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2014年アメリカ音楽市場に見る「アクセス時代」のトレンド

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posted by Jay Kogami

CD、ダウンロード売上は低迷したが…。2014年のアメリカ音楽市場に見る、「アクセス時代」のトレンド

調査会社ニールセンが、アメリカの音楽市場データSoundScanから2014年前半の動向をまとめて発表しました。

SoundScanが記録した6月29日までのデータによれば、「アナと雪の女王」サウンドトラックとファレル・ウィリアムスの「Happy」が最も人気のアルバムとデジタルトラックで、それぞれ270万枚と560万枚を売上げました。

「アナと雪の女王」サウンドトラックは2014年前半で唯一売上枚数が100万枚を突破したアルバムです。アルバム売上2位はビヨンセの「Beyonce」で702,000枚でした。3位はカントリー歌手エリック・チャーチの「The Outsiders」で642,000枚でした。

エリック・チャーチの「The Outsiders」はデビュー初週で288000枚を売り上げアルバムチャート1位デビューを果たし、カントリーミュージックの勢いを感じさせます。

4位はロードの「Pure Heroine」で641000枚、昨年9月のリリースから計算すると売上総数は133万枚に上ります。このアルバムはデビュー以来38週に渡ってアルバムチャートTOP40入りを果たしています。コールドプレイの「Ghost Stories」が589,000枚で5位に入りました。

ちなみに2013年前半で最も人気だったのは、ジャスティン・ティンバーレイクの「20/20 Experience」で204万枚の売上枚数でした。

2011年と2012年前半で人気だったアデルの「21」と合わせて、いずれのアルバムもその年最大の売上を記録しています。現在の勢いのままなら、「アナと雪の女王」サウンドトラックが2014年最大のアルバム売上を達成することが予想されます。

アルバム売上は伸び悩み

2014年前半では、売上枚数が50万枚を超えたアルバムはわずか5枚しかありませんでした。2013年前半ではその数は11枚でした。

SoundScanが開始した1991年以降で、アルバム売上枚数が100万枚超えしたアルバムがわずか1枚しかない6ヶ月は3回しか記録しておらず、このトレンドは2012年、2013年、2014年と3年連続で継続しています。

トップ20内では、2014年リリースアルバムが11作品、2013年リリースが7枚、なんと2012年リリースも2枚 (ブルーノ・マーズ「Unorthodox Jukebox」、フロリダ・ジョージア・ライン「Here’s to the Good Times」)入り健闘しています。

昨年との違いでは、インディーズレーベルのリリースがTOP10入りしていないことです。2013年にはマムフォード&サンズの「Babel」(Grassnote)、ザ・ルミニアーズの「The Lumineers」(Dualtone)、マックルモア&ライアン・ルイスの「The Heist」(Macklemore LLC)と3作がベストセラーに入りました。

さらにメディア別にアルバム売上を、2013年と2014年前半で比較してみました。

アルバム売上(CD、カセット、アナログレコード、デジタル)
2013年:1億4200万枚
2014年:1億2090万枚(14.9%減少)

デジタル・アルバム売上
2013年:6080万枚
2014年:5380万枚(11.6%減少)

CDアルバム売上
2013年:7820万枚
2014年:6290万枚(19.6%減少)

LPアルバム売上
2013年:290万枚
2014年:400万枚(40.4%アップ)

上の数値だけを見ると、アルバム売上が全体的に低下しているトレンドが見られますが、米国ではスマホやウェブで利用可能な音楽ストリーミングサービスの利用が拡大しています。

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そのトレンドを踏まえて、デジタルトラック10曲を1アルバムと換算し、さらに音楽ストリーミング再生1500回を1アルバムと換算する計算方法で、アルバム売上総数を見てみると、それ程大きく減少していないことが明らかになりました。

アルバム売上総数(アルバム売上+トラック売上換算+ストリーミング再生換算)
2013年:2億3500万枚
2014年:2億2710万枚(3.3%減少)

2014年前半は音楽ストリーミングの利用が42%増加したことから推測できるのは、人の音楽を購入する意識がストリーミング再生へと意向し始め、音楽の消費の仕方が売上データにも反映されています。CDはもちろんデジタルデータを購入し、ストレージに保存しデバイスと同期させて、といったアプローチが、スマホやPC、タブレットやスマート家電から好きな時に好きな曲にアクセスできるアプローチへと大きくシフトしていることが、米国の音楽市場では顕著になってきました。

従来のビジネスモデル(CDやiTunes)などが唯一無二の存在ではなくなり、Spotifyなど音楽ストリーミングサービスが選択肢としてリスナーに提供される「アクセス時代」が今後訪れることで、チャンスを求めて新しいビジネスモデルに適応したアプローチを米国の音楽ビジネス全体が推進していくと思われます。

デジタルトラック売上

2014年前半で最もダウンロードされたトラックは、ファレル・ウィリアムスの「Happy」で、560万ダウンロードを記録しました。500万ダウンロードを超えたのは「Happy」のみで、ケイティ・ペリーの「Dark Horse」が400万ダウンロードで続きます。

2014年前半では12曲が200万ダウンロードを超え、38曲が100万ダウンロードを超えました。2013年前半ではそれぞれ13曲、51曲でしたので、ヒット曲の売上数は低下しています。

デジタルトラックおよびアルバムの売上は低下しています。アルバム1億4200万枚を売り上げた2013年から2014年は14.9%ダウンして1億2090万枚にとどまりました。またデジタルトラックも6億8220万ダウンロードだった2013年から13%ダウンし、5億9360万ダウンロードに減少しました。

音楽ストリーミングが成長し普及していけば、これまでCDやダウンロードを主体のビジネスモデルを推し進めてきた音楽業界は、マネタイゼーションやマーケティング、プロモーション戦略、顧客とのタッチポイントなど音楽をリスナーに届けるための戦略において、従来の考え方とは違う「アクセス時代」への適応が必要になってきます。その転換をどれだけ早く推進できるかが、トレンドの移り変わりの速い現代においてキーになります。すでにアーティストやインディーズレーベルが独立した立場を活かして新しいサービスやトレンドを受け入れ、リスナーに最適な音楽体験を届けることを考え始めています。日本でも、アーティストやレーベルが将来を予測して今年中に仕掛け始めれば、急激な変化に飲み込まれること無く音楽を届ける機会を広げていけるのではないでしょうか。

■記事元http://jaykogami.com/2014/07/8450.html

記事提供All Digital Music

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