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ヤマハ発動機は「新3輪」でバイク離れに歯止めかけられるか

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 中高年ライダーの復活や、ガソリン高により省エネ性が見直されるなど“追い風”を受けるオートバイ業界。日本自動車工業会が発表した5月の二輪車生産台数も、9か月連続で前年実績を上回るなど好調をキープしている。

 とはいえ、国内の市場規模は年間40万台そこそこ。1980年代に300万台を超えていたことを考えると、「バイク離れ」の深刻度合いはクルマの比ではない。

 バイク需要はなぜここまで落ち込んでしまったのか。自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がいう。

「日本では高校生の利用を禁止する運動が起こるなど、安全性やマナーの観点から敬遠され続けたため、二輪車メーカーは国内市場を半ば諦めて新興国で“安物勝負”するばかり。バイクに乗る楽しみを提供して付加価値を高めるような新型車も、いつしか開発されなくなってしまいました」

 そこで、原点に立ちかえって魅力あるバイクづくりにチャレンジしているのが二輪車大手のヤマハ発動機である。

 これまでも電動アシスト付自転車の『PASS』で一世を風靡したり、最近ではレンタルクルーザーなどのマリン事業が収益力を高めたりと幅広い分野で活躍しているものの、要のバイク事業が低調続きで、会社全体の足を引っ張っている。

 そんな伸び悩むバイク事業で、同社が「起死回生の商品」と期待を寄せるのが、9月10日に発売する125ccの三輪バイク『TRICITY(トリシティ)』(税抜き33万円)だ。いまどきトライクと呼ばれる三輪タイプは珍しくないが、トリシティは前輪が2輪という“逆トライク”。固定観念を打ち砕いた形が驚きを与える。

「トリシティの開発は<新しいカテゴリーを作る>意気込みで、プロジェクトメンバーもさまざまな事業分野の若手を集めました。レース車両ばかり開発してきた社員や、産業用ロボット、船外機に携わってきた社員など……。そうした若手社員の斬新な提案から、新しいモビリティの世界ができあがりました」(ヤマハ発動機の広報担当者)

 肝心の乗り心地はというと、前評判は上々だ。

「バイクの前輪は1輪だといろんな道路状況の変化に対応しなければならないし、舵角も常に変わるので操縦を誤れば滑ったり転倒したりする危険もあるが、トリシティは2輪なので安定感がある。また、意外にも小回りが利いてスムーズな方向転換ができた」(試乗会に参加したモータージャーナリスト)

 こうした安定性や今までにない操縦性などを武器に、「二輪免許を持っていなかった若者や女性たちの需要も掴みたい」(前出の広報担当者)と鼻息の荒いヤマハ発動機だが、バイクの人気再燃を実感するまでには、幾多のハードルが立ち塞がる。

「本来、バイクは手軽な乗り物なのに、保険料は高いし2015年度からは税金(軽自動車税)も上がります。そもそも、50ccを超える二輪車の免許取得は容易ではありませんし、購入して街に出掛けても駐車禁止の規制がありすぎて停めることすらままなりません。

 バイクを取り巻く日本の道路環境や規制の枠組みを変えない限り、バイク人気が完全復活するとは思えません」(前出・井元氏)

 経済産業省は昨年、2020年までに国内のバイク販売台数を100万台まで回復させるという政策目標を掲げた。しかし、いくらメーカーが魅力ある商品を開発しても、国が自由に乗り回せる環境を整えない限り、バイク離れの汚名は返上できないだろう。


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