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「ネット万能時代」に対抗する新ビジネス 在庫のない電器店、店舗のないTシャツ屋…

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量販店やネット通販に押され、地域の小さな電器店、いわゆる「街の電器屋さん」は、ここ30年で3分の1以下にまで減ってしまった。その一方で、高齢者や働く女性、一人暮らしが増える中、新たなニーズも生まれている。

2014年7月8日の「ガイアの夜明け」(テレビ東京)は、小さな電器店が売り上げを伸ばす新たなシステムや、店舗を持たず百貨店の催事を渡り歩くTシャツブランドなど、「ネット万能時代」に従来の常識を覆し成功している例を紹介していた。

仕入れはライバルの「ヤマダ電機」から

昨年まで普通の街の電器店だった愛知県西尾市の「コスモス・ベリーズ・はず店」は、家電品の展示は店の奥にごくわずか。ソファやテーブルがあり団らんできるスペースで、お客はサービスのコーヒーを飲みながら最新家電のカタログに目を通す。

ここで商品を注文すると、家電量販店並みの価格で購入できるうえ、自宅まで配達、設置までしてくれる。定期的に開かれるパソコン教室やイベントに集まった客が、来店ついでに家電を購入することも多い。

家電品の仕入れ先は、ライバルであるはずの家電量販店。店主は注文ごとに、ヤマダ電機に商品を仕入れに行く。家電の在庫はほとんど持たず、仕入れ価格も抑えられるため、売り上げは以前より3割増えたという。

この仕組みを作ったのは、名古屋市に拠点を持ち、元パナソニック社員が立ち上げた「コスモス・ベリーズ」という家電販売チェーンだ。会長の三浦一光さん(78)が考えたのは、街の電器店を束ねてライバルのヤマダ電機と組むという常識破りの発想だった。

「地域電器店が無残にも売れなくなって、廃業していくのを目の当たりにして何とかならないかなと」

コスモス・ベリーズは加盟料と月会費を受け取り、ヤマダ電機との仲介をする。加盟店はヤマダ電機とほぼ同じ値段で商売できる。ヤマダ電機にとっても、店舗に来ない客層・地域に手が届くメリットがあるという。2005年に設立したコスモス・ベリーズは3年後にはヤマダ電機の完全子会社となり、加盟店は8374店にのぼる。

地元の工務店やガス販売店、美容室も「タッグ」

苦境に立っている地域店は、電器店だけではない。コスモス・ベリーズは地方の工務店、ガス販売店、美容室などの「異業種」とも積極的にタッグを組む。

ガス販売店の店主・森永さん(39)は、ガス製品だけではこの先厳しいと、加盟を決めた。ガスメーターの検針をしながら1軒1軒に家電の営業をし、体の不自由な一人暮らしの男性には、車に乗せてヤマダ電機で一緒に家電を選んだりもしていた。

「地域密着店としてやっていくには、お客さんの要求に応えられることが多い方がいい」

加盟して2年で、森永さんは手ごたえを感じているという。量販店並みの安い価格と地域密着の細やかなサービスが、地域店の可能性を広げていた。

在庫を持たないコスモス・ベリーズに対し、店舗を持たずに成功しているビジネスもある。石川県金沢市にある社員31人の企業「チャンネルアッシュ」が製作・販売しているTシャツ専門ブランド「OJICO(オジコ)」は、いま全国の百貨店から引っ張りダコだという。

親子で着て並ぶと飛行機などの絵柄がひとつになるなど、遊び心のあるデザインで人気だ。過去には百貨店に売り場を常設したこともあったが売れなかった。いまでは自前の店舗をほとんど持たず、全国の百貨店催事など年間200カ所を渡り歩いている。

番組で紹介されていた「一畑電車×OJICO」のコラボTシャツを探してウェブサイトを訪れてみたが、この商品は一畑百貨店(島根県)の限定販売だそうで、「ホームページ、常設店舗での取り扱いはございません」と書かれていた。

「今しか買えない」プレミアム感が成功のカギ

商品の良さに加え、「今しか買えない」というプレミアム感やレア感を出すことが成功のカギだったようだ。社長の越原裕幹さん(38)は独自の戦略についてこう語る。

「常に買えるのがサービスと思われがちだが、常に買えないのがいいのでは。その瞬間に行かないと買えないとか、そこがやっぱりいいんじゃないですか、うちは」

国産のため割高だがリピート率は6割を超え、親子ペアで買うため客の平均単価は8700円にもなる。松坂屋名古屋店の担当者は「固定客だけでなく、新しいお客さんを呼び込んでもらえるのでありがたい」と語り、百貨店の催事になくてはならない存在になっている。

ネットであらゆるものが売られる中で、客の選ぶ目も厳しくなっており、「品揃えが豊富で店舗の数もたくさんある」という販売店の常識は徐々に通用しなっている。客層を絞ったサービスを提供するのが、生き残る道になっていくのかもしれない。(ライター:okei)

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