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インターネットは危険? 医薬品に続いて不動産でも論争再燃[連載:岩盤規制(4)]

役人の掟

インターネットは危険なのか? 医薬品に続いて不動産でも論争再燃

インターネットによって、世の中はずいぶん便利になりました。

ビジネス上、ここ数年で大きく変わったことのひとつは、テレビ電話方式での会議参加が当たり前になったことでしょう。
遠方に出張中でも、インターネットさえつながっていれば会議参加できるようになったので、ずいぶん効率的に仕事ができるようになりました。

民間ビジネスだけでなく、今では国や自治体の会議でも、テレビ電話方式は当たり前に使われています。
例えば、私は大阪市の人事監察委員会の委員を務めていて、月に1~2回会合がありますが、ほとんどの場合、大阪には行かず、東京からテレビ電話で参加しています。他の参加者の様子は机上の画面に表示されるので、同じ会議室にいるのとほぼ同様の感覚です。
 また、国の会議でも、たとえば産業競争力会議など、大物経営者らが名を連ねる会議では、ほぼ毎回のように、委員の誰かが出張先の海外からテレビ電話で参加し、総理や関係大臣らと議論しています。

 こうした便利なツールは、放っておいても、社会でどんどんと広まっていくものです。
 ところが、中には、その利便性を享受できない分野もあります。
 規制によって、インターネット利用が禁止されている分野です。

 そのひとつが、前回記事(岩盤規制3)で紹介した、医薬品のインターネット販売です。
 今年6月から解禁された……と言われていますが、
・本当は決して「解禁」とは言えないこと、
・また、一部禁止が続く理由は、「インターネットを利用すると危険だから」とされていますが、少し掘り下げれば、全く論拠薄弱であることをお話ししました。

 同じような話は、ほかの分野にもたくさんあります。
 実は、医薬品と全く同じような議論が、ちょうど今、不動産取引に関してなされています。
 争点となっているのは、宅地建物取引業法に基づく「重要事項説明」です。
現行制度では、
・契約の中の重要事項について、宅地建物取引主任者が対面で説明すること、
・その際、「書面」を交付すること(電子メールなどでは不可)、
が求められ、インターネットを利用した重要事項説明は認められません。

 「不動産取引の場合、ふつう現地で物件確認するのだから、別に構わないんじゃないか?」と思われる人もいるかもしれませんが、そうとも限りません。
 例えば、遠方に転勤する場合や、時間のないビジネスパーソンが引っ越す場合など、物件候補は現地に見にいくとしても、最終的に選んだあとの重要事項説明などの手続きは遠隔で済ませられれば……といったニーズは少なくないでしょう。
 また、近距離の引越しであっても、「家族でシェアしたいのでテレビ電話で説明してほしい」「文字に残すため対面ではなくメールで質問に回答してほしい」などの理由で、インターネットでの重要事項説明を望む場合もあるでしょう。
 しかし、現行制度ではこれは認められず、重要事項説明の際は必ず「対面」しなければならないわけです。

 こんな規制は見直すべきではないか……ということで、2014年4月、国土交通省で、「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」という会議が設置され、検討がスタートしました。
http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000092.html [リンク]

 ただ、「検討会」が設けられたからといって、インターネット利用解禁がすんなり実現するとは限りません。
 医薬品の場合と同様、解禁に向けて検討がなされても、結論はごく部分的な解禁にとどまってしまう、といった可能性はいくらでもあるのです。

 検討会での議論の様子をみると、すでに、そんな気配が濃厚です。
 議事録が公開されていますが、インターネット利用を解禁すべきという委員がいる一方で、「インターネット利用には問題がある」との主張が数多く見られます。

 問題の理由としてあげられているのは、
・テレビ電話による場合、相手が(書面をみるため)下を向いてしまうので、表情が読み取りづらく、理解できているかどうかの確認が難しい、
・取引主任者証が、テレビ電話でははっきり見えないので、偽造されても分からないおそれがある、
といったものです。

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記者:

株式会社政策工房代表取締役、特定非営利活動法人「万年野党」理事。

ウェブサイト: http://yatoojp.com/

TwitterID: HaraEiji

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