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柏市×武雄市×CCC “市民が主役”となる街づくりとは?

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自分の過ごした街、今住んでいる街にどれだけ愛着があるだろうか。また街の中で誇れるもの、自慢したくなるモノやコトはあるだろうか。今回はそんな市民価値を高める街づくりに力を入れている市長のお話を伺うべく、千葉県柏市、柏の葉キャンパスへ向かった。

市民が街を好きになるには?「体験を創造する未来の街づくり」を考える

今回イベントが開催されたのは、秋葉原から電車で約30分の柏の葉キャンパス駅にある、柏の葉オープンイノベーションラボ『KOIL』。7月8日(火)にグランドオープンした柏の葉スマートシティ『ゲートスクエア』の中の1つの施設であり、多様な人、最先端の情報の交流から生まれるアイデアや、開発のスピードアップなど、より創造的なビジネスのための拠点となるオフィス空間として誕生したもの。

そんなイノベーティブな空間で「体験を創造する未来の街づくり」と題し、これまたイノベーティブな方々によるトークセッションが行われた。登壇者は、増田宗昭氏(カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、CCC)代表取締役社長兼CEO)、秋山浩保氏(千葉県柏市長)、樋渡啓祐氏(佐賀県武雄市長)、この3名に加えてモデレーターは林千晶氏(株式会社ロフトワーク代表取締役)。市民が使いたくなる、訪れたくなる、すなわち体験したくなる街づくりについての議論が繰り広げられた。

【画像1】街づくりに対する熱い想いを語る登壇者(画像提供:loftwork)

武雄市「図書館が街づくりのエンジンに!」

2013年4月にリニューアルオープンした武雄市図書館。メディアでも広く報じられたことにより、佐賀県武雄市は一躍有名な街となった。リニューアルオープンして一年が過ぎた今でも武雄市図書館への注目度は高い。

「(図書館は)いつも閉まっているイメージだし、カビ臭い。しゃべったら怒られる。これだと誰のための図書館なのかが分からない。だから自分たちが行きたいと思える図書館をつくろうというのが最大のコンセプト」
樋渡市長のコメントである。早くに閉まってしまうので、働いている日は利用出来ない、そもそもしゃべってはいけないという固定観念が小さなころから植えつけられている者にとって、この図書館に対するイメージにはかなり共感出来る。

そこで誕生したのが新しい武雄市図書館である。指定管理者制度を民間企業でありTSUTAYAを企画運営しているCCCに任せたことから始まり、本の貸し出しなど通常の図書館機能に加えて書籍販売、そしてカフェ、さらには館内には音楽が流れるという構成の図書館になった。ありきたりの本を借りるための場所ではなく、ライフスタイルを提案するという新しい図書館の取り組みだ。この図書館が誕生してから来場者も増加(13カ月で100万人を超す来場者)したという。

図書館の誕生によって街も変わりつつあるのだとか。市長によると「人口は減ってきているけれど高齢者比率が下がってきている。これはファミリー層が、図書館が近くにあるから武雄市に住みたいと移住してきているため。図書館が人を引き付けるエンジンになっているというのが今の武雄市だ」因みに、これから図書館周辺にマンションが3棟建設されるようだ。まさに図書館が街づくりのエンジンになっているということだろう。

重要なのは図書館にポテンシャルがあるのではなく、図書館という人が集まる空間にポテンシャルがあるということだ。

武雄市図書館の企画や運営にも関わるCCCの増田氏も人が集まる場のポテンシャルについて「その場の居心地はすごく大事なこと。例えば代官山蔦屋書店でも、一番大事なのはあの建物じゃなくて、建物と建物のあいだ、間(ま)がすごくいいということ。次の建物との間がどれだけあいていて、歩くとどれくらいの幅で……、建物の高さと日陰の関係、ケヤキが創りだす影とか、ふと上を見たときの空の見え方とか、結局建物じゃなくて風景、その風景のシークエンス(連続性)が大切。“何歩あるいたらどんな気分になるのか“を大切に空間について考えている。」と話していた。

建物ありきではなく、その空間を体験する人びとがその場で何を感じ、どう過ごすのか。市民にとっては、日ごろ使いたい施設として、観光客にとっては、一度は見ておきたい施設として、それぞれの観点で注目を浴びる図書館。こんな施設が地元にあったら良いのにな~っと感じずにはいられなかった。

やっぱり大切なのは、リアルな関係性とリアルな場の提供

柏市でも、クリスマスには柏駅東口でプロジェクションマッピングを行ったり、チケットを購入して少しずつ街のグルメを楽しめる『ユルベルトKASHIWAX』など市民主導の街イベントや街づくりが盛んに行われているという。秋山市長によると「市民の街づくりに参加したいという想いや、柏市を誇りに思う市民がどれくらいいるのか」が市民価値の向上には重要なのだとか。

そこに必要なのが、市民が集まるためのプラットフォーム。このプラットフォーム=空間の提供が地域に大切なことであるという。2016年の秋には代官山に続いて『柏の葉T-SITE』が出来る予定(T-SITEとは、CCCが運営する蔦屋書店を中心としたライフスタイル提案型商業施設)。柏の葉キャンパスを中心とした新しい街を起点に、今後も市民価値向上のための街づくりが進んでいく模様。柏の葉キャンパスは今後さらに発展しそうだ。

今回3名の話を伺って思ったのは、やはりリアルな関係性が求められているということ。柏市の市民主導の街づくりイベントもそうだし、武雄市の図書館も根底にあるのは市長と市民のリアルな関わりが生んだもの。媚びない街づくりがより濃密な関係性を生んでいるのだと感じた。

【画像2】KOILの中心。コワーキングスペースの「KOILパーク」(画像提供:loftwork)

●KOIL
HP:http://koil.jp/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/07/31/66975/

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