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仕事中にトイレに立てこもる部下 その時間を「残業代」から引けないか?

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Aさんは中堅広告代理店の課長。部下で20代のBさんが、たびたび席を外すことに不信感を抱いている。長いときには、30分以上も個室に立てこもることがあるからだ。

そのくせBさんは、資料づくりなどと称して深夜までひとり会社に残って、残業している日が多い。会社は最近、残業時間をきちんと管理するよう徹底しているため、Bさんには多額の残業代が支払われている。

スマホゲームで遊んでる? でも証拠が掴めず
指揮命令を逃れ…

Aさんは、Bさんがダラダラ残業をするために、昼間の仕事をサボっているのではないかと疑っている。あるとき「おまえ、トイレで何してるんだ?」と聞くと、Bさんはこう答えた。

「え、何って…。僕はお腹が弱いんですよ」

しかし彼が入っている個室から、以前はケータイ電話のボタンを押す「パチパチ」という音がしていたと証言する人もいる。どうやらゲームに興じているようだが、スマートフォンになってから、そういう「証拠」が掴めなくなったとAさんは嘆く。

このままでは、会社はムダな残業代を支払い続けることになる。Aさんは「トイレに行っている時間を記録し、その時間を残業時間から控除してはどうか」とまで考えている。

そんなことは、現実に可能なのだろうか? 職場の法律問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に聞いてみた。

――最近はスマホのゲームがかなり流行っていますね。通勤電車の中でも、携帯電話を片手にゲームをしているサラリーマンやOLをよく見かけるようになりました。仕事の休憩時間にゲームをする分には問題ありませんが、業務中にやっているかもしれないとなると話は別ですよね。

トイレや水分摂取も「労働時間」が原則だけど

残業代算定の基礎となる労働時間は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、その判断は、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていたと評価できるか否かによります。

トイレや水分摂取の時間は、人間が生きていれば当然避けられない時間なので、それが通常必要な時間にとどまっている限り、労働時間といえるでしょう。使用者もこれらの行為を当然に予定していますし、トイレが済んだらすぐに業務に戻らなければならないため、使用者の指揮命令下に置かれていると評価できるからです。

では、トイレ休憩が異常に長いという場合も、労働時間に入れてよいのでしょうか。前述の通り、トイレは人間が生きている中で避けることができない生理現象であり、原則として労働時間にいれるべきです。

しかし、通常必要な時間を超えて、トイレ休憩の時間が異常に長いような場合、そもそも人間が生きていく上で避けられない時間と評価できなくなる場合があると思います。しかも、トイレの個室に入ってしまうというような場合、外からは何をしているかわかりません。

また、鍵を閉めて閉じこもってしまえば、使用者からの指揮命令を逃れることもできます。したがって、通常必要と考えられる時間を超えた部分の時間については、労働時間に含まれないでしょう。

最低でも「離席時間の記録」は欠かせない

もっとも、人によっては、トイレの時間が長いことに合理的な理由がある場合も考えられますので、その点も調べる必要があります。体調がすぐれないためにトイレの時間が長いような場合には、合理的な理由と認められることも多いと思います。

トイレ休憩が異常に長い人への対応策ですが、誰かが実際に離席の時間を記録しておくことが考えられます。あまりにも長いのであれば、通常必要な時間を超えた時間を労働時間から控除する必要があるでしょう。

ただし、トイレでゲームをしているような証拠があればベストですが、最低でも離席時間の記録がないと、裁判では会社に不利な認定がされる可能性がありますので注意してくださいね。

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【取材協力弁護士 プロフィール】

岩沙 好幸(いわさ よしゆき)
弁護士(東京第二弁護士会所属)。慶應義塾大学経済学部卒業、首都大学東京法科大学院修了。弁護士法人アディーレ法律事務所。パワハラ・不当解雇・残業代未払いなどのいわゆる「労働問題」を主に扱う。動物好きでフクロウを飼育中。近著に『ブラック企業に倍返しだ! 弁護士が教える正しい闘い方』(ファミマドットコム)。『弁護士 岩沙好幸の白黒つける労働ブログ』も更新中。頼れる労働トラブル解決なら≪http://www.adire-roudou.jp/

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