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甲子園あるある 笑顔を掲げて闘う高校はやっぱりすぐ負ける

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 今日で大阪など一部の地域を除き、夏の甲子園出場校が出そろう。そこで漫画「野球部に花束を」(秋田書店刊)がブレーク中の漫画家のクロマツテツロウさんに、「クロマツ流甲子園の見どころ」を伺った。(取材・文=フリーライター・神田憲行)

 * * *
--クロマツさんの作品は都立の普通の野球部を舞台に、その日常を描いています。それが野球部「以外」の読者にも「えっこんな世界なの!?」という意外性があって面白い。クロマツさんも野球部でその実体験が活かされているそうですが、どんな選手だったんですか。

クロマツ:一応強肩のショートで鳴らしたつもりなんですが、送球難で打点より暴投による失点の方が多い、という選手でした。普通の公立高校で3年夏の県大会も初戦敗退です。

--クロマツさんは野球部の奇妙な習慣、独特のルールを取り上げた「野球部あるある」(菊地選手著、白夜書房)で漫画を担当され、「花束を」でも「野球部あるある」を紹介されています。たとえば返事をすることを「アンサー」、急ぐことを「ハリー」とか、英語が多用されるのがおかしい。

クロマツ:英語は不思議だらけでしたね~。ウォーミングアップやクールダウンのことを「アップ」とか「ダウン」とか、その辺はまぁわかります。わからんかったのは、やたらと「ジャッジ」という言葉を使うこと。例えば先輩が、

「自主練の守備・打撃・筋トレのメニューのジャッジは各自のジャッジに任せるので、ワンランクでも上にステップアップできるように考えてジャッジするように」

 とか言うんですが、意味わからないでしょ(笑)。

--あと監督と先輩の理不尽さもおかしい。

クロマツ:おかしいですよ(笑) 僕の現役時代、大会前の追い込み練習で陽が落ちてまともにボールが見えないなか、監督が鬼みたいにノック始めたんです。その打球が僕の顔面を直撃して歯が折れて、血がグラウンドに垂れました。その瞬間、誰もが監督が慌てて謝ると思うじゃないですか? そしたら、

「なにグランドに唾を吐いとんねん!出て行け!」

 僕も思わず「すみません!!」て大声で謝って、そのままチャリンコで歯医者に直行しました。これ今でも、僕は悪くないはずと思っています。(笑)

--笑っちゃいけないんでしょうけれど、その理不尽さが野球部以外の者には面白いんです(笑) 「甲子園あるある」はありますか? 僕が思いついたのは《控えのキャプテンが伝令に出てきたとき、作り笑顔がデカイ》《初出場の私学で試合前のベンチ前で謎の儀式をするところがある》です。

クロマツ:あーありますねえ(笑)甲子園ではまず「熱闘甲子園」(注・テレビ朝日系で毎晩放映するその日の甲子園まとめ番組)よりも先に気になるランナーコーチを見つけ出すことですかね。いい笑顔をしているムードメーカーの控えとか、伝令で内野陣が集まったときに行われるキメポーズなどは必ずチェックしています。あとは「あるある」風にいうと、

《「笑顔」とか「楽しく」とか「元気よく」とかを全面に掲げて闘う高校はやっぱりすぐ負ける》
《エラーした選手のところにすぐまた打球が飛ぶことは野球では良くあるが、甲子園ではそれ以上にもっとある》
《3年生の代打より2年生の代打の方が振ってくる》
《テレビ中継のアルプスレポートでカメラに抜かれる女の子は、必ず朝倉南ラインの女子》

 などですかね。よーく観察していると、絶対おかしな法則が見つかるはずです。それを見つけるのが楽しみです(笑)

--改めて、クロマツさんにとって高校野球部の魅力はなんですか。

クロマツ:基本的には楽しくて笑える日常なんで、それを面白おかしく描いていくつもりです。でもなぜ彼らの行動や言動のいちいちが面白いかと言うと、それはやっぱり本質的に真剣だからだと思うんです。9人しか試合に出れず、20人しかベンチに入れず、負けたら終わりの一発勝負の戦いをするというシビアな世界が背景にあるからだと思うんです。僕の作品でも野球部のリアルを描ききるうえでは哀愁は切っても切れないものなので、今後もそこらへんもどんどん掘り下げていくつもりです。

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