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「突然折れる」若者たちが224万人 日本の企業社会に原因はないのか?

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8月3日のNHK「おはよう日本」で、「突然”折れる”若者たち」と題した特集が放送された。現在仕事に就いていない15~39歳までの「若年無業者」は224万人にのぼり、若年人口の16人に1人を占めるという。

これまでの「若年無業者」は、不登校など学校生活のつまずきが原因と見られてきたが、最近のNPOの調査では、若年無業者の86.9%が「高卒以上」で、75.5%が「就労経験あり」。つまり一度社会に出てから「無業」になっているのが特徴なのだ。

「道を外れると絶望する」今の若者が悪いのか

番組に登場した27歳の男性Aさんは、大学卒業の直前に中退し、就職活動を行わないまま4年間「ひきこもり」の状態にあるという。親や周囲の言うとおりに大学の理工学部に進学したものの、重要な科目の単位を落としたことがきっかけで学校に行かなくなった。

「我慢してやったにもかかわらず結果が出ず、気持ちが切れてしまった。今まで1つ(新卒でサラリーマンになる)しか道を見ていなかったので、何をしていいのか分からない。もう社会的には死んだ人間」

26歳の男性Bさんは美術大学を卒業後、アニメ制作会社に就職した。しかし仕事の要領がうまくつかめず、周囲に相談できずに心身が追い込まれていった。結果、2か月で会社を退職してしまったという。

「たいした苦労を今までしてこなかった、そのしわ寄せが来た気がする。将来を考えながら、大学生活をやり直せたらいいのに、と思う」

放送大学副学長の宮本みち子氏は番組で、親や先生の頭には「学校から実社会まで太いレールがあり、それに乗れば安泰な人生が待っている」という「少し前の日本の姿」が頭にあり、それが大きなギャップを生んでしまったとする。

「あまりにも単一の道しか示されず、その道を外れると絶望してしまう。安全装置が張り巡らされた中で子どもたちは育つので、厳しい現実社会の中にポンと投げ込まれたときに、困難を乗り越える力が(育って)ない」

「ブラック企業」や「新卒一括採用」に問題はないのか

番組では、全体的にいまどきの若者の「弱さ」が強調されていたように感じられた。しかし、一度社会に出てから無業になる若者が多いことを考えると、若者を受け入れる社会の側にも問題があるという気がしてならない。

特集の最後でNHKのアナウンサーが、企業側が「いきなり即戦力を求める」ので、「新入社員をじっくり育てる余裕がない」と指摘していた。Bさんのように職場にすぐに適応できず辞めた人の背景には、こんな事情があるのではないか。

違法労働を放置する「ブラック企業」も、若者が適応できない企業社会の問題点の象徴だろう。Bさんが就職したアニメ制作会社も、過重な長時間労働が存在するといわれる。健全な職場環境であれば、一度社会に出てから無業にならずに済んだ若者もいると思われる。

また、新卒カードを失った若者を門前払いする「新卒一括採用」の慣習がなければ、引きこもることもなかった若者たちもいたに違いない。大学の理工学部に入る能力のあるAさんが、就職の意欲を失うこともなかった。

このような「企業側の問題」は、調査結果からも垣間見られる。内閣府の2014年版「子ども・若者白書」によると、「ひきこもりになったきっかけ」は、「職場になじめなかった」(23.7%)「就職活動がうまくいかなかった」(20.3%)など仕事や就職に関するものが上位だ。

西田亮介氏が指摘する「薄氷の上の定職」

さらには、いまはかろうじてレール上にいる若者も、いつふるい落とされるのかとおびえている。社会学者の西田亮介氏は、東洋経済オンラインの対談で「ちょっとしたボタンの掛け違いで人は無業になり、そこから出られなくなる」現実があると指摘する。

「僕たちを含め、多くの若者は薄氷の上で定職があるにすぎず、自分や親しい人が若年無業になるという可能性は十分考えられます」

そのうえで、若者の無業者問題をどうするかは、単に若者だけにとどまらず、日本社会を考えるうえで「ある意味で試金石だ」と指摘している。自己責任で突き放すのではなく、社会の体勢を変えていく必要があるということだ。

番組では、NPO法人育て上げネットの支援で、就労が可能になった若者を紹介していた。もちろん、このような支援事業も大切だ。しかし根本的には、人間性を疎外する日本の企業社会を変えなければ、「若年無業者」はあとをたたないように思える。

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