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目指せ!狩りガール no.10 狩猟した獲物を新しい地域ビジネスに!解体処理場を見学。(目指せ!狩りガール)

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今回は一般社団法人 大日本猟友会さんのサイト『目指せ!狩りガール』からご寄稿いただきました。
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目指せ!狩りガール no.10 狩猟した獲物を新しい地域ビジネスに!解体処理場を見学。(目指せ!狩りガール)

ありちゃん:食べることが大好き、アウトドアもちょっと好きな会社員。ひょんなきっかけから「ハンター」を目指すことに。東京都内在住。

カリタロー:狩りガール活動を応援するジビエ好きの犬。ありちゃんと一緒に勉強して、いつかカッコイイ猟犬になるのが夢。

だいぞう師匠:猟友会に所属している優しきオジサマハンター。自然のことにも詳しく、ハンター仲間として若者を育てています。

相原 和真(あいはら かずま)さん:伊豆市役所観光経済部農林水産課。自分でもわな猟免許を取りイズシカ問屋で狩猟や獲物の有効活用について勉強中。「わなにかかったイノシシは迫力があって、最初は目を合わせるのも怖かったです」。イズシカ肉の栄養成分にも魅力を感じ、「健康食として知ってもらいたい」とも話していました。


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カリタロー:カリタローだワン。ありちゃんがレストランで食べているシカ肉も、もともとはハンターさんが獲った獲物。あのおいしいシカやイノシシのお肉は「解体処理場」っていうところで加工されてからレストランにやって来ているんだって。解体処理場で加工せずに、ハンターさんの獲ったお肉をそのまま店で出しちゃダメらしい!何が違うんだろう?
今回はその解体処理場を見学するために「伊豆市食肉加工センター『イズシカ問屋(どんや)』」に行くんだよ。でも、とっても「えいせいてき」な場所だからボクはお留守番になっちゃった。伊豆のおみやげ買ってきてくれるかなぁ。

ふえるシカ、困る里山。

だいぞう師匠:今日は伊豆市の解体処理場を見学させてもらいます。ハンターから持ち込まれたシカやイノシシを飲食店など流通用の食肉として加工する施設だよ。「おいしいのはじまり」を知るために、ありちゃんにはぜひ見ておいてほしい場所なんだ。

ありちゃん:はい。どうやって食肉にするのか、とても興味あります!前回の射撃場見学の時に虎谷さんが「捕獲した獣の肉がほとんど活用されずに廃棄されている」って話していたことも気になってて。でも……血とかニオイとか大丈夫かな。ちょっと心配。

だいぞう師匠:うん、ありちゃんはどんな感想を持つだろうね。今回はもう一人同行するよ。私の親戚で野生動物や自然環境について勉強中の健太くんだ。

健太くん:ありちゃん、はじめまして!実はボクも狩猟や捕獲した動物の有効活用に興味があるんです。処理場も初めてなのでワクワクしています。

ありちゃん:若手男子が狩りに興味あるなんてうれしい!よろしくです。

だいぞう師匠:では、「イズシカ問屋」に入ろう!


イズシカ問屋入り口。マークは伊豆半島と鹿をデザイン。
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ありちゃん:イズシカ問屋?

相原 和真さん:はい、それがこのセンターの名称です。おはようございます!皆さん。今日ご案内する、市職員の相原です。

だいぞう師匠:よろしくお願いします。こちらの二人は初めての解体処理見学です。

ありちゃん:おはようございます。イズシカって初めて聞きました!

相原 和真さん:それはぜひ今日の見学でイズシカに詳しくなっていってください。

だいぞう師匠:こちらの方も鳥獣被害が深刻そうですね。

健太くん:いまや全国の農林業関係者が困っている状況と聞いています。

相原 和真さん:はい。ここ伊豆市も例外ではなく、シカの生息数が増えてきたことで農林業被害も拡大しています。また、森林では下草や樹皮の食害で裸地化してしまい、土砂崩れの危険性が増しています。


まずはパネルで被害の状況を教えてもらう。シカによる樹皮はぎの被害により衰退した天然林。
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ありちゃん:うわ。土がむき出しに。樹皮もはがれて木が枯れている。

相原 和真さん:シカは里山まで降りてきているので、せっかく育てた農作物も食べられてしまっているんです。鳥獣による被害額は年間1億円を上回りますね。シイタケや稲、特産のワサビまで食べられています。

健太くん:え!ワサビ?辛くないんでしょうか。

相原 和真さん:ホントにね。辛味は好まないと思うんですけど、エサになるとわかれば食べてしまうのかもしれません。

ありちゃん:どうしてシカが増えてしまったんでしょうか?

相原 和真さん:いろいろ理由は考えられますが、平成15年までメスジカの狩猟が禁止されていたこと。また、温暖化の影響で冬を生き延びるシカたちが増えたことも理由のひとつでしょうね。

だいぞう師匠:それにもともとシカは繁殖力の強い動物なんだよ。メスは2歳くらいから年に一頭出産するので、オトナのメスの数だけ毎年頭数が増えることになる。

健太くん:増え過ぎるとエサがなくなるから人里に降りてくるんですね。

相原 和真さん:そう考えられています。そこで、適正頭数にするために猟期以外も有害鳥獣捕獲としてシカを捕獲しています。ただ、獲ったシカを活用することができず、ハンターさんが自家消費する以外の多くが山に埋められている状態でした。

ありちゃん:もったいない……。

相原 和真さん:多くの獲物を埋めることは、命と向き合ったハンターさんにとってもつらいことだと思います。大切な獲物はできるだけ有効活用したい。そんな思いから作られたのがこのイズシカ問屋なんです。

害獣を「恵み」に変える、地域の取り組み。

ありちゃん:あの、そもそも野生動物の「処理場」ってどうして必要なんでしょうか?

相原 和真さん:野生動物の肉を食肉として販売するには「食品衛生法」を守らなければいけないんです。その食品衛生法にのっとって保健所から許可を受けた施設で、衛生的に解体処理されたお肉しか販売できません。ここ静岡県では、より安心して食べられるお肉にするために、独自で作成した衛生処理マニュアルもガイドラインとして活用しています。

だいぞう師匠:処理場を通さずに野生肉を販売する営業行為は法律違反なんだよ。ここは伊豆市が運営しているんですね。「イズシカ問屋」という名称も面白い。

相原 和真さん:捕獲されたシカを処理する場所、というより、伊豆市の新たな特産品としての食肉を生産する場所であると伝えたい。「イズシカ」というブランド名が広まるといいなと思っています。

ありちゃん:伊豆のシカ肉だからイズシカ。そうだ!「イズシカ丼」っていうのもあるんですよね。

相原 和真さん:はいっ!イズシカ問屋で安全に加工されたシカ肉を使って、市内各店で多彩などんぶりにしているんですよ。ここでシカ味わえないご当地メニューです!

ありちゃん:たーべーたーいー!だいぞう師匠!ぜったいに食べて帰りましょうね、ね!

健太くん:ぼ、ボクも!

だいぞう師匠:いいね。地元の特産品を使ったご当地料理は私も楽しみだよ。

相原 和真さん:また、ハンターさんから獲物を買い取ることで捕獲意欲の増進につながれば……とも考えています。あ!ちょうど今、獲物が持ち込まれたようなので、見学に行きましょう。


食肉を扱う場所の見学のため、ありちゃんたちも帽子とマスクで衛生的に。
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安全でおいしいお肉をいただくために

ありちゃん:わあ!いくつも部屋がある。食材を扱うだけあって清潔そうですね。

健太くん:ホント、キレイで明るい。窓が多くて中の様子も見やすいし。


イズシカ問屋では搬入されたシカやイノシシを、搬入口からA~Dの部屋を通って衛生的に処理し、卸し販売店へ出荷しています。
A)一次処理室(検査、内臓摘出、剥皮、洗浄)
B)冷蔵・熟成室
C)二次処理室(食肉加工、真空包装、瞬間液体凍結、金属探知機チェック)
D)冷凍保管
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相原 和真さん:まずは一番奥の部屋へどうぞ。ここは外につながっていて、ハンターさんは素早く獲物を運び入れることができます。ついさっき、くくりわなで獲れたシカが運び込まれたところですよ。搬入してくれたのはベテランハンターの岡崎さんです。

ありちゃん&健太くん:おはようございます!

岡崎さん:おはようございます。今朝は2頭獲れたよ。

ありちゃん:わあ!こんなに近くで獲物を見るのは初めて。わなで獲れたんだ?。

岡崎さん:くくりわなで獲って、至近距離から猟銃で止めさししたんだよ。

ありちゃん:思ったより血は出てないんですね。

岡崎さん:放血してるからね。止めさししてすぐに血抜きを上手くやって、素早く持ってこなくてはいけないんだ。

だいぞう師匠:仕留めたシカの頸動脈に刃を入れて血を抜くことを放血と言うんだよ、ありちゃん。できるだけ早く血を抜くことで肉の質を維持するんだ。

ありちゃん:なるほど。

だいぞう師匠:獲物を受け入れる条件はあるんですよね?

相原 和真さんはい。食肉を扱うということを重要視してもらえるよう、搬入のための研修会を行っています。この研修会を受講したハンターさんだけが搬入することができます。

岡崎さん:命をいただいた獲物だからね。捕獲しても埋めて処分するのはしのびない。こういった施設ができて、地元の人にも広く味わってもらえるのは良いことだと思う。

ありちゃん&健太くん:ふむふむ。


この日、くくりわなの獲物(シカ)を搬入したハンターの岡崎さん。 搬入できるのは「伊豆市内に住民登録している猟友会会員」「伊豆市有害鳥獣捕獲隊員」のいずれかで、静岡県のマニュアルに準じた研修会を受けた人のみ。「獲って運ぶところから食材としての扱いが始まってるんですね」とありちゃん。
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相原 和真さん:運び込まれたシカは大きさや重さ、性別などの個体検査をしながら洗浄して解体処理されます。専門の職員が作業しますよ。

だいぞう師匠:個体の管理もされているんですか?

相原 和真さん:はい。いつ、どこで、だれが、どんな方法で捕獲したか追跡できるよう、商品に個体番号をつけています。

ありちゃん:野生のお肉でトレーサビリティ(生産履歴)がしっかりしているなんて驚きました。消費者として安心だな?。

相原 和真さん:このあとシカを後ろ足で吊し、内臓を取り出して頭部を切り離します。


とことん衛生的で機能的な設備と、獲物が処理されていく様子に釘付けの二人。
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ありちゃん:ものすごくテキパキと作業が進みますね。で、あの……オナカを開いて内臓を出した時にニオイを覚悟していたんですが……あんまり臭わない。

だいぞう師匠:そうだよ。内臓を傷つけなければそんなに臭わないんだ。消化器の内容物を出さないことは衛生的でもあるからね。皮をはがす時も吊したままにして、肉が床や毛皮に触れないようにするんだ。雑菌が付着しないようにね。

相原 和真さん:また、この施設では肉の洗浄に殺菌効果の高い電解水を使っていて、解体作業中に食中毒菌をシャットアウトしています。この後、吊したまま隣の熟成庫に入れて、数日間冷蔵保管します。

だいぞう師匠:熟成させることで旨みが増すんだよ。

ありちゃん:熟成庫に吊されているところを見たら、もう食材に見えてきました。さっきまで獲物!って感じだったのに。

相原 和真さん:この熟成庫はさらに隣の二次処理室(ブロック肉に切り分ける部屋)につながっています。移動しましょう!

健太くん:各作業の部屋が並んでつながっているから、搬入から加工まで一連の流れで進められるんですね。

相原 和真さん:そうなんです。今は熟成庫から出した肉を部位ごとに切り分ける作業と、真空パック詰めして冷凍する作業をしているところです。切り分けている職員は元お肉屋さんなんですよ。

だいぞう師匠:ものすごく手際のいいさばき方だなぁ。参考になりますね。

ありちゃん:テキパキしていますね?。職人技だ!

相原 和真さん:ブロックに切り分けられ、真空パックされた肉は、あちらの「瞬間液体凍結」できる機械で冷凍します。マイナス30℃のアルコール液による急速冷凍をすることで、解凍後のドリップ(肉汁)を軽減させたり、柔らかさも保てるんです。この冷凍されたイズシカを販売しています。


真空パックしたお肉を急速冷凍します。
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パッケージにはイズシカブランドの印。
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だいぞう師匠:金属探知機にもかけるんですね。残弾や破片がないか調べるんだよ、ありちゃん。

ありちゃん:狩猟肉ならではの工程ですね。

相原 和真さん:実は、金属探知機を導入した当初、残弾も破片もないのに反応してしまうことがありました。シカ肉はとっても鉄分が多いので、血中の鉄分に反応してしまったんです。急遽、金属探知機のメーカーさんに来てもらって設定を調整しなければいけないほど
でした。シカ肉に鉄分が多いのは知っていましたが、まさかそれほどまでとは……と驚きましたよ。

ありちゃん:すごい!!貧血気味の女友達に教えなきゃ。

相原 和真さん:今日見てもらったイズシカ肉は、伊豆市内の卸問屋さんを通じて市内のスーパーや飲食店に届けられます。今後も地元の方々やハンターさんとますます連携を深めて、地元の方や伊豆を訪れてくれる皆さんにイズシカを楽しんでもらえるようにしたいです。ありちゃんのお友達にも、ぜひ伊豆に来て安全でおいしいイズシカを食べてもらいたいですね。

ありちゃん:友達みんなに宣伝しておきます!
(イズシカ肉……カリタローも連れてきてあげたいな)

ありちゃん&健太くん:今日は本当に勉強になりました!ありがとうございました!

相原 和真さん:こちらこそ、ありがとうございました。

おまけ。イズシカ丼おいシカったよ。


お待ちかね!ご当地名物のイズシカ丼。
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ありちゃん:やったー!見学を終えて、三人でイズシカ丼を食べにお店に入りました。さっそくいただきまーす!


念願のイズシカ丼をいただきまーす!「カリタローにもお土産を買って行ってあげないと…あれ?健太くん大丈夫?」、ありちゃんはごちそうを前にすると元気ですね。
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だいぞう師匠:今日は獲物が食肉に加工されるまでの一連の流れを見学したね。感想を……って、ありちゃん、モリモリ食べているね(笑)。それに比べて健太くんどうした?食欲ないの?

健太くん:ええ、ちょっと、見慣れない内臓を目の前で見たもので……。

ありちゃん:ワタシも見るまでは不安だったよ。実際に見ると肉も内臓もキレイな色をしていたし、衛生的な施設だったせいか、ニオイも気になるほどじゃなかったです。

だいぞう師匠:私が見てきた経験だと、けっこう女子の方が解体の場面に強いのかなと思う。男子はちょっと引いて見ている印象があるよ。

ありちゃん:料理しているせいか、食材として見る女子が多いのかも。あとね、解体って、森の恵みをいただくための儀式というか、ちゃんと命と向き合っている気がしました。獲物がかわいそうと思う気持ちを越えた感覚というか。

健太くん:それはボクも感じました。獲って食べるまでに関わる人の思いも伝わってきた。お、ちょっと食欲がわいてきたぞ。

だいぞう師匠:それは良かった。でも、感覚も食欲も人それぞれだから、気持ちに無理をしなくてもいいんだよ、健太くん。初めて見た衝撃や感情は大切だと思うし。

ありちゃん:イズシカ問屋で見た解体はすごく手際が良くて一見簡単そうなんだけど、シカやイノシシの大きさを考えると、自分で解体するのはなかなか大変な作業だなと思いました。

だいぞう師匠:うん、慣れるまでは大変かもしれないね。でも、先輩ハンターに教わったり、手伝ってもらって一つずつ上達していけばいいよ。

ありちゃん&健太くん:はーい!


イズシカ問屋前の祠(ほこら)を見つめるありちゃん
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イズシカ問屋についてはコチラ
「イズシカ問屋だより|伊豆市役所」 『伊豆市』
http://www.city.izu.shizuoka.jp/form1.php?pid=3137

次回のありちゃんにはどんな出会いが待っているかな?お楽しみに!

次回11につづく!

執筆:この記事は一般社団法人 大日本猟友会さんのサイト『目指せ!狩りガール』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2014年06月24日時点のものです。

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記者:

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