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滝藤賢一怪演「俺のダンディズム」 薀蓄ドラマという新境地

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 世相を映すドラマ、比較しながら見てみると思わぬ発見に行き着くこともある。作家で五感生活研究所の山下柚実氏が指摘する。

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 神奈川・鎌倉を舞台に大人の青春を描く人気ドラマ「続・最後から二番目の恋」(フジテレビ系木曜午後10時)。特に、居酒屋での中井貴一と小泉今日子の、丁々発止のやりとりが話題です。ああ言えばこう言うスピード感のある会話が、視聴者の心を惹きつけるらしい。

「ドラマを見ると何でも言い合える男友だちが欲しくなる」という感想も耳にします。

 他のドラマが、一様に事件や医療、企業ものに走っている昨今。事件や出来事の「原因」を見つけ、問題を「解決」するというストーリーばかりが溢れているさなか。人間のモヤモヤした思い、解決できない心を扱う「恋愛ドラマ」は、ある意味、希少価値ある特別枠になっているのかも。

「続・最後から二番目の恋」には、女たちの満たされない思いが描かれる。

 自分をわかってほしい。共感できる相手が欲しい。必ずしも恋愛関係でなくてもいい。「そうそう」とうなずきあえる人間関係が、日常の中にいくつ作れるのか。女という生き物が、いかに「相手を求める生き物か」が見えてくる。その意味で、アラフォー女性のニーズをぐっと掴んでいるドラマと言えるのでしょう。

 注目のドラマがもう一つ。

「続・最後から二番目の恋」とは、まったくと言っていいほど対照的。主役もターゲットも中年男。時間帯は深夜、視聴率も制作費のかけ方も比べる方が無理。

「俺のダンディズム」(テレビ東京系水曜日午後11時58分)の主人公・段田を演じるのは半沢直樹でブレイクした滝藤賢一。初主演ドラマです。

 段田は年収710万円のサラリーマン課長。お気に入りの女性部下から「ダンディな大人の男性がタイプ」という発言を聞いてしまう。よし。くたびれリーマンを脱して、ダンディズムを極めようと一念発起。

「万年筆」「時計」「靴」「手帳」……。

 ドラマには、ダンディなアイテムが毎回1つずつ登場します。段田はミステリアスな女店主から、歴史、蘊蓄、ブランド価値、最新の人気ラインアップまで、徹底的にレクチャーしてもらって中年モテ期へと突入する意気込み。

 このドラマは、モノの情報をしっかり盛っている。けれども、ただの説明には陥らない。滝藤賢一が「体当たり」でダンディなモノに対峙し、萌えるからでしょう。身をよじらせてモノの魅力を体で表現しようと苦闘するあたり、さすが「無名塾」出身の舞台人。

 情報伝達と、ストーリーと、役者の肉体表現が渾然一体。見たことのない、「うんちくドラマ」という新カテゴリーを創り上げているところがアッパレ。「企画力があれば面白いコンテンツは作れる」というテレビ東京の矜恃を見るようです。

 と、まったく対照的な2つのドラマ。ですが、実は2つには共通点がある。

「続・最後から二番目の恋」は、共感への執着を浮き彫りにしています。女はいくつになっても、人に執着する生き物。

 一方、「俺のダンディズム」は、モノに執着する男の姿を浮き彫りに。モノと蘊蓄で武装しダンディという理想型を目指す男の執着。

 大人の女と男の、欲求の形。その決定的な違いを鮮やかに2つのドラマが示してくれている面白さ。

 ただし、「コメディ」という視点から見てみると……圧倒的に「俺のダンディズム」が勝つのではないでしょうか。

 銀座という舞台、ダンディ語録、ダンディズム講座から、エンディングにダンディをテーマに書き下ろされた斉藤和義の歌まで。徹底して作り込んでいる。ウソの世界だからこそ細部までリアリティが必要。「くすっ」という大人の笑いもそこから生まれる。

 一方、「続・最後から二番目の恋」も何とかコメディータッチに仕立てて軽やかさを出そうとしているようですが、疑問符が。たとえば内田有紀がずっこけて鼻血を出すシーンとか。何だか、安っぽいコントにしか見えない。コメディというよりドタバタ喜劇か。大人のドラマには、大人の笑いが欲しいところです。

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