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「ブラック企業」が嫌われている? 好景気でも「人手不足倒産」の怪

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アベノミクス効果で景気が回復し、雇用状況も改善される中、今度は「人手不足」という思わぬ理由で倒産する企業が各地で相次いでいる。東京商工リサーチによると、2014年上半期(1月~6月)に求人を出しても人を採用できない「採用難」による倒産が10件、人手不足に伴う「人件費の上昇」による倒産が10件あった。

昨年はどちらも年間でそれぞれ10件と9件あったが、今年は半年で上回るペースだ。業種別では建設業が半数近くを占めた。長野県のある建設会社も建築資材の高騰に加え、職人不足で受注していた工事の工期が遅れて資金不足に陥り、5月に事業停止となった。

インターネット通販の影響で需要が高まっている運送業でも、ドライバー不足と燃料の高騰で倒産する企業があった。飲食や介護業などでも、同様の倒産が起きている。

金融支援で「倒産しにくくなっている」けれど

人手不足での倒産は、バブル期の1991年には約250件を記録している。それに比べると少ない感じがするが、当時とは少し事情が異なるようだ。東京商工リサーチの担当者によると、

「リーマン・ショック以降、企業への金融支援が手厚くなり、倒産しにくくはなっているのですが」

という。つまり倒産までいかなくとも、現時点で休業や廃業状態に追い込まれている企業が相当数あると見られる、ということだ。

この傾向は他の業種にも広がりつつあり、飲食を始めとしたサービス業では今後いっそう人を採るのが難しくなり、経営が厳しくなるおそれもあるという。

人手不足は、すでに全国に広がっている。大阪商工会議所が資本金10億円以下の企業を対象に行なった調査でも、30.0%の企業が「(働き手が)現在、不足している」と回答。「現在は不足していないが、今後、不足する懸念がある」と回答した企業も33.3%あった。約6割が人手不足の影響を受けている形だ。

だが、いくら人手不足といっても、働き手がいない訳ではない。5月の有効求人倍率は1.09で、バブル崩壊後最高値となったが、一方で15歳以上の人口に占める就業者の割合は57.7%。60%以上あった90年代に比べると依然低いままだ。一体何が起きているのか。

この原因は、おもに2つの現象が指摘されている。1つは、条件がよい会社に働き手が移ってしまい、よい条件を提示できない会社は人手を集められなくなっている、ということだ。

この傾向は、特に建設業界で強い。大規模公共事業で好景気に沸く建設業では、職人の日当が3~4万円にまで高騰することもあり、資金に余裕がない企業では引き止めておくことができない。その結果、仕事があっても工事を進められず、苦境に立たされてしまう。

高須院長「薄利多売は日本では成立しない」

もう1つは、好景気のあおりで、労働環境が悪いイメージのあるところでは誰も働きたがらなくなっているということだ。この傾向は、特に飲食や介護業界で強くなっている。

特に飲食チェーンでは、長く続いたデフレ経済下で、価格を極限まで下げるために従業員の賃金を抑えるのが当たり前になっていた。その結果、従業員が疲弊し、イメージの悪化もあって時給を上げても人が集まらなくなっている。

美容外科、高須クリニックの高須克弥院長も、NEWSポストセブンの7月5日づけ記事で、デフレ型の薄利多売は労働者の負担を増やし、労働者を酷使するブラック企業的な手法は「結局損する」と指摘している。

「人件費が安い発展途上国だったらそれでいいかもしれないけど、今の日本では到底成立しないんだよ。そのうえ少子化で労働力も足りないんだから、回るわけがない」

ネットでは、人手不足にもかかわらず採用を断られたという人たちから「企業は働き手を選り好みしすぎ」という指摘も。「人手不足で積極採用」とうたっていても「コミュニケーション能力」や「元気のよさ」がないと不採用になってしまう。何かと即戦力を求める企業だが、企業にも人材を育成し、うまく活用する工夫が求められる。

大阪商工会議所の調査によると、人材確保のために賃上げなどの労働条件の改善を「すでに実施した」という企業は47.0%。「今後実施を検討中」という企業も26.9%あった。バブル以来の人手不足で「失業者」と「ブラック企業」がともに減ることを期待したい。

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