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どうすれば喧嘩にならない? 親の家を片付ける方法

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最近、にわかに注目されるようになっているのが、実家、つまり親の家の片付け問題。この夏、帰省した際にも、モノが増えてごちゃごちゃしている、なんて気になった人もいるはず。でも、実際に片付けようとすると、親と喧嘩になって進まない……。では、どうすればいいのか、専門家に取材してきた。

日本の家には、今、急速にモノが増えている!

今回、親の家の片付けについて教えてくれるのは、1000軒以上の家の片付けを行ってきた「サマンサネット」の杉之原冨士子さん。

「弊社データによると5年前と比べて、日本の家の中にモノが1.2〜1.5倍ほど増えています。特に高齢者の家の中には急激にモノが増えています。モノに溢れた家の片付け依頼はかつて年に数軒ほどでしたが、今では月5〜6軒ほどになっています。誰しも他人事ではないのです」という。その背景にあるのは、家に入ってくるモノの増加と、ゴミの出しにくさが挙げられる。

モノが増える要因としては、簡単で安価にモノが買える100円ショップやコンビニ、アウトレットショップの増加、テレビやネット通販の普及がある。特に通販は24時間、自宅にいながらにして買い物ができるため、考える間もなく、どんどんモノが家に入ってくるのだ。一方でモノを家から出そうとしても、リサイクルのために分別が必要となり、回収日も限られている。

「地域によっては、分別のルールが細かく分かれているため、高齢者にとっては、分別の方法が分からない、タイミングが悪く決められた日時に出せないことがあります。また腕力が落ち、体力的にゴミ集積所まで持っていくことも難しくなるのです」(杉之原さん)という。結果として家にモノやゴミが滞留し、片付かなくなってしまうのだ。しかも、一度、家の中にモノが溜り始めると、あっという間に増えてしまい、そのまま放置状態になると、改善するのは難しい。

「元気だった親も身体的な老化により、どんどん片付けができなくなるのです。親の老化は子どもには受け入れがたいものですがこれが現実。身体的な問題がその要因であることも多いので、親がモノを捨てられない、家が片付かないといって、責めないであげて」と杉之原さん。

身内の恥をさらすようで恐縮だが、筆者の親の家も相当に汚部屋(おべや)である。実家へ帰る度になぜこんなモノをとっておくのか、片付けないのかと親と喧嘩になり、今や実家出入り禁止である。こうしたケース、実は少なくないようで、家が汚いから子どもや孫の足が遠のき、すると親は寂しさからモノに執着、ますますモノが増え、さらに人が寄り付かなくなる悪循環に陥ってしまうのだとか。
「高齢者がモノに執着し、捨てられないのは『寂しいから』。これが理由のひとつになっているのを感じます」(杉之原さん)

最初が肝心。捨てるのではなく、安全な空間をつくるつもりで

では、親のほうは片付けようという意欲を持っているのだろうか。
「実は親も片付けなきゃ、捨てなきゃという気持ちは頭の片隅にあるんです。でも、体力も落ち、判断力も衰えてくる。床いっぱいに溢れたモノの片付けは気力を奪い、そのストレスから親子喧嘩になってしまう。だからこそ誰かの助けが必要なんです。親も子も、1歳でも若いうちに、ちょっと家がごちゃごちゃしはじめたな、という段階で片付けをはじめて」(杉之原さん)

具体的なコツは、というと、
(1)親の執着が少なそうな場所を
(2)何気なくちょっとだけ掃除すること
にあるという。
「トイレや洗面所など、毎日使う場所が片付いて安全で過ごしやすくなると、親も片付けの効果を理解しやすいはず。子どもがやるぞ! と力みながらはじめるのではなく、ちょっと掃除するね、くらいの気持ちでやってみてください」。ちなみに、一見不要品に見える子ども自身の幼少期のアイテム(服やランドセル、おもちゃ、学用品など)は地雷アイテム。子どもにとってはゴミでも、親に思い入れがあるため、いきなり片付けると感情的になりやすく、難しいという。

「子ども世代は時間がないため、場所を決めて効率的にやりたい、不要品はすぐ捨てたい、と考えますよね。でも、親からみればモノの整理といわれると『全部捨てられるのではないか』『自分のモノだから、とやかく言われたくない』など前向きな気持ちでモノと向き合うのは難しいのです。だから焦らず、ゆっくり時間をかけて、親が納得、同意しながら進めることが成功の秘訣。最初の片付けに成功して、親の警戒心がゆるめば、あとは加速度的に進むようになり、必ず終わりがきます」と解説する。

ちなみに、子ども側も意識を変える必要があるという。
「本に出てくるようなスッキリ片付いた家やきれい好きだった親のイメージを持っていると、親が捨てないことやできないことにイライラしてしまいます。親の家の片づけのゴールは親にとって、安全で安心な空間にすることです。
家の中でのケガ、熱中症や食中毒などの日常に潜む危険を防ぐことが、親の家の片づけの最大の目的。今使っている生活空間(キッチン、トイレ、お風呂、居間、寝室)が安全で過ごしやすければいい。スペースが許すなら、モノはとって置いてもいいんです。モノを捨てたり、片付けすることが主目的じゃない。ここを忘れないでください」(杉之原さん)

親をじっくりと観察。今の暮らしにあった収納ルールを考える

加えて、欠かせないのは、親を観察することと、理由を聞くことだという。
「モノが放置してある、捨てられないのには、必ず理由があります。どこに執着しているのか、なぜそれが置きっぱなしになっているのか、質問してみてください。理由を聞くことで子ども側の負の感情も和らぎ、対策も立てやすくなります」と、コツは親とそして自分の感情を客観視できるかどうかにありそうだ。

片付けの手順自体は、ごくごくシンプル。(1)仕分け、(2)減らす(3)収める、の順番に進めていけばいい。特に大切なのが、(1)仕分けだ。仕分けのルールを「使えるか/使えないか」にすると進まないため、「今、使っている」「月1回ほど使っている」「使わないけど納戸にいれておく」「使いにくい」などと、グループ分けする。身の回りが「今現在、使っているモノ」だけに絞りこまれ、置き場所のルールが単純化できると、モノを探す時間と手間が省けるようになり、ぐっと生活しやすくなる。

「親は老化によって、体の自由がきかなくなっていることもあり、心配かけたくないとそれを話さないこともあります。そのため今までの収納場所だと、元に戻しにくくなってしまって、結果として出しっ放しになっているケースも見受けられますね。子ども世代がよく観察しながら、親子で会話し、『ここに置いたら取りやすいんじゃない』と親の目線で収納場所を提案したら、きっと喜ぶはずですよ」(杉之原さん)

片付けを通して親の生き方と向き合う、大変だが貴重な作業

ちなみに、サマンサネットの社員でも、親の家の片付けに挑戦したが、やはり喧嘩になってしまい、できなかった人がいるそうだ。結果として他の社員に依頼して片付けたそうだが、親子での片付けはそれほどに難しい。だからといって、散らかったままの家で親が死去してしまうと、その処分には膨大な時間と手間がかかる。

「残されたものすべてを、一気に廃棄処分するのは簡単なことですが、その中に、貴重品(権利書や現金など)が大量のモノに紛れ、そこから見つけだすことが難しいのです。これは自分が捨てていいのか、貴重品なのではないか? 判断がつかない状態でひとつひとつ分からないものと向き合うのは大変なストレスです。時間もお金も想像以上にかかります。時間がなくて、何年もそのままの状態で放置している人もいるくらい。親の家の問題は、空き家問題にも直結しているのです」(杉之原さん)

杉之原さんによると、親の家の片付け、仕分けをした人はみな、「紆余曲折、たくさん悩んで大変だったけど、やってよかった!」と感想をもらすのだとか。片付けはモノを通して、親の生き方と向き合う作業だ。筆者も気力と体力がある今のうちに、親の家の片付けをしようと決意した。

●サマンサネット
HP:http://www.samanthanet.com
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/08/07/67391/

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