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業績不振で地方の営業所を閉鎖 「勤務地限定社員」は解雇されるのか?

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Aさんは、ある中堅商社に勤める30代後半の男性。東京で採用されたが、入社早々、縁もゆかりもない岡山市にある中国営業所に配属された。最初は慣れない場所で「もう辞めたい」が口癖だったが、暮らしているうちに、

「自分には、東京よりこういう環境が向いているかも…?」

と思い直すようになった。入社4年目で、赴任先の女性と結婚。会社の「勤務地特定制度」を使って、勤務希望地を岡山に選定した。翌年には子どもも生まれ、住宅ローンを組んで妻の実家近くに新築一戸建てを購入した。
社員「会社は岡山に何らかの仕事を作るべき」
この地で働くと決めたのに

順風満帆の人生だったある日、会社が業績不振を理由に、岡山の営業所の廃止を決定した。転勤可能社員には大阪など他の営業所への異動が打診されたが、勤務地特定制度を使っていたAさんには「転勤可能社員になるか、退職するか」と突きつけられた。

もしも転勤可能に変更せず、退職もしない場合には、会社は「懲戒解雇の可能性もある」と伝えてきたが、Aさんは納得できない。

「営業所を廃止したとしても、会社は岡山に何らかの仕事を作るべきじゃないですか? 現に岡山にも顧客はいるわけだし、少なくとも自宅から出勤可能な制度を作るべきです」

営業所の撤退で職場がなくなった社員を、会社は解雇できるのか。職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。

――結論から言うと、今の会社に在籍しながら岡山で働き続けることは、困難でしょう。

支店の新設や廃止など、会社経営に関する重要な決定については、社長を中心とする役員会議(取締役会)に全面的に委ねられています。

会社は、業績不振を理由に岡山支店を廃止することも、その後、岡山に仕事を作らないことも、個々の従業員の事情とは無関係に決定することができます。
勤務地がなくなれば「整理解雇」が認められる可能性も

勤務地特定制度を使ったあなたは、定年までずっと岡山支店で働けると考えていたのでしょう。このように、会社との間で「勤務地を限定する」合意がされた場合、会社は他の支店への転勤を命じることができなくなります。

したがって「転勤可能社員になって他支店へ転勤すること」を命じられた場合に、これを拒んでも会社はあなたを懲戒解雇することはできません。無理やり懲戒解雇されたとしても、裁判所で争えば無効と判断されます。

もっとも、勤務地である岡山支店がなくなる以上、会社都合による整理解雇が可能となる余地はあります。「整理解雇」とは、経営上の理由から余剰人員削減のためにされる解雇のことです。

会社が事情の説明を十分に行い、一方的な解雇を避けるための努力をした上であれば、整理解雇が認められることになります。
話がこじれてしまう前に会社と交渉を

「解雇を避けるための努力」としては、あなたを雇い続けるために、他の支店への転勤を提案することが挙げられますが、あなたはこの提案には応じられないでしょう。

その他の「努力」として、転職先のあっせんをしたり、退職金を上乗せして自発的な退職を促したりすることが考えられます。

すでに述べたとおり、岡山を離れたくないのであれば、遅かれ早かれ、今の会社を去ることになると思います。そうであれば、円満な形で退職するに越したことはありません。

赴任先の岡山で結婚し、奥さんの実家の近くにマイホームを建てたというような事情があれば、退職金の額について配慮をしてもらえるのではないでしょうか。

会社との間で話がこじれ、整理解雇、さらには懲戒解雇といったことになる前に、一度弁護士を立てて交渉してみることをお勧めします。

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【取材協力弁護士 プロフィール】

岩沙 好幸(いわさ よしゆき)
弁護士(東京弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。頼れる労働トラブル解決なら≪http://www.adire-roudou.jp/

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