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Vシネ帝王・竹内力 出演料1本1000万円で年間27本主演経験

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 Vシネマは今、風前の灯火ともいえる状況にある。かつて「Vシネマ」といわれたものが、形を変えて劇場公開されている。2013年に公開された邦画は591本で、これは史上最高の本数である。Vシネマが最盛期だった1991年には、劇場公開された邦画が230本で、Vシネマは150本作られていた(日本映画製作者連盟資料より)。

 つまりは水面下にあったVシネマが、「日本映画の干ばつ状態によって水上に露出している」というのが現状なのだ。

 現在の591本の劇場公開作のうち約300本は、制作費1500万円以下で作られている。一方、1991年時点でのVシネマの制作費は1億円を超えていた。

 1989年にVシネマの本家といえる東映・シネマがスタートし、当初は出せば1万~2万本がレンタル店に売れるというブームとなった。

 そこに日本ビデオ映画という会社が参入してくる。母体はダイヤモンド映像。有名AV監督・村西とおるが設立したアダルトビデオ会社だ。この日本ビデオ映画が制作した秋本奈緒美主演の第7作『ダイハード・エンジェルス』がVシネ史上初の制作費1億円を突破する。

 これによって東映、東宝、松竹、にっかつ、大映などが軒並み1億円以上を投じた大作制作に踏み切っていく。

 スターの出演料もうなぎのぼりで、哀川翔とともにVシネ2大帝王と呼ばれる竹内力の出演料は1本1000万円といわれた。1998年には年間27本に主演しており、これは「Vシネマ・ドリーム」なるものがそこに在ったことを意味していた。

 Vシネマとはバブル後の日本、つまり「失われた10年」といわれる時代の徒花であったといえるかもしれない。携わるスタッフや俳優はじめ、撮影現場そのものが「ヤクザな連中」の吹き溜まりとなっており、彼らはまさに社会の中からあぶれたチンピラを体現する人たちであった。だからこそできあがる作品にはリアリティがあったし、Vシネマファンのハードコア層である「ヤクザ的なものを愛する人々」を熱狂させた。

 翻って現代は「何でもあり」の時代である。アベノミクスという耳当たりのいい言葉はあたかも自由な競争が奨励されているかのように聞こえるが、実は一発逆転の発想が尊重されず、権力をもつ側、大資本側に都合よくできている。

 事実、潤沢な制作費と宣伝費を提供できるメジャー作品ばかりが幅を利かせている。ギャンブルの胴元と賭け主が表面上は対等の関係であるかのように見えても、実際は必ず胴元が儲かるようにできているのと同じことだ。

 そんな「強いものが必ず勝つ時代」が、生粋のアウトローたちの拠り所であるVシネマにとって厳しいことは仕方がない。しかし、だからこそ私は彼らの逆襲を願わずにはいられないのである。
 
文■谷岡雅樹(ノンフィクション作家)

●谷岡雅樹(たにおか・まさき):1962年北海道生まれ、ビデオレンタル業界草創期から、制作、販売、流通、宣伝、批評に携わる。1999年『Vシネマ魂』(四谷ラウンド)を発表し、以降ノンフィクション作家として活躍。2010年度より『キネマ旬報』ベストテン選考委員も務めている。

※週刊ポスト2014年7月11日号

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