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トヨタ ハイブリッド車をきっかけに中国での反転攻勢かける

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 自動車販売台数世界首位に君臨するトヨタだが、中国市場の開拓はこれからだ。というのも、トヨタは1980年代に北米市場を優先するために中国市場をそでにし、中国政府の面子を潰した過去があり、それも影響してこれまで高いシェアを獲得することはできなかった。

 そして、今、中国市場に本格参入しようとする同社が重視しているのが中国政府も求める、「プリウス」などに見られるハイブリッド技術である。トヨタは中国でハイブリッド車をどう展開させていくのか。世界一の2200万台市場への戦いの舞台裏に経済ジャーナリスト・永井隆氏が迫った。
 
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 1980年代に北米市場を優先させた結果、中国市場への参入に失敗したトヨタ。トヨタはどこに活路を見出せばいいか。それは環境技術に他ならない。
 
 中国政府は、電気自動車(EV)とプラグインハイブリッド車(PHV)を合わせて2015年までに累計50万台、20年には累計500万台普及させる、「省エネルギー・新エネルギー自動車産業発展計画」を2012年に打ち出した。
 
 中国は、世界最大の資源輸入国ゆえの悩みを多く抱える。原油の消費量を減らしたいエネルギー政策と、微小粒子状物質「PM2.5」による深刻な大気汚染の解決を目指す環境政策が相まって環境車を後押ししている。
 
 日産で中国事業を担当する関潤専務執行役員は「20年で累計500万台の目標を、中国政府は昨年400万台に下方修正した。目標値を下げたというのは一見ネガティブに映りますが、あの国ではその逆。実勢に合わせて本気で達成しようとする気概の現われです」と話す。
 
 日産のEV、リーフには、中央から5万元、地方から5万元の合計10万元(約165万円)の補助金が支払われる。日本の倍以上の手厚さである。ただし、中国にはEVに必須な充電施設が整っていない。

 いくら支援が豊かでも、広大な中国本土では普及が進まない。そこで現在、トヨタが注力し、普及を期待するのが充電設備のいらないHVである。
 
 ただし、「まだまだ理解が進んでいない。EVのように充電が必要と考えている人は中国にはたくさんいる」とトヨタ幹部はいう。そこで、2012年3月からトヨタは中国で「雲動計画」というHVを一般の人々に理解してもらうためのキャンペーンに着手した。
 
 HV用電池も、江蘇省常熟市に建設した新工場で現地生産される。現地で組み立てることで関税は下がり、HVの低価格化も進む。普及が進めば、補助金などHVの優遇が中央でも地方でも広がることも将来的には期待される。
 
 中国では乗用車を対象に、メーカー別の燃費規制が2015年から始まるとみられる。一企業が販売する車の平均で課徴金が課せられるという。平均値を下げられるHVがあることは、トヨタにとっては有利に働く。
 
 長期の苦戦を強いられている中国戦線に、大きな風が吹きつつある。1980年代の遺恨を払拭するときが近づいてきた。

※SAPIO2014年8月号

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