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社畜はなぜ「休む同僚」を責めるのか 人手不足は「会社の責任」なのに

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2014年7月12日、はてな匿名ダイアリーに「うちの職場で立て続けに2人が妊娠した」というエントリーがあがった。職場は「外での体力勝負」のため、妊娠すると「0.3人分程度の仕事」しかできなくなる。

2人が働けない分は「すべてが回(周)りの人の負担」となり、産前休暇に入るまで人員補充はない。筆者はこの女性たちに「正直さっさと休職してほしい」「迷惑なんて言いたくないが中途半端に仕事されるのはやっぱり迷惑だ」と厳しい。

「会社潰れたらどうすんの?」となじる社員も

筆者は女性のようだが、うち1人が1人目を産んで復職したばかりなのに笑顔で「私また消えます~」と言い放ったのも感情を刺激したようだ。

「あなたは仕事をしていないから休めるが、私はあなたの分の仕事で休めなくなっている。どうしても腹が立つ」

この手のエントリーは、ネットで目にすることが多い。産休中でも人員補充がないので、「女性には早く辞めて欲しい」という意見もあるほどだ。

しかし「従業員の妊娠は迷惑」という風潮が改まらない限り、国の少子化政策も効果が上がらない。このエントリーには、妊娠で仕事量が減った分は周囲が負担する必要がない、と指摘する書き込みがあった。

「職場の人全員、従来と同じ仕事をしてればいいんですよ。そんで仕事がまわらなくなったんなら、上司が人を補充するなり配置転換をするなり考えるでしょう…」

この意見には、周囲が協力しないことで「仕事がまわらなくなって会社潰れたらどうすんの?」と猛反論する人がいた。

「働いた事が無い奴はそういう有り得ない理想論を言うけど、実際は会社潰れたら困る人が必死で穴を埋めるしかないんだよね」

職務をあいまいにし「連帯責任」で相互監視

確かに「会社が潰れたらどうするんだ!」というのは、不況下ではブラック経営者の決め台詞として有効だった。転職できる力のない人は悪条件でも我慢するしかなく、最終的なしわ寄せはそこに集まる。

しかし現在は景気の回復で「人材の買い手市場化」が進み、「会社が潰れたら別の会社に行けばいい」と考えられる人も増えた。例えば繁華街の牛丼チェーンは、A社が繁盛しているのに、隣接するB社が人手不足で閉店している。

労働時間規制に対するトレンドも、あらかじめ「個人の職務や責任の範囲」を明確にし、成果による評価を行うことで自由で多様な働き方を許容し、生産性をあげるという方向に変化しつつある。

「残業ゼロ」制度を提案した産業競争力会議「雇用・人材分科会」も、「労働時間ベースではなく、ジョブ・ディスクリプション(編注:職務内容や役割について詳細に明記された文書)に基づき、成果ベースで」の働き方を提言していた。

そのような視点から冒頭のような職場を見てみると、人手不足は会社の責任なのに、同僚同士が責め合っている様子は、まるで「職場の連帯責任」という言葉に洗脳されているようにも見える。

個人の職務の責任範囲をあいまいにし、従業員に相互けん制や監視を強いることで、経営者はラクに儲けていると言えるのではないだろうか。

「いまいる人員でカバーするしかない」に騙されるな

日本が世界的に見て「有給休暇の消化率が低い国」であることは知られているが、休暇取得の穴埋めが「現場の連帯責任」になっている限り、戦中の「隣組」制度のような相互監視によって「休むことは罪」となることは明白だ。

脱社畜ブログを運営する日野瑛太郎氏も、日本では「職場の空気をうまく利用することで、(有休)取得がだいぶ抑制されている」と書いている。

有給休暇を「働いていないのに会社から給料をもらえる制度」だと捉えるのはお人好しの考えであり、「有給休暇の取得分は、当然給料の中に含まれている」ので、それが取得できないのは「タダ働きの強要」だと批判する。

経営者が「いまいる人員でカバーするしかない」と言うことで、抜けた穴を埋めるために既存社員に負担が重くのしかかる。結果として「休んだヤツのせい」という空気が作られ、有休が取りにくい社内文化が作られるというわけだ。

「会社が潰れたらどうするんだ!」「いまいる人員でカバーするしかない」というのは会社の都合であって、従業員の責任ではない。そんな考えに変わらなければ、有休の取得率も上がらず、妊娠した社員への風当たりも変わらないのではないか。

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