心の病で労災、企業の予防策

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心の病による労働災害が増えています

心の病で労災

先日、平成25年度の心の病(精神障害)による労災請求件数が、1409件と過去最多を記録したとの発表がありました。今回の調査において、精神障害で労災認定された人が、その精神障害の引き金となった出来事として、いわゆるパワーハラスメントやセクシャルハラスメントを挙げ、職場環境の悪化が懸念される結果となっています。

パワハラ等によるうつ病発症や、ブラック企業で追い詰められて自殺などという悲しいニュースが後を絶ちませんが、こうしたことを防止するために企業側が取るべき対策には、どのようなものがあるのでしょうか。

もちろん、企業側も精神障害による労災防止(メンタルヘルスケア)について、無関心なわけではありません。何らかのメンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合は全体の4割を超えており、従業員数が300人を超える規模の事業所に至っては90%超が対策を講じています。従業員が業務上精神疾患にかかった場合の、企業側のダメージは決して小さくありません。

具体的に多くの企業が取っているメンタルヘルス対策の上位3つは以下の通りです。
「労働者への教育研修・情報提供」
「管理監督者への教育研修・情報提供」
「社内のメンタルヘルスケア専用窓口の設置」

職場環境の改善に向けて

過重な長時間労働を減らすといった職場環境のハード面改善は言うまでもなく、職場における対人関係問題といったソフト面での改善も重要です。精神障害の原因として、職場でのパワハラやセクハラを挙げる人が急増していることからも、社員や管理職に対する教育に更なる意識改革は不可欠といえるでしょう。

社員同士のコミュニケーション不足も、精神疾患の予防や早期発見にとって妨げとなります。近ごろ見直されつつある「社員食堂」や「社内運動会」など、社員同士の交流を深められる機会を積極的に増やすといった対策も効果があるのではないでしょうか。

また、多くの企業では、メンタルヘルス対策を独自に行っています。そのため、自社の職場環境を客観的にとらえることが難しいといった問題点があります。対策をより有効なものにするために、外部の専門機関と連携して取り組んでいくことも大切ではないかと思います。政府も過労死防止基本法の制定や労働安全衛生法改正によるストレスチェックの義務付けなどにより、社会の仕組み改革から対策を取ろうとしています。職場環境をより良いものにし、働き盛りの社員が職場で精神的につぶされるといった悲惨な出来事をなくすようにしていかなければなりません。

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