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花咲舞で快調の杏 「抜け感が時代に合っている」と女性作家

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 混戦だった春ドラマ戦線で抜け出したのは、あの女優だった。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。

 * * *
 春のドラマも回を重ねて、視聴率の明暗がはっきりしてきたようです。「花咲舞が黙ってない」(日本テレビ系)がトップを走り、6話の平均視聴率は16.0%。頭一つ抜きん出ているもよう。

 このドラマ、あの「半沢直樹」と同じ池井戸潤の原作。でもそれだけで、このドラマの人気は語れない。

「女版半沢」とも言われる主人公・花咲舞を、杏が好演しています。このキャラクター、たとえ上司だろうが立場が上の相手だろうが、筋の通らないことにははっきりと異議を申し立てる。

「お言葉を返すようですが」

 ズバっと返し、トラブルを次々に解決していく。わかりきっているオチ。見えているパターン。お定まりのセリフ。それなのに、爽快。いや、それだから爽快。決まり文句を聞いて、スカッとするお茶の間。

 まさしくドラマの王道ではないでしょうか。勧善懲悪の定型をきちんと踏んでいます。 遠山の金さん。水戸黄門の、あの定型を。

 パターンの繰り返しだから、必要以上にハラハラドキドキしなくていい。安心して見ることができる。緊張を強いられず、ゆったりと楽しみ脱力しながら。

 だって、世の中を見回してみてください。何百人もの高校生が救助されずに水没した映像が繰り返し流され、またパソコンの遠隔操作で無実の人が何人も逮捕され……それがたった一人の男の思いつきによる劇場型犯罪だったなんて。

 あるいは、刑事ドラマ顔負けの覚醒剤吸引疑惑が大物芸能人の逮捕へと発展し、さらに愛人発覚、政財界の秘密パーティー……刺激的すぎる。シビアで不可思議で強烈な出来事が、次々と現実の中で起きている。だとすれば今、多くの人を満足させるドラマの役割は、目を見張る展開とか刺激的映像とか想定外のオチではないはず。

「予定調和」。これぞ、今求められている娯楽。

 と考えてみれば、「花咲舞が黙ってない」の人気だけでなく、たとえば前評判がかなり高かった警察ドラマ「MOZU~百舌の叫ぶ夜~」(TBS系)が視聴率で思わぬ苦戦を強いられている理由も、なるほどと頷けます。

 だって、「MOZU」は時間をかけた丁寧なロケを重ねすぎて、あまりにリアルだもの。激しい爆破シーンや拷問の光景が、現実かと思えるほど生々しいもの。役者の迫力も配役のバランスも演出も出来すぎて、緊迫感ぴりぴり。「テレビくらいのんびり見させてよ」という大衆の願いに反してしまっているもの。

 庶民は24時間戦えないのです。

 もし、花咲舞がカンペキに「デキる女」すぎたら厭味だけれど、いい感じでぼぉっと抜けているから、輝く。杏の演技に時代状況がピタリと合っている、と言えるのかも。味のある演技というより、大根の味だからいい、ということもありえるのかも。

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