘れたころに届くのも面白くて。家にはいつも、図書館の本が5~6冊置いてあります」

(宇野浩志=取材・文)
(R25編集部)

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