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AmazonがGoogleに転職した元従業員を提訴、争点は

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Amazonが元従業員を競業企業転職禁止契約違反で提訴

アメリカ労働統計局の調査では、米国の労働者は、生涯11回以上も転職するそうです。労働力の流動化が活発である米国では、企業の秘密やノウハウ等を保有している人材による競業避止の問題が頻繁に発生するといえます。

Amazon Web Service(AWS)が、Google(Cloud Platform部門)に転職した元従業員を「Non-compete clause(競業企業転職禁止契約)」に違反したとして、ワシントン州連邦地方裁判所に提訴した例はその典型でしょう。ビジネス上の情報戦が顕著な米国では、同類の訴訟が多いようです。

元従業員は、Amazon就職時の2008年、企業秘密や機密情報を漏らさないことを規定する秘密保持契約書と非競争契約書に署名していました。同契約書においてAmazonで共に仕事に従事したことのある人と12か月間取引しないことと、18か月間以内は競業企業へ就職しないことが規定されており、Amazonは、退職後すぐにGoogleに就職することは契約違反だと主張しています。一方、元従業員は、Googleで使うのは一般的知識や技術で、Amazonの企業秘密はGoogleで利用しないとしつつ、Amazonの不作為約款が行き過ぎで、非道徳的習慣であると主張しています。

Non-compete clauseが有効とされる目安かどうか

今回の訴訟の中心と思われる競業避止契約違反に関しては、職業選択の自由との関係において、Non-compete clauseが有効とされる目安(基準)かどうかがポイントです。Amazonに保護すべき正当な利益があるのか、また、Non-compete clauseによる制限がその正当利益を保護するための必要かつ合理的は範囲か、ということになると考えられますので、その点は争点になってくるでしょう。

また、元従業員に制限を課す以上、代償措置としての対価の支払の有無や程度なども争点になってくるところです。正当利益は、ノウハウや特別な技能を元従業員が保持していた場合、Googleへの就職により発生する不利益を防止すること等の問題であり、合理的範囲は、競業制限の期間や地域の限定等の問題として浮上するでしょう。これを踏まえると、Non-compete clauseの内容が、正当利益の保護に十分な範囲であり、元従業員が大きな不利益を受けない内容であることが求められると考えられます。その意味では、2008年時の非競争契約書が、元従業員のAmazon退職時の業務内容や地位、何より、一定の勤務年数により保有しているノウハウや技術も変遷していることを考慮すると、果たして、Non-compete clauseとしての有効性があるのかも争点になる可能性も出てきます。

さらに、Amazonの主張を正当化するためには、雇用開始時の競業避止特約に加え、退職までの間にさらなる約因が必要であったのかについても争われるでしょう。

日本の競業避止義務の問題を考える上での参考に

今回の訴訟と同様の問題は、日本においても退職後の競業避止義務の問題として取り上げられるところです。その判断要素は、退職者の職業選択の自由に制限を加えることになりますから、競業避止条項による制限の目的と使用者の正当な利益保護との関係、制限対象の業務、期間、地域の合理性に加え、代償措置の有無や内容が求められます。

Amazonの提訴内容を垣間見る限りでは、日本の競業避止義務の問題を考える上で、参考になりそうです。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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