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コンサルタントがラーメン屋の店員に転職…“現場”で得た“気づき”とは?

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 書店のビジネス書コーナーには、経営者やコンサルタントが執筆した本が多数並んでいる。仕組み化や戦略、フレームワークなどビジネス思考が書かれていて、普段の仕事で大いに参考にできる部分もある。
 しかし、その一方で「現場」の視点が欠けていると感じる側面もある。実際に接客しているのは現場であり、売上を上げているのも現場の人間。ならば、「現場」にもっとコミットした本があってもいいのではないだろうか。

 『売上が上がる ほめる基準』(商業界/刊)の著者である原邦雄さんは、船井総研のコンサルタントから、ラーメン屋の皿洗いに転職したという経歴の持ち主。その後、ラーメン屋店長を経て、再びコンサルタントとして独立します。原さんはその経験から「経営陣と現場の使っている言語が違う」と述べ、現場を活性化しなければ売上を上げることはできないと指摘します。
 では、その方法とは一体どのようなものなのか? インタビュー前編をお送りする。
(新刊JP編集部)

■コンサルタントからラーメン屋の店員に転職…そこで得たものとは?

――まず、『売上が上がる ほめる基準』を執筆した経緯から教えていただけますか?

原:前作にあたる『やる気と笑顔の繁盛店の「ほめシート」』を去年の4月に出版したのですが、その読者から進化版を読みたいという意見が届いたんですね。一方、私もバージョンアップしたものを書きたいと考えていまして。

――では、前作からの流れの中で本作を書かれたということですね。

原:そういうことになりますね。

――「ほめること」が売上アップにつながるという、今までありそうでなかった一冊ですが、コンサルタントの方が執筆した本の中では珍しく徹底的に現場主義を貫いています。

原:売上を上げているのは、経営者でもコンサルタントでもなく、お客様と接している現場の従業員たちだという考えが根底にあります。私は、船井総研からラーメン屋の皿洗いに転職しましたが、現場がいかに大変かということをこの身で知りました(笑)

――船井総研のコンサルタントからラーメン屋の皿洗いに転職というのはすごい経歴です。ギャップは大きかったのではないですか?

原:そうですね…。まず気付いたことは、現場には現場の言葉あるということでした。経営的な視点では正論であっても、それが通じないんです。コンサルタントや経営者とは別の論理があります。
また、これは経営者の皆さんに分かってほしいのですが、頑張っていないスタッフはいません。売上が悪くなれば現場のせいにされ、売上が良ければ経営陣の仕組みづくりが良かったといわれるものですが、結局どちらも現場の人間がやっていることです。現場スタッフはみんな、売上をのばそうと頑張っています。

――最近では、ワタミや「すきや」を運営しているゼンショーなどが従業員不足に追いやられているというニュースが流れていますが、その点についてはどのようにお考えですか?

原:人口が減少し、若者の数も減っている中で、アルバイトの働き手が少なくなっているのは当然だと思います。また、その対処方法も今のところありません。日本は世界で最も高齢化が進んでいる国の一つですから、前例がないんです。不景気が20年続き、頑張って給料を上げようという時代から、働きやすさを第一に求める時代に変わってきていますから、人手不足に悩んでいる会社がすぐに改善するのは難しいと思いますね。

――そういった企業の現場の疲弊ぶりが問題視されていますが、一方でワタミやユニクロなどの経営者の著作がベストセラーになるなど、カリスマ経営者やコンサルタント信仰も強いものがあります。

原:究極的な話をすると、経営者は現場の気持ちが分からないものです。経営者の悩みは資金繰りと育成ですし、現場は自分の給料のことを心配します。同じ日本語を使っていても、目的や悩みの内容は全く違う。これは日本に限らず世界で同じ現象が起きています。
ただ、日本だけをフォーカスしてみてみると、「言わなくても分かるでしょ」という部分が強いように思います。経営者側が「言わなくてもできるだろう、考えられるだろう」と思ってやらせてもできない。それはなぜかというと、現場が経営者の考えが分かっていないし、経営者も現場のことが分かっていないから。経営者はどうして人が離れていってしまうのかが分からないんです。
一方でアメリカでは、経営者たちのミッションやポリシーは末端まで伝わらないという前提でスタートをしています。だから細かく行動を指示するし、契約もしっかりする。現場に対する期待がないんです。日本と真逆ですよね。

――なるほど。「言わなくても分かるだろう」という考え方になると、大きな企業であればあるほど経営陣と現場がかい離していきますよね。

原:その傾向は強いですね。売上をあげているのは現場だということが忘れられがちになります。

――実際に原さんがラーメン屋に転職されたとき、どのようなことに戸惑いましたか?

原:やはり何もできないことですね。それまで年商100億円や200億円の経営者にアドバイスしていた人間が、いきなり洗い場に行くわけですからね。何もできなくて、お店に貢献することができないんです。洗い場をまわすというのも技術が必要ですし、非常につらい時間でした。

(後編へ続く)

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