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新疆ウイグル自治区で相次ぐ暴動 背景に「漢民族との経済格差」と「中国のエネルギー問題」

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中国では現在、少数民族ウイグル族と中国国民の90%を占める漢族との間に対立が生じており、ウイグル族の犯行とみられるテロが頻発しているという。

2014年7月28日の朝にも、新疆ウイグル自治区で武装集団が政府施設などを襲撃し、公安当局が犯行グループ数十人を射殺したと報じられている。

奇しくも同じ日の夜、テレビ東京の「未来世紀ジパング」は、中国国内の景気が失速するなか、「ここだけは別格」という新疆ウイグル自治区の取材を通し、中国の異変を伝えていた。

ウイグル族の給料は「漢族の半分」

かつてヨーロッパとアジアを結び交易の要だった「シルクロード」の中央に位置する新疆ウイグル自治区は、中国全土の6分の1を占める広大な土地だ。

ここに少数民族として住んでいるのがウイグル族。住民の多くはイスラム教を信仰し、街ゆく人の顔つきはエキゾチックで、中国とは思えないイスラム文化が見られる。

「いま、新疆は中国の中で一番給料が高い」

漢族の出稼ぎ労働者が語るように、開発ラッシュで人口が5倍になり、来年には北京との間を結ぶ新幹線が開通予定だ。しかし、そのひずみによる社会不安もかなり大きなものになっている。各国のマスコミを集めた新幹線試乗会の後の記者会見では、自治区政府に対し、

「新疆の治安はどんどん悪化しています。この状況は、中国政府の少数民族政策の失敗では?」

と、鉄道とは関係のない厳しい質問が飛んだ。副主席は「我々の政策は世界で最も先端的で優れている」と答えていたが、ウイグル族の出稼ぎ労働者は「同じ(日雇い)仕事でも、ウイグル族は漢族の給金の半分」と不満を訴える。それすら、ほとんどの人が仕事にありつけず途方にくれていた。

原油や天然ガスが噴き出す「資源の宝庫」

この男性は、以前は農家を営んでいたが、不動産開発で立ち退きを迫られ土地を失い、収入がなくなったという。別の男性が、ウイグル族の本音を語る。

「新疆でお金を儲けるのは、すべて漢族だ。我々ウイグル族には回ってこない。お金があっていい生活ができれば、事件を起こしたりしない」

今年4月には、習近平国家主席が新疆ウイグル自治区を視察した際、ウルムチ駅でテロとみられる爆発事件が発生したため、習近平氏はテロとの戦いを宣言した。

新疆ウイグル自治区には、もともと「東トルキスタン」という独立国家をつくろうという動きがあり、それを中国が抑え込もうと軍を送り込み締め付けを強めていた。

5年前には200人が犠牲となるウルムチ騒乱が起き、溝は一層深まった。自治区の村々は公安に監視され、イスラムの習慣である女性が顔を布で覆うことや男性がひげを生やすことも禁じられているという。

なぜ中国は、そこまでこの地にこだわるのか。実は新疆ウイグル自治区カラマイには、原油産油量が中国の第4位という油田があり、原油や天然ガスが噴き出す資源の宝庫なのだ。

エネルギー関連の企業が進出し、1人あたりGDPが中国トップという「金持ち都市」になっている。「ここでの生活はとても幸せ。プレッシャーもないし、毎日がレジャーみたいだ」と語る住民の75%を、漢民族が占めている。

イスラム過激派テロの問題に発展しかねない

新疆のエネルギーを沿海部へと送るため、総延長7000キロという巨大なパイプラインの敷設工事が行われている。すでに2本は稼働中で、合わせれば何万キロという規模になる。現場を取材した後藤康浩氏(日本経済新聞 編集委員)はこう解説した。

「いまやこれが、中国経済沿海部の経済とエネルギーを支える重要な動脈になっている」

さらに不足分を中央アジアからパイプラインで繋ぎ、天然ガスを引き込もうとしている。そのため、地続きになっている新疆を絶対に手放すわけにはいかないというわけだ。

後藤氏は、「テロとの戦い」が問題を却って泥沼化させる恐れがあるという。これは中国の国内問題だけではなく、経済問題としてもイスラム過激派テロの問題としても世界に影響を広げる可能性がある。時間はかかっても、ウイグルの人々の安定を図り、生活水準を上げることが、結局は問題解決につながると番組をまとめた。

中国が躍起になってエネルギー開発を行っていることは分かるが、それは少数民族を踏みにじる結果になっている。経済格差が広がり長引くほど、問題は深刻になっていくと思うが、問題の構造が客観的には分かっていながら、解決への糸口が見つからないことがもどかしい。(ライター:okei)

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