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青田買いの何が悪い? 「インターンシップ」けん制強化に反発の声

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夏休みを見据えて、企業のインターンシップ募集が佳境を迎えている。就活生としては、仕事の説明を受けたり実際の業務を体験したりすることで、具体的な志望企業の絞込みに使いたいところ。企業としても、有望な人材との貴重な接点として期待が高まっている。

しかし国や経済界は、あくまでも「採用選考活動」とは完全に切り離したものにすべきというスタンスを崩さない。それどころか、文科省、厚労省、経産省が4月に連名で出した「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」という指針の改正には、規制を強化するような文言まで付け加えられている。

すべての企業は「3学年次2月末」まで広報もできない

この指針改正は、17年ぶりに行われたもの。改正点を見てみると、インターンシップは「社会人基礎力」や「基礎的・汎用的能力」など、社会人として必要な能力を有する人材育成のために有効な手段と位置づけられている。

その一方で、インターンシップは「大学等の教育の一環として位置づけられ得るもの」であり、大学が積極的に関与することが必要と強調。そのうえで、

「大学等と無関係に企業等が実施するインターンシップの学生の参加状況については、国において把握していくとともに、各大学等においても可能な限り把握に努めるよう協力を求める必要がある」
「広報活動開始日以前に開始されるインターンシップについては、終了日が広報活動開始日以降であっても、開始時点では趣旨の明示を行うべきではないため、広報活動・採用選考活動としての取り扱いは行わない」

とし、企業による自由な活動をけん制するような改正内容になっている。「広報活動開始日」としては、日本経団連の倫理憲章と同じ「3学年次2月末」という期限が切られている。

2013年9月に行われた日本経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」の改定でも、2016年卒の学生に対して15年3月1日以前に開始されるインターンシップは、採用・広報活動と関係なく行うことを求めている。

これによって16年卒の就職活動の開始日は後ろ倒しとなり、学生たちは「就活時期の短縮」に悩まされる。タテマエは学業優先だが、時期が短くなれば競争も激しくなり、そこで敗れた人は就職先を確保できないまま卒業を迎えるおそれがあるのではないか。学生たちは、そのように怯えているわけだ。

経団連非加盟のベンチャー企業にも影響

中小企業にとっても、就活開始時期の後ろ倒しは人材を確保できないリスクとなる。例年は大手企業の採用が終わる4年生の春頃から募集を始めても、卒業までに約1年の期間があった。しかし16年卒からは大手の選考が4年生の8月からになるため、その後となると半年もないことになる。

昨今盛んに行われている、経団連非加盟のベンチャー企業によるインターンシップの目的も、なんとかして優秀な人材を確保したいという思いから行われているもので、実質的には採用活動を前倒ししたものだ。

実際にあるITベンチャーは、16年卒の「採用直結型」インターンシップの募集をすでに開始している。8~9月から開催し、8月中旬から内定を出し始める予定だという。早期にインターンを実施することで「優秀な学生とじっくり対話する時間が作れる」と見込んでいる。

経団連の指針は、非加盟企業であれば遵守する義務はなく、「青田買い」を目論む会社があることも確かだ。しかし、国からけん制するような指針が出た場合には、おおっぴらに無視することは難しくなる。

しかし、文部科学省などの指針には、実態を踏まえていないという批判がある。解禁日前のインターンシップは、すでに企業と人材をマッチングする場所として機能している現実があるからだ。

大企業に都合のよい「新卒一括採用」に批判

マイナビの調査では、インターンシップに参加した15年卒の学生が「その企業を受験しようと決めた」(31.9%)「受験するかは決めていないが、印象は良くなった」(51.9%)と答えている。あわせて8割強だ。

企業側についても、レジェンダ・コーポレーションの調査に「8月より前に選考を開始すると思う」と回答した採用担当者は39.1%にのぼり、「検討中」(40.0%)と合わせると、こちらも8割近い。

こうした中で、ネット上では「画一的な新卒一括採用」を見直し、自由なインターンシップをけん制する動きを排除すべきという意見も見られる。

「日本の大学生は就労体験がなく世間知らずだから就職できないというのに、その貴重な機会であるインターンシップを抑制するなんて」
「今どき採用活動も就職活動も、いつやっても自由なんじゃないの? 新卒一括採用制度の方を何とかしろよ」

ガンホー・オンライン・エンターテイメント代表取締役会長の孫泰蔵氏はフェイスブックで、新卒一括採用という慣行を「不毛」だと断言し、変革するには3つの「大方針」を徹底することだと提案している。

(1) 通年採用にする
(2) 新卒や中途という概念をやめて一切の差別をしない
(3) インターンシップを盛んに行い、一定期間じっくり見て採用していく

孫氏は、「大企業は自分たちに都合の良い新卒一括採用をいつまでもやめない」と批判。それが20代前半の若者たちに「意味のない失望感や徒労感、挫折感」を味わわせ、「どれだけ日本全体を損ねてることか!」と憤りをあらわにしている。

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