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正社員と契約社員の待遇の違いは許されるの?

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 東京メトロ(地下鉄)の売店で働く契約社員ら4人が5月上旬、同じ仕事の正社員と比べて手当などに格差があるのは正社員との差別を禁じた労働契約法に違反するとして、東京メトロのグループ会社に3年分の賃金格差などを含む計約4200万円の損害賠償の支払いを求める訴訟を東京地裁に提起しました。報道によれば、4人の原告は2004年~06年から、契約社員として働いており、正社員とほとんど同じ内容の仕事をしていましたが、1カ月の給料やボーナスに大きな差があった、正社員には与えられる住宅手当や退職金もなかったとのことです。
 また、西日本の郵便局で働く有期雇用の契約社員9人が6月30日、同じ仕事の正社員と比べて手当などに格差があるのは正社員との差別を禁じた労働契約法に違反するとして、日本郵便に差額計約2000万円の支払い、及び正社員と同じ夏季・冬季の休暇の取得などを求める訴訟を大阪地裁に提起しました。
 パートタイマーや有期契約労働者など非正規労働者の賃金は、一般的に正社員に比べて低く抑えられているというのが現状です。非正規労働者には退職金もなく、昇進・昇格の対象とならないことがほとんどです。従事する職務内容や労働時間が正社員とほとんど変わらないにも関わらず、賃金や昇進等の格差は許されるのでしょうか?今回はこの問題について考えてみたいと思います。

 2013年4月から改正労働契約法が施行されています。改正労働契約法20条は、不合理な労働条件の禁止を定めており、これは、同一の使用者と労働契約を締結している有期契約労働者と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることにより不合理に労働条件を相違させることを禁止するルールです。賃金や労働時間等の条件のみならず、災害補償や、服務規律、教育訓練、福利厚生など労働者に対する一切の待遇が改正労働契約法20条の適用対象となっています。労働条件の相違が不合理と認められるかどうかの判断は、

(1)職務の内容
(2)当該職務の内容及び配置の変更の範囲
(3)その他の事情

を考慮して、個々の労働条件ごとに判断されます。法20条により不合理とされた労働条件の定めは無効となりますので、損害賠償が認められることになります。さらに、この規定により無効とされた労働条件については、基本的には無期労働者と同じ労働条件が認められると考えられています。
 賃金の格差について具体的に判断した判例として、「丸子警報器事件」というものがあります(長野地上田支判平成8年3月15日)。職務内容が同一で、勤続期間も長期である臨時社員の賃金格差について、「原告らの賃金が、同じ勤務年数の女性正社員の8割以下になるときは、許容される賃金格差の範囲を明らかに超え、その限度において被告の裁量が公序良俗違反として違法となる。」としています。これは改正労働契約法施行前の判例ですが、労働条件の相違が不合理かについての判断基準として、参考になると思われます。

 今回提起された訴訟の東京メトロのグループ会社や日本郵便における賃金の格差がどの程度であったかは明らかではありませんが、仮に職務内容が同一と判断された場合には、上記の判例に照らすと、契約社員の賃金が正社員の賃金の8割以下である場合、改正労働法20条に反するという判断が下される可能性が高いと思われます。

 非正規雇用が労働者全体の3分の1を超え過去最高の水準となっている現在、企業にとっても非正規社員という身分で働く人々にとっても、重要な指針となる裁判となりそうです。

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