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最高の離婚 舞台連想させる生々しい演出が画期的と女性作家

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 昨年数々の賞に輝いたドラマのスペシャル版が放送される。旬の役者が揃うこの作品の魅力について、作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

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 離婚したのに一緒に暮らしている2人。別れようとしたのにやり直すことになった2人。4人の男女が、からみあい、ぶつかり、触れあい、そして別れ、結びつく。昨年の春に人気を博した異色のドラマ『最高の離婚』(フジ系)が、2月8日午後9時、いよいよ満を持してスペシャル版で戻ってきます。

 ちょっと不思議な、2組の夫婦の物語。几帳面な元夫・光生を演じるのは瑛太。少しズボラだけれどマイペース、夫と正反対の性格・結夏を演じるのは尾野真千子。光生と結夏は、離婚したのに、なぜか同居を続けている。

 一方、灯里(真木よう子)と諒(綾野剛)のカップルは、過去の恋愛関係がからみつき、2人の思いはもつれていく……。そんな人物設定もちょっと風変わりでした。が、なんといってもこのドラマの特徴は、「構成」と「セリフ」にありました。

 毎回、前半はちょっとコミカル。後半はシリアスな直球。ドラマの前半と後半とでは、雰囲気がガラリと変わる仕掛け。白と黒。まるで、2部に構成された舞台劇のようだった。

 そして、さらにドラマを特徴づけていたのが、長い独白セリフ。滔々と自分の思いのたけを吐き出す女たち。時には、男たちも。

 舞台上の芝居ならばいざ知らず、テレビドラマの中で5分間近くも、独りで中空を眺めながら、あるいはカメラを見つめながら、延々とセリフを吐き続けるシーン。テレビ画面ではなかなかお目にかかれない、珍しい光景でした。

 長いセリフを語る時の俳優のうるんだ目、顔つき、しぐさ、震える口もと。みごとな集中力、気迫、張りつめた緊張感。こちらもドキドキしながら引き込まれてしまった。演技する肉体に、テレビ画面を通してじかに触れているかのような、生々しさがあった。

 このドラマの面白みはまさしくそのあたりを演じきった役者たちの力と、言葉を練り上げた脚本、そしてメリハリ効いた演出力にあったのでした。

『最高の離婚』はテレビドラマでありつつ、舞台上で俳優が演じているというライブ感が画面から伝わってきたのです。まるで、テレビと舞台が融合したかのような、不思議な世界でした。

 さて、今回のスペシャル版では、どんな長セリフが語られるのか? 誰が、どんな思いのたけを、どんな風に叩きつけてくるのか? 4人の男と女の関係は、どんな結末を迎えるのか?

 何よりも、似たような「警察もの」「医療もの」ばかりが垂れ流されている今クールのドラマ界にむかって、『最高の離婚』はどんな新しい可能性を指し示すのか。

 尾野真千子は今回のスペシャル版への意気込みを、「それぞれが思いのたけを語る場面があり、ドラマとしてさらに気持ちよくなっている」(2014.2.1朝日新聞)と自信ありげに語っています。

 スペシャル版に仕込まれたハッとするような試みから、ドラマとの新しい関係が生まれてくるかもしれない、と視聴者の期待も高まります。さて、今日の2時間半、どんな夢の時間を私たちに提供してくれるでしょう?

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