ネトウヨの多くは「バブル末期世代」 不遇が「愛国」に走らせたのか?

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ネトウヨの多くは「バブル末期世代」 不遇が「愛国」に走らせたのか?

ネット上で右翼的な発言を繰り返す通称「ネトウヨ」について、投資家のやまもといちろう氏が、世代的に大きな偏りがあることを明かしている。

東洋経済オンラインのインタビューによると、2012年に右翼系動画サイト「日本文化チャンネル桜」のユーザー層を調査したところ、42歳から46歳の世代に「でっかいボリュームゾーン」があったという。

この世代は、1966年~70年生まれのいわゆる「バブル世代」末期に当たる。このことが、右翼的言動と何か関係があるのだろうか。

就職時を頂点に、一貫して急降下し続けた世代

調べてみると2012年に「42~46歳」だった層は、学生時代にバブルを謳歌した世代といえるようだ。大卒の求人倍率は2倍を超え、第一次就職氷河期に当たる70年生まれの卒業時(93年)でも1.91倍あった。

彼らはちょうど団塊ジュニアのひとつ上世代に当たる。親世代は高度成長期の恩恵を受け、バブル期には社内で重要なポジションを占めており、バブル世代も子どもの時から豊かな生活を満喫した人が多かったに違いない。

華やかなバブル末期世代が、「日本は神の国だとか、従軍慰安婦問題の偏向報道は是正するべきだとか、南京大虐殺はなかったとか」(やまもと氏)と主張しているのは何とも対照的だが、どのような理由なのか。

経済状況を振り返ってみると、その裏には複雑な事情が見えてくる。実は彼らは、入社時こそ比較的恵まれた環境に囲まれていたが、その後は一貫して急降下の右肩下がりの時代を生きてきたのである。

入社時には「6か月分のボーナス」を貰って喜んだものの、その後は3か月、2か月と減る一方。好景気に乗って実力以上の大企業に入ったせいか、会社の中でもなかなか大きな役割を担うことができない。

そのうち本格的なバブル崩壊が起き、入社数年でリストラ対象となった20代社員たちが出始めた。残った社員たちも採用減で後輩たちが入ってこなくなり、最若手で30歳を迎え、過重労働に苦しんだ。

「構造改革」で収入激減、非正規も急増

給与の伸びも、かなり鈍化した。転職サービスのDODAの調査によると、40代の正社員は2007年時点では年収平均が670万円だったが、2013年には598万円と72万円も減っている。期待した収入まで伸びていないのである。

そのような影響かどうか、日本生産性本部の2012年調査では「心の病の最も多い年齢層」として「40代」を挙げる企業が36.2%と最も多かった。2002年から10年までは30代が最も多かったというから、バブル末期「ネトウヨ」世代がこの中心を占めている可能性が高い。

2002年といえば、小泉純一郎政権がグローバル化を積極的に推し進め、「聖域なき構造改革」として数々の「既得権益」を壊し始めた時代。派遣法が改正された2003年に5.4%だった35~44歳の非正規社員は、2014年の45歳~54歳で9.6%と倍近くになっている。

「ネトウヨ(=ネット右翼)」という言葉がマスコミに初めて登場したのも、小泉政権の頃。2005年5月、産経新聞における佐々木俊尚氏のコラムとされる。グローバル化は避けがたく、中長期的には国益にかなうものだとしても、その過程で既得権益を奪われた人たちの痛みは、たまったものではなかった。

現実とのギャップ際立たせる「よき思い出」

もちろん、「失われた30年」の間も、それなりに成功を収めてきた人もいる。しかし、学歴や親の資産、コネなどが少ない人ほど苦しんだ可能性が高いのも事実だ。前出のインタビューで、やまもと氏は「ネトウヨ」になる心理について、こう指摘している。

「職歴が誇れない、学歴が誇れない、家系が誇れない。日本人であることしか誇れない人たちが結構いっぱいいます。本当は、高いところに自分の理想があっても現実の自分はそこにまったく手が届かない」

一方、物心ついたころにはバブルが崩壊していた下の世代は、親世代の期待感も下がり、新しい価値観の中で自由な生き方を模索しているようにも見える。同じ環境にいても「あの頃は本当に良かった」と思える過去を持つ人は、現実とのギャップにかえって苦しみやすいということだろうか。

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