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いなばのタイカレー缶、製造の秘密

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いなばの「ツナとタイカレー」シリーズは、SNSなどのソーシャルメディアから火がついたヒット商品。ただし、そこには綿密な販促戦略があったわけではなく、誕生のきっかけも意外に単純な発想だった。

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「当社のツナ缶はタイの工場でも製造していますが、7~8年前からの魚価高騰もあり、ツナと他の素材を組み合わせた惣菜缶詰シリーズの製造を始めました。しかし、新商品開発は徐々に行き詰まりを見せ、そんなとき、せっかくタイで生産しているのだからツナにグリーンカレーなどを和えてみたらどうかと取引先から提案があったんです。普通の加工食品ならば“国内生産”がウリになりますが、タイカレーなら、“タイ製造”がウリになりますからね」(いなば食品専務取締役・長田玄機氏)

カレーの製造は初めてだったが、現地のパートナー企業とタッグを組んで乗り越えた。

「なんといっても、本場タイで作るのですから、本格的。辛さだけは日本人向けに少し抑えましたが、現地のタイ料理店で出されている味と遜色ないとのお声もいただいています」

その秘密は、素材にあるという。

「唐辛子やレモングラス、こぶみかんの葉など、使用する生のハーブやスパイスは、すべてタイの契約農場で栽培しています。新鮮な生ハーブの甘い香りがそのまま缶に入れられているのが味の秘訣。今はタイ料理もブームですし、タイ旅行で本場の味を知った人も増えました。この商品のヒットには、そんな背景もあるのではと思います」

本格的な味と実勢価格100円代というコスパの高さが評判となり、ネットを通じて徐々に知られるようになっていく。大きくブレイクしたのは、発売からわずか半年、2011年2月のことだ。『めしばな刑事タチバナ』というグルメ漫画で紹介され、検索やブログでの紹介が飛躍的に増えた。著名人のツイッターやテレビの情報番組でも紹介され、検索数もピークに。2013年上期には、日経MJの名物企画「ヒット商品番付」に前頭でランクインするほどの大ヒットになった。しかし…。

「あまり売れると予想しておらず、製造体制が不十分で品薄状態が続いたんです。当時は喜びより、本当にお客様に申し訳ない気持ちでした」

現在では、昨年6月に稼働した独資の新工場で自社生産体制を拡大し、安定供給が可能になっている。当初は3種類だったシリーズはタイのスープやスイーツなども加わり、今では15種類に増えた。

今回のヒットは、いなばの歴史でも最大級のヒットとなった。しかし、浮き足だった様子はない。

「当社は缶詰業一筋で約80年やってきました。今後も地道に努力を続けていきたいです」

笹林 司=取材・文
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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