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ゲリラ豪雨の季節到来、タワーマンションの雷対策とは?

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ゲリラ豪雨の季節到来、タワーマンションの雷対策とは?

ゲリラ豪雨の季節だ。先日は東京都内で雹(ひょう)が数十cmも積もるなど、その降り方は今まで以上に激しくなってきた。ゲリラ豪雨の原因となる積乱雲は、大雨や雹(ひょう)とともに落雷をもたらす。タワーマンションが増える昨今、高層建築物の雷対策はどう進歩しているのか、調べてみた。

日本一の超高層ビル「あべのハルカス」は外部構造全体が”受雷部”

日本では建築基準法により20mを超える建物には避雷針の設置が義務づけられている。マンションの屋上にも旗竿のような突起物があるのを見たことがあるだろう。しかし高層建築物の場合、雷は上から落ちてくるとは限らない。悪天候の際はスカイツリーが雲に隠れてしまうように、建物自体が雷雲で覆われることもあるからだ。

建物が雷雲と同じ高度になると、雷は横から”落ちる”ことになる。場合によっては下から”落ちる”こともあるのだ。これを「側撃雷」と呼び、高層建築では側撃雷対策を行うビルが増えているそうだ。地上300mと日本一の高さを誇る「あべのハルカス」の雷対策設備を担当したNIPエンジニアリング株式会社の早瀬営業課長に伺った。

「あべのハルカスは外壁部分、縦横に設置されている窓枠金属フレームのすべてが雷を受ける”受雷部”となっています。受雷部は頂上から地上部まで連結され、地中に電気を流すアース部分とも接続されています。電気を流す経路をたくさん設けることで、どこに落雷を受けても電気を速やかに地中に流し、被害を最小限に抑えようという発想です」

ゲリラ豪雨の季節到来、タワーマンションの雷対策とは?

【画像1】2014年に完成したあべのハルカス。格子状の構造材すべてで雷を受けて被害を防ぐ仕組みだ(写真撮影:井村幸治)

オフィスビルは設計段階で外部雷対策を行う事ができるが…

“受雷部”とは文字通り雷の電気を受けとめる金属製の部材。落雷を地中のアースへ導くことで、被害を防ぐ重要な部品のことで、屋上の避雷針も受雷部のひとつだ。

「2003年に側撃雷に対応した新JIS規格が制定され、側面に避雷針を設置するビルや、建物の躯体(くたい)全体を”受雷部”とする設計が増えています。高層オフィスビルは窓が固定され表面に凹凸が少ないので、外壁表面に受雷部を兼ねた構造物を設けやすいのです」と早瀬さん。

雷対策は建物外部への直撃被害に対する「外部雷保護」と、建物内部の電気製品やエレベーターなどを守る「内部雷保護」がポイントとなるが、オフィスビルはこうした外部雷対策に加えて、内部のIT設備への対策にも力を入れるようになってきている。

なるほど。では、タワーマンションでも同じように雷対策が取られているのだろうと思いきや、実はそうでもないようなのだ…。

ゲリラ豪雨の季節到来、タワーマンションの雷対策とは?

【画像2】水平方向に飛び出すように中層階に設置された避雷針(写真撮影:井村幸治)

ゲリラ豪雨の季節到来、タワーマンションの雷対策とは?

【画像3】普段は気付きにくいが、ドーム状の屋根の上にも避雷針が設置されている(写真撮影:井村幸治)

高層マンションではどんな雷対策がされている?

「マンションの外壁はコンクリートを用いるケースが多く、電気を通す素材ではないので構造物そのものを受雷部とすることができません。なので、オフィスビルのように外壁全体に電気を通す受雷部を追加で設置するような対策は、コストやメンテナンスを考えると現実的には難しいようです」と早瀬さん。

ゲリラ豪雨の季節到来、タワーマンションの雷対策とは?

【画像4】オフィスビルは表面に凹凸が少ないが、バルコニーを持つマンションやホテルは外壁が複雑な形状であることも、受雷部の設置を難しくしている理由のひとつ(写真撮影:井村幸治)

では、高層マンションの雷対策はどうなっているのだろうか?
「雷に対する対策はJIS規格(※)で定められており、もちろんタワーマンションにも避雷針が設置されています。2003年に改訂された新JIS規格は側撃雷も考慮したものとなっていますが、建築基準法では新旧どちらの規格を採用してもいいとされているので、横からの直撃雷対策はマンションによってまちまちです。また、直撃を受けなくても、電線や電話線、アンテナ線を伝わる大電流・大電圧によってテレビなどの家電が壊れる”誘導雷サージ”の被害が生じ得るケースも想定されます。そのため内部雷対策が重要になります」とのこと。

※日本の国家標準のひとつで主務大臣が制定する工業標準

タワーマンションでは内部雷対策をしっかりと実行するべし

誘導雷サージはさまざまなルートから入り込むが、壊れやすい電気製品には特徴があり、電源コード以外にもほかの線がつながれている電気製品が危ない。例えばPCにはLANコード、電話機には電話線、テレビにはアンテナ線など「電源線+α」となっている電気製品だ。これらは電気の通り道ができることで、雷サージの被害を受ける可能性があるのだ。一方、掃除機や照明機器などは抜け道がないので被害は少ない。

誘導雷サージ被害を防ぐためには、サージ保護ディバイス(SPD)と呼ばれる設備をマンション全体の配電盤や配線に設置することが望ましいが、十分には普及していないのが現状。また、対策を行っていても被害を100%防御出来るとは限らない。タワーマンションの防災を考える上では、雷対策も今後の重要課題として捉えておくべきだろう。

マンションに暮らす私たちが今すぐに出来る対策としては、市販されている雷サージ保護用の電源コードを活用するのもひとつ。そして、非常にアナログではあるが、雷鳴が聞こえてきたらPCの電源を落として電源線やその他のコード類を抜くことも心がけたいと思う。せっかく原稿を書いても、PCだけでなくデータバックアップ用のハードディスクまでも雷にやられてしまうと、泣くに泣けないから…。

●NIPエンジニアリング株式会社
HP:http://www.kami-nari.com/index.html
●音羽電機工業株式会社「家庭でできる雷対策」
HP:http://www.otowadenki.co.jp/measures/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/07/04/65514/

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