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中国とロシアの外交姿勢が暗礁に 日本は独自路線模索すべき

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 領土や領海をめぐって強腰路線を続けてきた中国とロシアの外交姿勢が、ここへきて暗礁に乗り上げている。

 まず中国だ。中国は5月初めから南シナ海の西沙諸島(パラセル諸島)付近でベトナムの巡視船に体当たりするなどして、挑発行為を繰り返してきた。それはベトナムに邪魔されずに石油探査を実施するためだった。

 ところが、7月15日に中国は突然、石油掘削の中止を発表し、直ちに石油掘削リグの撤収作業に入った。

 つまり撤退だ。「台風のせいだろう」(米国の元外交官)という半分冗談のような説もあるが、違う。まずベトナムが「いざとなったら戦争も辞さない」という強い姿勢を見せた。これが大きい。

 同国のグエン・フー・チョン総書記は「戦争に突入したらどうするか、と多くの人に聞かれる。われわれはすべての可能性を想定して準備をしなければならない」と語り、中国紙でも紹介された。

 加えて米国も対中姿勢を修正した。7月初めに北京で開かれた米中戦略・経済対話でケリー国務長官は中国が宣伝してきた「新型大国関係」という言葉を使わなかった。

 オバマ大統領は念押しするように声明を出し、「新しい型とは現実的な協力を増やし、意見の違いを建設的にコントロールすることだ」と強調した。中国がいう新型大国関係とは、ようするに米中による太平洋の縄張り分割である。米国は「そんな話はとんでもない」と拒否したのだ。

 昨年12月に訪中したバイデン副大統領が「米中は世界で最も重要な2国間関係」と語って、中国に甘い顔を見せたのとは大違いだ。

 中国とすれば、ベトナムが戦争も辞さない徹底抗戦の構えを示したうえ、すり寄っていたはずの米国も方針転換となれば「ここは一歩引くしかない」と考えたのだろう。

 次にロシア。プーチン大統領はクリミアの実効支配を成功させたのに続いて、ウクライナ東部でも親露派勢力を支援していたが、マレーシア航空機の撃墜事件で一挙に苦境に立たされた。

 ロシアが提供した地対空ミサイルによって撃墜されたのは確実と見られている。多数の犠牲者を出した欧州連合(EU)は米国とともに、ロシアの資金調達禁止など追加制裁に動いた。

 中露の姿勢がこう変わってくると、日本はどう動いたらいいか。まずは集団的自衛権の行使容認である。

 集団的自衛権をめぐっては「有事になったらどうする」という話ばかり議論されてきたが、本当に大事なポイントは別にある。「有事をどう避けるか」が核心なのだ。

 尖閣諸島が侵攻されたら「日本が戦うのは集団的自衛権か個別的自衛権か」などとのんびり話をしていられない。いずれにせよ反撃する。それより中国に無謀な試みを思いとどまらせる。そのためには「いざとなったら日米一体で戦うぞ」という姿勢を見せる。それが肝心だ。ベトナムに学ぶべき点もそこにある。

 集団的自衛権を容認すると、日米がこれまでできなかった共通の敵を想定した軍事訓練を一体的に統合してできるようになる。それが抑止力の強化になるのだ。

 一方、ロシアの苦境は北方領土問題を抱える日本にとって当然、有利に働く。プーチンに同情する必要はさらさらない。日本も対露制裁に同調したが、だからといって状況を活用しない手はない。ケンカしていても話はすべきだ。

 ここは米欧とプーチンの間に立って、日本が独自の外交を模索すべき局面である。

(文中敬称略)

文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。

※週刊ポスト2014年8月15・22日号

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