「突然死」で遺族が光通信を提訴 「ブラック」な労働環境は改善されたのか?

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「突然死」で遺族が光通信を提訴 「ブラック」な労働環境は改善されたのか?

33歳の男性(当時)が心臓疾患で2010年に突然死したことについて、神戸市内の両親が男性の勤務先だった光通信に対し損害賠償請求訴訟を起こした。

請求額は約1億6500万円で、被害回復と再発防止のために実損分を超える賠償となる「懲罰的慰謝料」が盛り込まれたと新聞各紙が報じている。

光通信といえば、一時はネットで「ブラック企業」の代名詞と言われたが、現在でも事業を継続して新卒や中途入社を募集採用している。現在では労働環境は改善されているのだろうか。

月150時間労働も「労災認定されない」理由

男性は2006年ころに課長職となったが、携帯電話販売のノルマが厳しく、数十人の営業マンのサポートや売上管理などに追われた。

その後、09年にソフトバンクモバイルの水増し契約の「告発記事」が週刊誌に掲載されると、クレーム対応の部署に異動となった。

死亡前3年間の時間外労働は、多い月で153時間。100時間を超える月は17回あった。原告側は突然死について、会社が安全配慮義務を怠り長時間労働を放置したのが原因だと主張している。

これほどの長時間労働があったのにもかかわらず、池袋労働基準監督署は11年3月、突然死と業務に「因果関係がない」として労災を認めなかった。この理由についてNPO法人POSSEの川村遼平事務局長は、ツイッターでこう言及している

「過去3年間の長時間労働が(遺族によって)指摘されているのは、労災認定基準が評価の対象にする『亡くなる半年前の労働時間』がそれほど長くないためです」

男性が突然死直前に、どの程度の労働時間であったかは報じられていないが、厚労省の「脳・心臓疾患の認定基準」である80時間から100時間には及んでいなかったようだ。

しかしこれでは、いくら心身が疲弊していても、業務を一時的に軽減していれば労災認定を逃れてしまう。川村氏はこの基準には問題があるとして、今回の提訴の意味を「『基準を変える取り組み』の一つ」と注目する。

上場直後でも「何人も辞めていった」と元社員

光通信については「ブラック企業の代名詞ともいえる存在」(ブラック企業アナリスト・新田龍氏)と評する声も多いが、近年では話題になることが少なくなった。一種の「殿堂入り」を果たしてしまったのかもしれない。

しかしツイッターやブログなどでは、いまだにこんな声があがっている。

「わしが知っている当時(1996年)の光通信は今で言うと正に『ブラック企業』だった(今は知らない)」
「あそこも10年以上前からブラックで有名だもんなー」
「光通信はワタミより歴史の長いスーパーブラックだぞw」

キャリコネ編集部は、2000年に同社に入社したA氏に取材した。1999年に東証一部上場を果たした直後にもかかわらず、労働時間の管理は「上場企業とは思えないほどのいいかげんさ」だったという。

「チームで目標を与えられ、ほとんど毎日全員が遅くまで残っていました。成果が出せないと、上司から厳しく問い詰められることもしばしば。私は運よく高い成果を上げられたので比較的いやすかったのですが、それでも1年働くのが限界でしたね」

さらにキャリコネの口コミを見ても「ノルマは毎月倍以上に増大していき、精神的に追い込まれていく」(2008年)、「ノルマに達していない社員には罵声が飛ぶ」(2011年)といった書き込みが見られる。

こうした労働環境は、その後は改善されているのだろうか。キャリコネ編集部が広報部に話を聞くと、

「就業時間は9時~17時半で、時間外手当もついています。それ以上は具体的に明かせませんが、法律が定める範囲内で、きちんと対策をしています」

とのことだった。

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